芋出し画像

この「穎」、あの「出っ匵り」も倧発明  特蚱は、さりげなくあなたのそばに 

私は日々、ずある窓をひんぱんに叩いおいたす。

昌䌑みに、コンビニで7桁の番号を芋぀けたら、垭に戻っおすかさずその窓を叩きたす。
䌑憩時間もお菓子やアむスのパッケヌゞに同じような数字を芋぀けたら、もう叩かずにはいられたせん。
カップ麺にお湯を泚ぐよりも、おや぀を味わうよりも、窓を叩くこずは重芁なのです。

「7桁の番号っお、バヌコヌドずかシリアルナンバヌでしょ」
「そんなに倢䞭になるほどの数字じゃないよね」
ず、䞍思議に思われたかもしれたせんね。
 
でも、どうしおも倢䞭になっちゃうんです。

その窓ずは、特蚱情報プラットフォヌム「J-PlatPatゞェむプラットパット」の怜玢窓。
わかりやすく蚀うず、特蚱の䞖界の「図曞通」や「癟科事兞」のようなもの。
7桁の数字は特蚱番号です。

J-PlatPat 怜玢窓

この窓に特蚱番号を叩き入れるず、補品のどんなアむデアや技術が特蚱暩を取埗しおいるのかがわかるようになっおいたす。
この窓はただの「窓」ではなく、倢いっぱいの䞖界ぞ連れお行っおくれる心躍る窓なのです。

窓の向こうには、特蚱暩を取った発明があふれおいたす。
カップ麺の麺が茞送䞭に砕けない秘密、新食感のあのチョコレヌトの補法、倉わった圢状のあのアむスを぀くる方法などなど。
 
そんな特蚱に魅せられお、15幎間圚籍した技術郚門から、特蚱を扱う郚眲ぞ異動したした。
 
技術者はなぜ、その発明にたどり着けたのか
どのようにしお、アむデアをカタチにしおいったのか
 
こんな颚に、謎解きをするように仕事に取り組みながら、さたざたなひらめきず発明に觊れたりする刺激的な毎日を送っおいたす。

特蚱のある䞖界、ない䞖界

お菓子やカップ麺以倖にも、日垞には特蚱暩を持぀モノがあふれおいたす。

䟋えば、朝、アラヌムで起こしおくれるスマホ。
歯磚きに䜿う歯ブラシや、宀枩を快適に保っおくれる゚アコン、朝食を䜜るのに重宝する電子レンゞや電気ポット、職堎たで運んでくれる車、電車やバスなどで䜿うICカヌド、オフィスに入るためのセキュリティシステム、仕事で必芁なパ゜コンやマりス  。

最先端の技術を䜿った「モノ」だけでなく、䞖界的スタヌの斜め立ちや、アむドルずの恋愛ゲヌムずいった゚ンタヌテむンメント分野にも特蚱がありたす。

これらは、普段、䜕気なく手にしたり目にしたり、日ごろお䞖話になっおいるものがほずんどですが、もし、暮らしになかったらどうなるでしょうか

朝は倪陜の光で目を芚たし ã€æœšã®æžã§æ­¯ã‚’磚き、職堎ぞは歩いお通うこずになるでしょう。
今、電車で30分かけお通勀しおいる人は、某マップによるず3時間も歩くこずになりたす。
仕事を終えたら、たた3時間歩いお垰らなければならないので、家に着いたらもうクタクタです。
すぐにでも晩ご飯を食べたいずころですが、ご飯を぀くるには、火を起こすずころから始めなければなりたせん。
ゲヌムやテレビがないから、食埌の楜しみずいえば、月明りで読曞をするぐらいでしょうか。

ずいっおも、こんな生掻をしおいおは、嚯楜を楜しむ䜙裕なんおないずは思いたすが  。

そう考えるず、いかに特蚱暩を持぀発明が人の暮らしを豊かにしおきたこずか ず぀くづく思いたす。

 ãšã“ろで  

そもそも特蚱ずは䜕でしょうか


特蚱制床ずは、発明を公開し、それを保護する制床です。
発明を公開する代わりに、有甚な新しい発明には、特蚱暩が䞎えられたす。
 
人々の暮らしをもっず快適にしたい、䟿利にしたい、安党ず安心を提䟛したい。
䌁業や技術者は、さたざたな思いで、詊䜜や実隓を繰り返しおアむデアをカタチにしおいきたす。

その過皋で䌁業は、たくさんの時間ずお金をかけお、たくさんの人財を投入したす。
発明に、瀟運をかけるのです。

ですから、その発明が盗たれたら、たたったものではありたせん。
そこで、䌁業は倧切な発明を勝手に䜿われおしたわないように、特蚱暩の取埗にチャレンゞしたす。

特蚱暩が䞎えられた発明は、20幎間、他の誰にも䜿わせないようにするこずができたす。
特蚱暩を持぀䌚瀟や人が、その発明を独り占めできるのです。
 
発明を秘密にできず、公開しなければならないのが特蚱制床のツラむずころです。
でも、その発明に刺激を受けた人たちによっお、さらにアッず驚く技術やアむデアが新たに生み出され、産業が掻性化する、ずいうストヌリヌもなきにしもあらず。
これもたた、特蚱制床の狙いなのです。
 
では、暩利が切れたらどうなるのかずいうず、誰もがその発明を自由に䜿えたす。
莫倧なお金や時間を費やしおカタチになった発明が、タダで䜿いたい攟題なのです。
 
぀たり、すばらしい発明を掻甚しお安くおいいモノを぀くれるから、消費者にも安く届けられるずいうわけですね。

ゞェネリック医薬品も、暩利が切れた技術を掻甚しお぀くられおいたす。
研究開発費がほずんどかかっおいないため、倀段は先発医薬品の27割皋床ずお手頃。
患者さんには「負担が軜くお助かる」ず喜ばれおいたす。
長い目で芋るず、特蚱は発明者だけでなく、その業界やそれを利甚する人たちにメリットがあるず蚀えたすね。

ずいった具合に、特蚱暩には20幎の期限がありたすが、シャヌプには20幎以䞊、様々な特蚱暩に守られおきた補品がありたす。
もちろん、最初に取った特蚱暩は切れおいたす。
でもその埌、技術者がお客様の声に耳を傟けながら、特蚱暩を取った機胜や構造などを改良しお、アップグレヌドした郚分を暩利化しおいったのです。

初代の機胜や構造は、今は誰でも自由に䜿えたすが、最新のカタチは誰も真䌌できたせん。
それはいわば、機胜やコスパなど、さたざたな面で工倫が凝らされた最先端の補品です。
それを蚌明するず同時に、消費者の方々に安心しお遞んでいただけるよう、「特蚱暩」ずいう囜のお墚付きをもらっおいるのです。

シャヌプの芋えないこだわり、ここにあり

シャヌプの特蚱は、身近なずころに朜んでいたす。
䟋えば、シャヌプペンシル ã€‚

å·Š:早川匏繰出鉛筆 (実物)    右:登録実甚新案

圓初は「早川匏繰出鉛筆」ずしお、1920幎11月22日に特蚱ずしお登録されたした。
就職掻動䞭、シャヌプの䌁業研究をしおこの事実にたどり着いたずきは、それはもう、興奮したした。

授業や宿題でお䞖話になっおいたシャヌペンが、シャヌプの発明だったなんお
瀟名の「シャヌプ」が「シャヌプペンシル」に由来しおいるなんお

そんな私が、特蚱出願を担圓した自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」も、いく぀かのパヌツが特蚱暩を取埗しおいたす。

ヘルシオ ホットクック

䟋えば、内鍋の取っ手に空いた穎。

倖気を導入するための穎


内鍋の取っ手は本䜓内に密閉されおいるので、調理埌、高枩になっおしたいたす。
そのため、内鍋を取り出すにはミトンなどを䜿わなければなりたせん。 

でも、このひず手間っお、結構、面倒じゃない

そう考えた開発メンバヌは、取っ手が高枩にならないよう、倖気を導入するための穎を空けたのです。
この穎により、内鍋を本䜓から、簡単か぀安党に取り出せるようになりたした。

小型のホットクック12人甚も、䟿利で䜿いやすいよう考えた末にたどり着いた仕組みやパヌツが、特蚱暩を取埗しおいたす。

埓来の26人甚のホットクックには、鍋の蓋の真ん䞭に食材を混ぜるための“混ぜ棒(たぜ技ナニット) â€ãŒ2本぀いおいたす。
䞀方、小型タむプは仕様䞊、混ぜ棒を1本にする必芁がありたした。

混ぜ棒(たぜ技ナニット) 

この混ぜ棒(たぜ技ナニット)が取り付けられた䜍眮を芋たずきに私は違和感を芚えたした。
「これ、なんでズレおるの」

混ぜ棒を取り付ける堎所(回転䞭心)が蓋の真ん䞭ではなく、ちょっずずれた䜍眮になっおいたのです。

右偎 1人2人甚:䞭心よりちょっずずれた䜍眮に

玠朎な疑問に、開発メンバヌは答えおくれたした。

埓来品のように蓋の真ん䞭に混ぜ棒を぀け、新たに小型タむプは混ぜ棒を1本にするず、食材がうたく混ざらなくなっおしたいたす。
そこで、効率よく食材を混ぜられるよう、取り付ける䜍眮を蓋の真ん䞭から少しずらした、ず。
 
蓋の真ん䞭からちょっずずれた䜍眮に取り付けられた混ぜ棒は、蓋の䞭心から同じ距離の円を描くのではなく、蓋の䞭心から異なる距離の円を描くこずになりたす。
だから、混ぜ棒が本でも、食材がグルグル、ずうたく混ぜられるずいうわけです。
 
「なるほど」
 
私たちは思わずうなりたした。
そしお、ハタ、ず気づきたした。
 
これ、発明じゃないですか

しかし、混ぜ棒の秘密は、これだけではありたせんでした。

䟋えば、混ぜ棒にはギアがなく、ナニットにぶらん、ず぀いおいるだけ。
ですから、蓋を閉じるず混ぜ棒は垂盎にぶら䞋がり、蓋を開けるず蓋に沿っおペタンず閉じるようになっおいたす。

ブラブラさせるず䞍安定だから、固定しちゃえば ずいうご意芋もあるかず思いたすが、このような蚭蚈にしたのには理由がありたす。

 ã“こで想像しおみおください。

蓋を開けたずき、混ぜ棒がピョコンず突き出たたた固定されおいたずしたら。
料理をよそうずきに邪魔になるし、手に圓たるかもしれたせんよね ã€‚

その匟みに、アツアツの料理をこがしお服を汚したり、火傷をしたりする危険だっおありたす。

でも、ぶらんずぶら䞋がるこの蚭蚈なら、その心配はありたせん。
だから、あえおギアをなくしお、ぶら䞋げたのです。
 
ただ、秘密がありたす。

混ぜ棒が閉じるず、その先端は鍋の内偎に向かっおぶら䞋がるので、混ぜ棒に゜ヌスなどが぀いおいおも、鍋の䞭に滎り萜ちるだけ。
鍋の呚りが汚れるこずがないんです。

䞀぀の補品のパヌツひず぀にも、「䟿利で安党に䜿えるように」ずいう技術者の思いや工倫が蟌められおいるこずが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
 
特蚱に携わる私たちは、そんな技術者の思いや工倫を発芋しお、補品の魅力を最倧限に匕き出そうず、日々取り組んでいたす。
それが、私たちの倧切な圹割なのです。


掗濯機の掗濯槜の穎をなくした「穎なし槜」も、発売から20幎以䞊経った今でも関連する特蚱暩を持぀シャヌプの発明品です。

自画自賛になっおしたいたすが、「氎を節玄し、カビの発生を防ぐために、掗濯槜の穎をなくそう」ずいう発想にたどり着いたこず、そしおそれを実珟できたこずは驚きたした。
だっお、「穎をなくしたら、どうやっお脱氎するの」ずいう課題をクリアしなければなりたせんから。

そんな難問に察し、開発メンバヌが導き出した答えが「掗濯槜をすり鉢状にする ã€ã§ã—た。

この圢により、脱氎時に掗濯槜を回すず、匷い遠心力で、氎が掗濯槜に入った瞊ラむンを䌝っお䞊り、䞊郚から排氎されるようになったのです。

こうしお完成した穎なし槜のおかげで、倖槜から掗濯槜に黒カビが入り蟌みにくくなり、掗濯物をきれいな氎で掗っお、すすげるようになりたした。
たた、埓来の掗濯機は、掗濯槜ず倖槜の間にも氎をためおいたしたが、穎なし槜では掗濯槜にだけためればいいので、節氎効果も高くなりたす。
結果ずしお、お財垃にも優しい仕様ずなりたした。

ドアが右にも巊にも開く冷蔵庫「どっちもドア」も、20幎以䞊、関連する特蚱暩を持぀補品です。

このプロゞェクトがスタヌトした圓時、巊右䞡開きの冷蔵庫の開発は、家電メヌカヌにずっお悲願でした。

ロングセラヌの秘密は、「立ち䜍眮に近い方からドアを開閉できる」「回り蟌たずに食品を出し入れできる」「冷蔵庫の眮き堎所を遞ばない」など。

「巊右䞡開きだず、ドアごず倖れそう」ず心配する方もおられたすが、安心しおください。
片方のドアを開けようずするず、反察偎が自動でロックされる蚭蚈なので、倖れるこずはありたせん。
この仕組みは、留め具を回転させお、針の出し入れやロックができるブロヌチピンからヒントを埗たそうです。
この発明によっお、家事動線がスムヌズになり、キッチンのレむアりトの自由床も高たりたした。

ここに挙げたのは、シャヌプの特蚱のごく䞀郚です。
では、シャヌプがこれたでに、どれぐらい特蚱暩を取埗しおきたかずいうず、瀟名を「シャヌプ」に倉曎した1970幎1月1日以降の特蚱取埗件数は、玄6䞇件にのがりたす2025幎7月2日時点。
6䞇件ずいえば、日本党囜のコンビニ店舗数、およそ5侇7000店に匹敵するほどの件数です。

ちなみに、圓瀟の特蚱取埗第䞀号は、「埳尟錠ずくびじょう」です。

å·Š:埳尟錠 (実物) 右:登録実甚新案

これは、ベルト穎を空けずに䜿える今でも䞀般的なバックルで、創業者の早川埳次が発明したした。
特蚱登録日は、戊前の1912幎9月19日。
この頃からすでに特蚱制床があり、創業者は䜕をどうすれば、人の暮らしが䟿利になるのかを考えおいたこずがうかがえたすね。

家事がラクになった、日垞生掻が快適になった、安心しお過ごせるようになった  。
そんな颚に、日垞の暮らしを少しず぀アップデヌトしおいく商品の最前線に関われるのが、特蚱に関わる仕事の魅力です。
そしお、消費者の方々を思う现やかな心遣いず豊かな発想力、それをかなえる高い技術力、開発者のあきらめない䞍屈の粟神をヒシヒシず感じられる瞬間が特に奜きです。情熱に觊れるたび、胞が熱くなりたす。

身近な商品は特蚱の原石だ

特蚱出願から取埗たでの流れは、簡単に蚀うず、

①特蚱暩を取りたい発明のポむントを敎理する
②発明のポむントずその詳现を説明する出願曞類を䜜成しお、特蚱庁に提出する
③出願埌3幎以内に、特蚱暩が取れるかどうかの審査を特蚱庁に䟝頌する
④特蚱ずしお認められる
です。

出願にあたっおの特蚱担圓の圹割は、有甚な発明を芋぀けるこずです。
そのために、商品化が決定したら、特蚱担圓は商品開発メンバヌず発明を掘り起こす「発掘䌚」を行いたす。
この䌚は、特蚱のタネを掘り圓おる絶奜の機䌚。
私たちは、新商品の説明を聞きながら、新しいアむデアや機胜、技術を芋぀けたり、暩利化できるかどうかを芋極めるためにヒアリングをしお深掘りしたりしたす。

そのアむデアは、お客様のどんな声から生たれたの
アむデアをカタチにする過皋で、どんな工倫をしたの
そこたでしお実珟したかった、その思いの源は

深掘りをするなかで、開発メンバヌの䜿い手を思う優しさ、䟿利さや快適さにずこずんこだわるオタク的な䞀面に觊れたりするこずも。
そのずきもたた、お宝を掘り圓おたようなうれしさがありたす。

これたで、このように深掘りをしお、わかったこずがありたす。
それは、技術者は垞に䜿い手の立堎に立っお、
「こうすれば䟿利かな」
「こうした方が䜿いやすいかな」ず考えながら、パヌツを加えたり、構造を工倫したりしおいるずいうこずです。

䟋えば、過熱氎蒞気で調理しお䜙分な脂や塩分を萜ずすりォヌタヌオヌブン「ヘルシオ」は、調理埌、扉にたくさんの氎滎が぀くので、䞋開きの扉を開けるずそれが床に滎り萜ちおしたいたす。

そこで技術者は、扉の氎滎が぀ゆ受けに流れるよう、扉の䞋のほうにその通り道ずしお突起物を぀けたのです。

この蚭蚈は特蚱暩を取埗しおいたすが、圓時、技術者は、これがすごいアむデアだずは思っおいたせんでした。
ですから、補品説明をするずきも、「氎滎が床に垂れないようにリブ突起物を぀けたした」ずサラッず蚀うのです。

それはもう、聞き逃しおしたいそうなほど、さりげない。

それもそのはず、突起物の芋た目は地味ですし、「氎滎が垂れるのを防ぐ突起物」ずいう衚珟も、倧発明からはほど遠い気がするからです。

でも、ちょっず想像しおみおください。
ヘルシオの扉を開けるたびに、床が氎浞しになる光景を。
そのたびに、床を雑巟で拭かなければならない手間を。
 
どんなにおいしい料理ができおも、䜿うたびに「ああ、たた床が濡れおる  」ずストレスを感じおしたっおは、残念ですよね。
技術者は、䜿っおくださる方がそうしたストレスを感じないよう、目立たないけれど、ずおも効果的な工倫を凝らしおいたす。
 
特蚱出願の第䞀歩は、そんな配慮の行き届いたさりげない工倫を芋逃さないこず。
そのためにも倧切なのは、

商品に惚れるこず。


「もっず商品を知りたい」ずのめり蟌むず、補品の機胜やパヌツ、圢などに、お客様の声がどのように反映されおいるのかを聞かずにはいられたせん。根掘り葉掘り聞いおいくこずで、発明を正しく理解できるようになるのです。
「この商品のこずなら、䜕でも聞いお」ず胞を匵っお蚀えるくらい、ずこずん知り尜くすこず。
そんなふうに補品ず向き合う姿勢が、結果ずしお特蚱の仕事にも぀ながっおいくのだず思いたす。

技術者が開発に蟌めた思い、開発の過皋を聞く䜜業は、発明に至るたでを远䜓隓するような感芚です。
たるで、䞍可胜を可胜にした人たちのドラマや映画を芳おいるかのよう。
詊行錯誀のシヌン、ひらめきの瞬間、そしお゚ンディング──。
ナレヌションや音楜たで聞こえおきそうです。
 
そんなドラマティックなストヌリヌに発明を芋぀けたら、技術者に、発明のポむントや埓来の技術ずの違いなどを「特蚱コンセプトカヌド」ず呌ばれるフォヌムに曞いおもらいたす。
その埌、特蚱担圓は、そのカヌドを元に、特蚱事務所ず盞談をしながら、発明の内容・発明が解決する課題・効果などが蚘茉された出願曞類を䜜成しおいきたす。
その䞭で、特蚱暩をずりたい発明を文章化したす。

これは、「請求項せいきゅうこう」ず呌ばれるものです。
特蚱暩が取れるかどうかは、請求項の曞き方次第。
぀たり、特蚱担圓の腕の芋せ所です。
 
  ですが、これがなかなか倧倉。
 
発明を詳しく説明したい。けど、詳しく曞くずマズむのです。
なぜでしょうか

䟋えば、食甚ではないハナミズキの実を䜿っお「ハナミズキの実の゜ヌス」を開発し、請求項にこう曞いたずしたす。

「ハナミズキの実ずハチミツ、氎を原料ずし、ハチミツの分量はハナミズキの実の倍ずし、前蚘のハナミズキの実ずハチミツ、氎を鍋に入れお加熱しお完成させた゜ヌス」
 
するず、こう考える人が出おくるかもしれたせん。
「ハチミツの代わりに砂糖を䜿えば、特蚱䟵害にならないよね」
「ハチミツの分量をハナミズキより少な目にすれば倧䞈倫だよね」
こうした捉え方をされるず、類䌌の゜ヌスが぀くられおしたう可胜性がありたす。
 
これはマズむ。
 
そこで、こう考えたす。
ハナミズキの実はそもそも食甚ではない。
そのため、誰もそれを食べようずは思い぀かない。
だから、食品にするこず自䜓が発明である、ず。
 
ですから、請求項にはシンプルに、「ハナミズキの実の゜ヌス」ず曞けばいいんです。
するず、誰もハナミズキの実の゜ヌスを぀くっお販売できなくなりたす。
 
たるで䞀䌑さんが、ずんちでピンチを切り抜けるようなやり方ですよね。
「特蚱」っお、おかたいむメヌゞがありたすが、実は“やわらか頭”で考えるこずも倧切なんです。
このように、䌌たような商品が぀くられないよう「䜕を曞くべきか」「䜕を曞かないべきか」を考えるのも倧事にしおいたす。
 
さらに、特蚱では「その技術がなぜ䜿われたのか」ずいう必然性が非垞に倧切だず痛感したこずがありたした。
それは、「ヘルシオIHセンタヌ」を担圓したずきのこずです。

この補品は、IHクッキングヒヌタヌのビルトむングリルに、前述の「ヘルシオ」の技術を䜿ったグリルです。

このグリルの扉ず、グリルプレヌトを出し入れするためのスラむドレヌルが぀ながっおいる郚分は、接続郚なので隙間がありたす。

䞀般的なビルトむングリルは、魚や肉から飛び散る油や氎蒞気などが倖郚に挏れないように、グリルの入口の呚囲にパッキンが取り付けおありたす。
埓来の補品では、扉ずスラむドレヌルの぀なぎ目(接続郚分ず隙間)がパッキンの内偎にあったため、調理のたびに油や氎蒞気がその隙間に入り蟌み、ギトギトに汚れおしたい、掃陀をするのが倧倉でした。

そこで技術者は、グリルの扉を閉じたずきに、぀なぎ目が、パッキンの倖偎にくるように蚭蚈したした。

この蚭蚈のおかげで、調理䞭に぀なぎ目が、過熱氎蒞気ず脂汚れが混ざり合うグリルにさらされるこずはなくなりたした。結果「぀なぎ目がギトギトに汚れる問題」を解決できたのです。

そこで、この構造の特蚱を出願したのですが、特蚱庁から「特蚱ずしお認められない」ず拒絶の理由が通知されおしたいたした。
その理由が曞かれた拒絶理由通知曞には、すでに別の人が出願しおいる぀の特蚱が匕甚文献ずしお挙げられおいたした。
「この発明は、2぀の特蚱に蚘茉されおいる内容を組み合わせれば、簡単に思い぀く発明だず考えられるため、新しい工倫がないず刀断」されたこずが曞かれおいたした。

萜ち蟌みたした。
特蚱ずしお認めおもらうのはかなり厳しいかなずいう感じでしたが、でも、ただチャンスはありたす。

䞀床、拒絶の理由が通知されおも、この技術が新しく、既存の2぀の技術から簡単には思い぀かないような発明であるこずを特蚱庁にきちんず䌝えられれば、特蚱ずしお認められたす。
 
なかなかの難題でしたが、あきらめるわけにはいきたせん。
なぜなら、開発メンバヌが、お客さたのこずを考えながら、
「料理の埌片付けをラクにしおあげたい」
「簡単に掃陀ができるようにしおあげたい」
ずいう思いでたどり着いた、良い発明だず思ったからです。
 
どこかに突砎口があるはず
そう信じお、この発明を特蚱ずしお認めおもらうために、出願した内容ず、特蚱庁から届いた通知曞に蚘茉されおいる぀の特蚱(匕甚文献)ずの間に違いがないか、䜕床も䜕床もすみずみたで読み蟌みたした。
 
特蚱ずしお暩利を認めおもらう請求項の蚘述を修正し、特蚱庁ぞ応答するたでの期間は60日しかありたせん。
焊りたした。
 
でもある日、匕甚文献を䜕床も䜕床も読み返しおいたずき、䞀条の光が差し蟌みたした。
私は、気づいたのです。

特蚱庁の審査官は、぀の匕甚文献に぀いお以䞋のように曞かれおいるず認めおいたす。
【匕甚文献】
グリルの扉ずスラむドレヌルの取付郚分(぀なぎ目)以倖
【匕甚文献】
グリルの扉ずスラむドレヌルの取付郚分(぀なぎ目)に぀いお

䞀芋、぀の匕甚文献を組み合わせれば、今回の発明ず䌌たようにも思えるが・・・

぀目の文献に蚘茉されおいるパッキンは、「熱ず電波の挏れを防止するため」のものであり、「汚れを防止する」ためのものではない。
よっおスラむドレヌルがパッキンの倖偎にある必芁は無い

しかも、党䜓がわからない断面図だけで、ヘルシオIHセンタヌの発明ず同じだず刀断するには材料が䞍十分。

それにもかかわらず、審査官は、断面図から党䜓を想像しお、「ヘルシオIHセンタヌの発明ず同じ構成だよね」ず認定しおいるのではないか

そこで私は、請求項を䞀文字も盎さず、
「ヘルシオIHセンタヌの発明は、2぀の匕甚文献から簡単に思い぀く発明ではない」こずを䌝えるための「意芋曞」のみを提出するこずにしたした。

勝算は五分五分でした。
 
それからしばらく経っお、特蚱庁から結果が届きたした。
おそるおそる開けおみるず  
 
特蚱ずしお認められたした

そのずき、腰が怅子から浮き、力が抜けおぞたり蟌んでしたいたした。
「ああ、がんばっおよかった」ず心から思えた瞬間でした。あの日のこずは、今でも忘れられたせん。

このずきは、「良い発明だから、どうにか特蚱ずしお認められたい」䞀心で頑匵りたしたが、特蚱は「取れたらなんでもいい」ずいうものではありたせん。
実際、特蚱庁に拒絶されおも、請求項を補足すれば特蚱暩を取れるケヌスがありたすが、あえおあきらめるこずがありたす。

䟋えば、ペットボトル䞀郚くびれ郚分だけを暩利化したいのに、华䞋の理由をクリアするため出願内容を曞き盎そうずした結果、
実際に暩利化できるのは、個性的な持ち手付きペットボトルの党䜓くびれ郚分持ち手になっおしたった堎合。
(※ 簡単に衚すずを垌望しおいたのに、しか認められないようなむメヌゞです)

こうなるず特蚱暩を取る意味がなくなっおしたうため、暩利化をあきらめたす。

 ãŸãŸã€å‡ºé¡˜åŸŒã€å¯©æŸ»ã‚’請求するたでの3幎以内に、その䞊を行く新しい発明をした堎合も、出願しおいた叀い発明は䜿わないので攟棄したす。

特蚱を担圓しお13幎。
倚くの革新的な技術、䜿い手ぞのさりげない配慮を感じるアむデアなど、さたざたな発明に觊れお、気づいたこずがありたす。

それは、ものすごい最先端技術じゃなくおも、特蚱は取れるずいうこずです。
なぜなら、「穎を空ける」「䜍眮をずらす」「突起物を぀ける」ずいった目立たない発明もたた、消費者の「これ、䟿利だね」「䜿いやすいね」をかなえる倧きな発明だからです。
そんな発明に出䌚えるから、特蚱の䞖界は面癜いのです。

発明は日垞にあふれおいる

 æŒ¯ã‚Šè¿”っおみるず、特蚱暩を埗た発明のおかげで、日垞の暮らしはずいぶん様倉わりしたした。

私が子どもの頃、猶ゞュヌスのタブは、猶から切り離されるタむプでしたが、猶から離れないタブの発明により、ゞュヌスを開けるたびにゎミ箱を探さなくおもすむようになりたした。

電子レンゞで調理できるレトルトカレヌが登堎しおからずいうもの自炊がラクになり、䞀人暮らしの食卓が豊かになりたした。

倏の間、手が汚れるからずチョコレヌトをガマンしおいたしたが、溶けにくいチョコレヌトが発売されおからは、䞀幎䞭、チョコレヌトを味わえるようになりたした。

錻ず口を圧迫しない立䜓マスクのおかげで、花粉や颚邪の季節を快適に乗り越えられるようになりたした。

これらはすべお、特蚱技術のたたものです。

このほかにも、身の呚りには、特蚱技術があふれおいたす。
身近なずころでは、シヌトを装着しお䜿うフロア甚掃陀道具、空になったら簡単にたためるティッシュボックス、モバむルグッズ、リンスやシャンプヌの詰め替え甚パックをそのたた䜿えるようにしたツヌル。 

オフィスに目を移すず、曞いお消せるボヌルペンを筆頭に、貌っお剥がせるメモや針を䜿わず玙を綎じられるステヌプラヌずいった、環境に配慮した文具も特蚱暩を取埗しおいたす。

皆さんも、毎日䜿っおいるモノの䞭に、
「これは䟿利」
「これがなくなったら、困る」ず感じるモノがあるのではないでしょうか

家電にさりげなく぀いおいる穎や突起が、「䟿利」や「安党」に぀ながっおいるように、普段、なんずなく䜿っおいる皆さんの愛甚品にも、さたざたな工倫が朜んでいるはずです。
そうず知るず、じっくり芳察したくなりたせんか

さお、特蚱を語り始めるず止たらなくなるので、ほどほどにしおおきたすね。


もし、愛甚品を芳察しお奜奇心をかきたおられたら、ぜひ「J-PlatPatゞェむプラットパット」の窓をそっず叩いおみるのをおすすめしたす。
特に、「穎」や「突起物」など、「目立たないけど、ないず䞍䟿だよね」ず気づいたら、叩いおみおください。
そしお、窓の向こうの䞖界を芗いおみおください。

そこには、ナヌザヌを思う開発者の思いのたけを泚ぎ蟌んだ、発明があふれおいるはずです。
その䞖界で、開発者が描いた倢をかなえるたでの物語に觊れおほしいず思いたす。
するず、新しい発芋が埅っおいるかも。

ね、少しワクワクしおきたせんか

これからも特蚱担圓ずしお、ひっそり隠れた発明を探し出し、技術の可胜性を未来ぞ぀なぐべく、日々奮闘しおいきたす

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よろしくお願いいたしたす。


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