
瞬間移動
長く雨音を聞いている
中心から逸れた場所に
緑の木が一本生えている
ひと匙すくって口に入れる
苦い甘味のフレーバー
先に広がるミントに顔を歪め
舌先は痺れ
小躍りするほどの刺激に触れる
恍惚の表情
もう構わないでと言ったのに
きみは僕の前に現れた
瞬間移動するみたいに
自由に姿かたちを変えながら
手のひらで戯れ
胸の上でじゃれる
覆い被さり
握り潰すと
花の香りが立ち上る
ガラスの花びらになって
風に散っていく
ぬかるみに並んだ車輪が
次々に嵌っていく
コンクリートは固まり
工場から流れた油が
地表をゆっくりと滑っていく
雨が降り
水傘は増して
火種をこっそり川に据えた
何処からか
短い叫び声が聞こえる
チャンネルを変える
目が笑っている