
大手企業との共創から大使館案件まで。「食の課題解決」にグローバルな現場で挑む、新卒社員のリアル
新卒1年目から大手企業の経営層や行政とのやり取り、新規カフェの立ち上げ、在マレーシア日本国大使館でのイベント運営まで。グローバルな「食の課題解決」に向けて、大きなプロジェクトの最前線に立ち続けてきたSustainable Food Asia(以下、SFA)の遠藤ひかる。
マニュアルも、完成された仕組みもない環境のなかで、新卒社員としてどのように壁を乗り越え、前進してきたのか。手探りで駆け抜けた1~2年目のリアルな葛藤から仕事のやりがい、気になる日々の働き方やチームの雰囲気まで、等身大の言葉で語ってもらいました。
途上国支援への憧れから、インドネシアの土に触れた学生時代
ーー遠藤さんは大学で農業を専攻されていたんですよね。そもそも、なぜ農業や国際協力の分野に興味を持ったのですか。
きっかけは小学生の頃にさかのぼります。母がずっとユニセフに寄付をしていて、毎年家にレポートが届いていたんです。そこに載っている現地の写真やニュースを見て、幼いながらに「生まれた場所がただ違っただけで、どうしてこんなに生活の格差があるんだろう」と強い衝撃を受けました。
ーー小さい頃の体験がずっと残っていたんですね。
そうですね。成長するにつれて「生まれた場所や環境によって不平等を抱えている人々の力になりたい」と思うようになりました。ただ、広く浅く学ぶだけでは専門家にはなれない気がして。自分の強みになる専門性を身につけようと考えたとき、もともと長野の田舎育ちで農業がすごく身近だったこともあり、「農業を軸にしよう」と決めました。

ーーそこから東京農業大学に進学されたと。
はい。進学した「国際農業開発学科」は、周囲に青年海外協力隊の経験者や、海外志向の強い学生も多く集まる環境でした。高校生のときから「大学に入ったら絶対に留学する」と決めていたので、3年生の時にインドネシアの農業大学へ1年間交換留学しました。
ーーインドネシアではどんな学びがあったのでしょうか。
現地の学生に混ざって、ドリアンの接ぎ木の仕方を学んだり、現地の栄養課題を調査したりしていました。森の健康度を測定する講義を受けたり、英語で卒論を書いたりと、毎日が新しい発見の連続でしたね。
ーーかなり実践的な環境だったんですね。
はい。インドネシアの人々の温かさや、地域ごとに異なる食文化にも触れた1年間でした。その現地での体験や「現場で課題解決に関わりたい」という思いが、今の仕事に繋がる大きな原点になっています。
就活をしなかった私が、SFAで働こうと決めた理由

ーー大学4年生といえば就職活動の時期ですが、SFAとはどのように出会ったのでしょうか。
実は、いわゆる一般的な就職活動は全くしていなかったんです。ただ、「東南アジアに関われること」「農業や食の領域であること」「社会課題を解決するソーシャルビジネスに関与できること」という3つの軸は持っていて。たまたま友人にその話をしたところ、SFAを紹介してもらったんです。
ーー遠藤さんの関心領域と完全に重なっていたのですね。
まさにぴったりでした。2024年からオンラインを中心に少しずつSFAの業務に関わらせてもらうようになって、会社の熱量を肌で感じていました。インターンとして業務に関わり、2025年4月にそのまま新卒正社員として入社しました。ただ、当時のSFAは業務委託の副業メンバーがほとんどだったので、実質ひとりだけの正社員という状態からのスタートでした。
ーー新卒で「ひとりだけの社員」というのは、不安も大きかったのではないでしょうか。
最初は手探りでした。インターン時代に運営していたおむすび屋のオペレーションを教わった以外は、BtoBの事業に関しても「まずはやってみよう」という形で任されることが多くて。でも、型にはまった業務をこなすよりも、自分たちで現場を動かしていく面白さの方が勝っていましたね。

怒涛の同時進行案件。手探りのなかで学んだ仕事の進め方
ーー入社してからこれまでに、「これは本当に大変だった」という場面はありましたか。
一番大変だったのは、去年の11月ですね。あの月は、新オープンするカフェの立ち上げ準備と、在マレーシア日本国大使館でのイベント準備、さらに行政も関わる事業の対応がすべて同じタイミングで重なってしまって。「やばい!」と思っていました(笑)。
ーーそれは凄まじいスケジュールですね……。
特に大使館でのイベントは、日本側の関係企業やスタートアップとの連絡・調整を一手に引き受けていました。カフェの立ち上げも、店舗を作った経験なんて当然ありませんから、必要な機材の選定や関係者との調整等も手探り状態で。
でも、一人で抱え込まずに、関係する方々に助けを求めながら、タスクをひとつずつ分解して整理していきました。本当にてんてこ舞いで、カフェオープン当日は現地で見届ける余裕もなく、そのままマレーシアへ飛ぶスケジュールだったんですけど(笑)。
ーー怒涛の過密スケジュールですね(笑)。
でも、無事にすべてをなんとかやり遂げて、大きな安心感と達成感がありました。「やらないといけない状況になったら、意外となんとかなるんだな」という気づきを得られた体験でした。


世の中にまだない「新しい食」が生まれる瞬間に立ち会える面白さ
ーー日々の業務の中で、特に面白さを感じるのはどんな瞬間ですか。
まだ世の中にない「新しいプロダクト」が生み出される、その瞬間に立ち会えることです。たとえば今、大手食品素材メーカーさんとスタートアップ企業さんが共同で、お米を原料にした代替チョコレートを開発するプロジェクトを進めていて。まだ世の中にないものを試作段階で試食させてもらいながら、展示やポップアップイベントを通じて生活者や事業者さんに届けるサポートをしています。
ーーまさにイノベーションの現場ですね。
そうなんです。ただの仲介ではなく、新しい技術や素材が社会に広まっていくリアルなプロセスに間近で関われるのは、この仕事ならではのワクワク感ですね。
勢いだけじゃない。「言葉に裏表がない」誠実なチーム
ーーSFAの社内の雰囲気や、一緒に働くメンバーについてはどう感じていますか。

私自身、ベンチャーというと「勢いで突っ走る」というイメージを少し持っていたのですが、SFAのメンバーは実はすごく細やかで丁寧なんです。相手企業の信頼に繋がるような事前の確認や言葉選び、細かいケアを徹底しているメンバーも多くいて。その誠実さがあるからこそ、大きなプロジェクトが成り立っているんだなと日々感じています。
ーー代表の海野や他のメンバーとの関係性はいかがですか。
海野は、とにかく引き出しが多くて、SFAだけではなくIMA社も経営しているのに、常に全体を把握しているので驚かされます。特に印象に残っていることは、アフリカに一緒に出張に行ったときのこと。タンザニアで女性の課題に取り組む起業家や、ラオスのコーヒー農家さんからお話を聞いて、「社会にとって本当に必要なことなら応援しよう」と、一瞬で支援することを決断します。損得勘定ではなく、ピュアな情熱で動く方ですね。
ーー遠藤さんご自身の意見も求められる環境ですか。
はい。先輩からも「イエスマンになって指示通り動くだけじゃ面白くないよ」と言われたことがあって。誰の発言であっても「本当にそうか?」と自分の頭で考え、意見を出し合う風土があります。小さな組織だからこそ、自分の意見がダイレクトに会社に反映されますし、自分たちの手でカルチャーを作っていける感覚があります。

木曜19時は手話講座へ。自分の時間を大切にできるから頑張れる
ーー日々の働き方や、プライベートとの両立についても教えてください。
残業をすることもありますが、遅くても19時半くらいには区切りをつけて帰っています。家でゆっくりドラマを見たり、料理をしたりもしています。今年の4月からは、区が主催している週1回の手話講座に通っているんです。講座がある木曜日は特に、19時からの講座に絶対に間に合うように集中して仕事を終わらせて退勤しています。
ーー手話を習い始めたきっかけは何だったのですか。
以前観たドラマの影響で興味を持って、手話を覚えたら言葉なしで遠くの人と会話できて面白いなと思ったんです。デフリンピックのボランティアに参加した際も、手話でスムーズに会話している方々がすごくかっこよくて。もっと勉強したいと思って講座に応募しました。
ーーいいですね。休日はどのように過ごされているのですか。
休日は近くの公園を散歩したり、ジムに通ったりしてリフレッシュしています。今度、インドネシア留学時代の友人が初めて日本に遊びに来るので、お休みをいただいて実家に案内する予定です。会社全体がプライベートや家族の時間をとても大切にしてくれるので、無理なくモチベーションを維持できています。

カオスな環境を面白がり、自由に未来を描ける仲間とともに
ーー最後に、これからSFAにどんな人が入ってきてほしいか、メッセージをお願いします。
「ゼロから新しいもの作り出すこと」を楽しめる人に入ってきてほしいです。SFAには、決まったパッケージ商品があるわけではありません。国も地域も、関わる企業の業種も本当にさまざまです。完成された仕組みがないからこそ、自分で考えて自由に動ける面白さがありますね。
ーー自分で考えて動くことが好きな人にはぴったりの環境ですね。
正解が用意されていないカオスな環境を、不安がるのではなく「どうやって良くしていこうか」とワクワクしながら面白がれる人と一緒に働きたいですね。「新しい食のスタンダードを創造する」というミッションに向かって、「多様な人々と出会いながら自分も成長していきたい」という方とお会いできるのを楽しみにしています。
おわりに
「正社員はひとりだけ」という環境からスタートし、自身の足でしっかりと歩んできた遠藤。
大きな裁量と責任の中で、手探りになりながらも着実に視野を広げてきた彼女の言葉には、未完成な組織を自分の手で動かしていく、スタートアップならではの本当のやりがいが溢れていました。
出来上がったレールを走るのではなく、自らレールを敷いていく楽しさを味わいたい。そんな想いを持つ方の挑戦を、SFAはいつでも待っています。
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