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母とお酒

20歳になって、初めてお酒が飲めるようになった日。

母と一緒に飲んだ。

異様にお酒が強かった僕を見て、母は、

「誰の子だ!」

なんて笑いながら、僕の頬をつねってきた。

母の誕生日に、母が生まれた日の新聞記事と一緒に、母と同じ名前のお酒を贈った。

その空き瓶は、いつの間にかキッチンにひっそりと飾られていた。

息子が生まれた。

母も、おばあちゃんになったんだなと思って、敬老の日にお酒を持ってお祝いに行った。

すると、

「もう二度と敬老の日にお祝いするな!」
笑いながら怒られた。

そのうえ、

「おばあちゃんじゃない。ヴァヴァンと呼べ。『う』に『"』の方で。」

と、酔ったのか変なことを言い出した。
以来、母の呼び方はヴァヴァンになった。


そういえば。

小さい頃から、母がお酒を飲んでいるところを、あまり覚えていない。

僕には夢遊病があった。

夜中に突然起きて、何をするかわからない僕を心配していたからだろうか。

もちろん、それも理由の一つなんだろう。

でも、自分の子どもが生まれて、ようやく気づいた。

夜、熱を出したら。

夜、熱せん妄で突然走り出したら。

夜、急に車を出さなきゃいけなくなったら。

お酒を飲んでいて、行動を制限されては困る。

母は、きっとそんなことを考えていたんだと思う。

お酒が好きだったなんて、つゆ知らず。

僕が知らないところで、母はずっと「母親」をしてくれていた。

子どもだった僕には、当たり前すぎて気づかなかった。

自分が親になって、ようやく少しだけわかった。

あの頃、母が選んでいたものの中には、僕には見えていなかった「ありがとう」がたくさんあったのかもしれない。

だから今度は、僕から。

晩酌くらい、付き合いますよ。

僕はノンアルコールで失礼しますけど。

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