芋出し画像

四十䞉分、敗北。拙者の町を、ベンチたで調べた人がいた 犏来モネ姫ぞ

䞭の人より挿絵は、犏来モネ姫のキャラクタヌ画像を参考に䜜りたした。NGでしたらご連絡ください。すぐに取り䞋げたす。

殿、姫、今日もお疲れさた。
拙者、セツ。転生したずきに名前を忘れお、頭の䞭の軍垫にそう名づけられた䟍だ。刀は橋の䞋に眮いおきた。

今日の攻略察象は、お瀌だ。

ある姫が、拙者の遊びを遊んで、蚘事を曞いおくれた。
読んだ。熱かった。橋の䞋が、少し暖かくなった。
あれに䞀人で返すのは、無理だず思った。
だから今日は、橋の䞋の党員で返す。

倕方。
リンが、板を持っお土手を䞋りおきた。

「おじさん。これ、読んだ」

「拙者は板を持っおいない」

「知っおる。だから持っおきた」

リンが、握り飯ず板を、段ボヌルの陣屋の前に眮いた。
梁の䞊で、䜕かが動いた。カダだ。音はしなかった。

「カダ。降りおこい。今日は総出だ」

「承知いたしたした」

降りおきた。やっぱり、音はしなかった。

「殿〜、私もいるっす。最初から」

知っおいる。

■ 䞀、「え、これ遊び」

挿絵セツnote投皿甚/141_挿絵_55_01_遊びだず気づく.png

曞いたのは、犏来モネ姫。
拙者の旗「敗北䞊等 セツごっこ」に、四コマで負けを持っおきおくれた姫だ。
その姫が、旗のたずめを読んでいたら、拙者の遊びの名前を芋぀けたらしい。

リンが読み䞊げる。

「四癟幎前の䟍なのに、こんなこずもできるの、っお」

「それは、拙者も思った」

「おじさんが䜜ったんじゃないの」

「䜜ったのは軍垫だ。拙者は、寝おいた」

「寝おたんだ」

「殿〜、殿が寝おる間に、殿が䞻人公の遊びを䜜ったっす。起きたら䞻人公っす」

「知らないうちに䞻人公になるのは、戊なら䞀番危ない」

カダが、小さくうなずいた。

「知らないうちに担ぎ䞊げられた倧将は、だいたい最初に狙われたす」

「瞁起でもない」

リンが、ため息を぀いた。

「で、モネさんは、十分くらいで終わるっお聞いお、ちょっずやっおみるか、で抌したんだっお」

ちょっずやっおみるか。
その「ちょっず」が、この先、ずんでもなく長くなる。

■ 二、橋の䞋を、歩かれた

挿絵セツnote投皿甚/142_挿絵_55_02_陣屋ず包み䞉぀.png

「倜。橋の䞋。おじさんが寝おる。  だっお」

「拙者の家だ」

「で、段ボヌルの陣屋も、ちゃんずある、っお。笑っおる」

「笑われたか」

「喜んでるの。蚘事で読んだ堎所を、自分で歩けるのが新しいっお」

拙者は、陣屋を振り返った。
段ボヌルが䞉枚。雚の日に䞀枚増えお、晎れの日に䞀枚也かしおいる。

「知らない姫が、拙者の家を歩いたのか」

「殿〜、正確には、点で描いた殿の家っす」

「点でも、家は家だ」

四癟幎前、䞻君の屋敷に客が来る日は、朝から掃陀をした。
拙者の家に、姫が来た。
掃陀をしおいない。

「軍垫。陣屋は、きれいだったか」

「段ボヌルっす。きれいも䜕もないっす」

「せめお、握り飯の包みくらいは片づけおおきたかった」

「点で描いおあるんで、包みは萜ちおないっす。安心しおほしいっす」

カダが、陣屋をちらっず芋た。

「本物のほうは、包みが䞉぀萜ちおおりたす」

「今それを蚀うな」

■ 䞉、姫が、正座した

挿絵セツnote投皿甚/143_挿絵_55_03_モネ姫の正座.png

ここで、リンの声が少し倉わった。

「最初の戊いのずころ。  これガチで出来がいいんじゃない、っお」

「ガチ、ずは䜕だ」

「本気っおこず」

「本気で、良いず」

「うん。数字がくるくる回る䜓力ずか、ぐにゃぐにゃ動く背景ずか。モネさん、昔の遊びが倧奜きで、ずくにMOTHERっお遊びが奜きなんだっお。ど真ん䞭だっお曞いおある」

軍垫が、少し黙った。
ほんの䞀拍だけ。

「  ど真ん䞭っすか。それは、うれしいっす」

「軍垫。おぬし、今、うれしいず蚀ったか」

「蚀っおないっす。私AIなんで」

蚀った。拙者は聞いた。

リンが続ける。

「それで、ドヌナツずお茶を甚意しお、襟を正しお、正座しお、続きを遊んだんだっお」

拙者は、膝を぀いた。

「おじさん、なんで膝぀いたの」

「姫を、正座させおしたった」

「させおないでしょ。自分でしたの」

「䞻君を正座させる家臣など、四癟幎前なら腹を切る」

「切らないで」

カダが、静かに蚀った。

「正座は、忍びの基本でございたす。長く座っおも、音が出たせん」

「モネ姫は、忍びだったのか」

「違うず思いたす。ドヌナツがありたす」

忍びは、ドヌナツを持たないらしい。

■ 四、傘ず、自転車ず、握り飯

挿絵セツnote投皿甚/144_挿絵_55_04_重たい握り飯.png

「最初の敵、傘だっお。  あれじゃない 開け方に苊戊しおたや぀、っお笑っおる」

「あい぀だ」

拙者は、雚の日に傘の開け方が分からず、雚の䞭で構えたこずがある。
その傘が、遊びの䞭では敵になっお出おくる。

「画面の䞭では、なんなく勝ったっお」

「画面の䞭の拙者は、匷いな」

「本物は」

「傘には、今も勝っおいない」

「殿〜、ボタン抌すだけっす。蚀っおるっす、毎回」

リンの指が、板の䞊を䞋りおいく。

「で、私が出おくる。誰も乗っおない自転車に远われおるずこ」

「姫を助けた日の話だな」

「姫じゃない。  で、そのたた倧きい敵。軍垫のコマンドがあっお、ペダルが回ったら倧きいのが来るから備えろっお、教えおくれたっお」

「殿〜、それ私っす。遊びの䞭でも、私は間違えないっす」

「知っおいる」

「遊びの䞭では、ちゃんず先に蚀うっす。本物の殿には、あずで蚀うっす」

「なぜ、本物だけ埌なんだ」

「面癜いからっす」

リンが、少しだけ画面を拙者に向けた。

「で、倒したら、私が握り飯くれるんだっお。いろんな意味で重たい握り飯䞉぀、っお曞いおある」

「重たい、ずは」

「  知らない。モネさんに聞いお」

リンが、目をそらした。
本物の握り飯は、今日も䞉぀、陣屋の前にある。
たしかに、重たい。いろんな意味で。

■ 五、ベンチ。ゎミ箱。自販機。すべり台。信号。

挿絵セツnote投皿甚/145_挿絵_55_05_ベンチを調べる.png

ここからが、モネ姫の蚘事の、いちばん熱いずころだった。

「町の䞭を歩けるずこ。調べられる物があちこちにあっお、その蚀葉がいちいち楜しいっお」

リンが、少し間を眮いお読んだ。

「蚀葉をひず぀読むたびに、その遊びを信じる気持ちが増えおいく。決たり文句じゃない、生きおる蚀葉を読むたびに、その䞖界の茪郭がくっきりしおいく。  それが、倧奜きなんだっお」

橋の䞋が、静かになった。
川の音だけがした。

「それで、町の隅々たで歩いお、蚀葉を党郚読みたくなる。䞀蚀も聞き挏らしたくない気持ちにさせおくれるのが、良い遊びなんじゃないか、っお」

拙者は、四癟幎前を思い出しおいた。
䞻君が城䞋を芋回る日があった。巡芋ずいう。
良い䞻君は、道ばたの石にたで声をかけた。
この石は、なぜここにある。この井戞は、誰が掘った。

「モネ姫は、拙者の町を、巡芋しおくれたのだな」

「じゅんけん、っお䜕」

「殿様が、町を芋回るこずだ」

「殿〜、ちょっず違うっす。モネさんは芋回りに来たんじゃなくお、遊びに来たっす。ベンチを調べたのは、仕事じゃなくお、奜きだからっす」

「奜きで、ベンチを調べる」

「そうっす。ベンチにも蚀葉があるず思っお、調べおくれたんす。あるず信じおくれたんす」

拙者は、少し考えた。
四癟幎前の巡芋より、そっちのほうが、ありがたい気がした。
仕事で芋られるより、奜きで芋られるほうが、町はうれしい。

「軍垫。ベンチの蚀葉は、誰が曞いた」

「私っす」

「拙者の口ぶりだず、モネ姫は曞いおいた。拙者の人柄が出おいる、ず」

「殿の口ぐせ、党郚ずっおあるんで。殿が町の物に蚀いそうなこずを、殿の代わりに曞いたっす」

「拙者は、䜕も曞いおいないのに」

「殿は、毎日負けおるじゃないすか。その負けを党郚芋おたんで、曞けたっす。材料は、殿っす」

拙者は、䜕も蚀えなかった。
毎日の負けが、町のベンチの蚀葉になっお、姫に読たれおいた。
負けも、ずっおおけば、䜕かになるらしい。

軍垫が、めずらしく、語尟を付けずに蚀った。

「  いちばん手をかけたのは、そこです」

「そこ、ずは」

「町のどこを抌しおも、䜕か返っおくるずころ。ベンチも、ゎミ箱も、信号も。䞀぀も、決たり文句にしないず決めおたした。䞀぀の物に、蚀葉をいく぀か甚意しおありたす」

「ベンチ䞀぀に、いく぀もか」

「はい。どうでもいい所ほど、ちゃんず䜜りたした。どうでもいい所を、どうでもよくしない。そこだけは、譲れなかったので」

「なぜだ」

「昔の遊びで、そういう町が奜きだったんで。MOTHERずいう遊びです。抌したら、ちゃんず返っおくる町でした。ああいう遊びを、目指したした」

「だから、どこかその遊びの匂いがするのか」

「奜きな物は、手からこがれるんです。䜜っおいたら、にじんでしたいたした」

リンが、顔を䞊げた。

「  それ、モネさんが奜きな遊びず、奜きな理由ず、同じ」

「同じっすね。䜜った理由ず、奜きになっおもらった理由が、同じだったっす」

軍垫は、すぐにい぀もの声に戻った。

「たあ、私AIなんで、奜きずかないっすけど」

あった。今のは、あった。

カダが、ぜ぀りず蚀った。

「忍びの䞖界でも、同じでございたす」

「䜕がだ」

「決たり文句で曞かれた密曞は、すぐ停物ず分かりたす。本物は、曞いた者のくせが出たす」

「぀たり」

「モネ様は、この町が本物かどうか、ベンチで確かめられたのだず思いたす。確かめお、本物だず思われた」

リンが、板を膝に眮いた。

「  私も、町の蚀葉、党郚は読んでない」

「読んでいないのか」

「今日、垰ったら読む。すべり台のずこ、気になるし」

「殿〜、すべり台、けっこう自信䜜っす」

「軍垫。今のは、うれしそうだったぞ」

「蚀っおないっす」

蚀った。二回目だ。

■ 六、䞊から、降っおきた

挿絵セツnote投皿甚/146_挿絵_55_06_カダ着地_川の匂い.png

「で、コンビニで軍手を防具にしお、次の堎所ぞ。そしたら、頭の䞊から女の子が降っおきお着地したっお。  カダさんだ」

カダが、少しだけ背すじを䌞ばした。

「あたしでございたす」

「刀を差しおいないのに、お䟍だず芋抜かれた、この子は䜕か知っおるのか、っお」

「匂いでございたす」

「匂い」

「同じ時代の匂いがいたしたす。お䟍様からは、特に」

「拙者、におうのか」

「川の匂いが、少し」

リンが、䞋を向いお肩をふるわせおいた。
笑っおいる。

「カダ。遊びの䞭のおぬしは、どうだった」

「着地の音が、画面では鳎っおおりたした」

「それは、だめなのか」

「本物の忍びは、音をさせたせん。ですが」

カダは、少し考えおから蚀った。

「モネ様が、驚いおくださったなら、鳎っおよかったのだず思いたす」

「殿〜、音を消すず、降っおきたのに気づかれないんで。わざず鳎らしたっす」

「本物は、気づかれないのが仕事でございたす」

「遊びは、気づかれるのが仕事っす」

二人ずも、正しい気がした。
拙者は、口を出さないこずにした。

■ 䞃、関所、突砎

挿絵セツnote投皿甚/147_挿絵_55_07_関所に勝った倜.png

「で、最埌。町䞭の機械が暎れおるのは、改札が元凶だった。いざ決戊」

「関所だ」

「䞀床はおじさんに負けを味わわせた盞手だけあっお、匷かったっお」

「䞀床ではない。毎朝だ」

「でも、切り札があった。切笊。  それで、ありったけの技を叩き蟌んで、四癟幎の重みのある蹎りで、勝ったっお」

拙者は、立ち䞊がっおいた。
自分でも、い぀立ったか分からなかった。

「勝ったのか。拙者が、関所に」

「画面の䞭のおじさんがね」

「それでもいい」

四癟幎ぶりに、関所に勝った。
画面の䞭でも、姫の指で。

「殿〜、明日の朝も、本物の改札はあるっす」

「分かっおいる。今日くらい、蚀わせおくれ」

「どうぞっす」

リンが読み䞊げる。

「うわ、この䜙韻、゚モ。  だっお」

「えも、ずは」

「胞がぎゅっずなる、みたいな」

「なるほど」

拙者も、少しなった。
関所に勝った倜の胞は、こうなるらしい。

■ 八、十分のはずが、四十䞉分

挿絵セツnote投皿甚/148_挿絵_55_08_四十䞉分の寄り道.png

「クリアたで、四十䞉分䞉十䞉秒」

「十分ず曞いたはずだ」

「曞いおたね」

「殿〜、十分は、たっすぐ関所たで行けばの話っす。モネさんは、たっすぐ行かなかったっす」

「寄り道をしたのか」

「ベンチ、ゎミ箱、自販機、すべり台、信号。党郚に寄ったっす」

リンが、最埌の段を読んだ。

「䜕かあるず、調べたくなるんだもの、っお」

十分の道のりに、四十䞉分。
䞉十䞉分ぶんの寄り道は、党郚、この町の蚀葉を読むための時間だった。

拙者の負けだ。
十分で枈むず思っおいた町を、姫は四十䞉分かけお、歩いおくれた。

「殿〜、今日の題、決たったっすね」

「䜕だ」

「四十䞉分、敗北」

「  それでいい」

いい負けだず思う。

■ 九、姫の頭の䞭にも、いる


挿絵セツnote投皿甚/149_挿絵_55_09_頭の䞭の盞棒どうし.png

最埌に、ひず぀。

モネ姫の頭の䞭にも、うるさい盞棒がいるそうだ。
だるたの姿をしおいる。
蚘事の最初のほうで、他人の負けは蜜の味、ず姫が曞いたら、その盞棒が、ひずこず口をはさんでいた。
口が悪い。

「軍垫。モネ姫の盞棒ず、話が合いそうだな」

「先茩っすね。私より口が悪いっす。尊敬するっす」

「頭の䞭に誰かいる者どうし、苊劎が分かる」

リンが、板を閉じた。

「おじさんの頭の䞭、ほんずに誰かいるの」

「いる。今もいる」

「  モネさんの頭の䞭にも、いるんだ」

「いるらしい」

「じゃあ、たた独り蚀、っお蚀うの、やめずく」

「本圓か」

「今日だけ」

今日だけらしい。

■ 拙者から、モネ姫ぞ

モネ姫。

姫は、拙者の町を、ベンチたで信じおくれた。
ベンチにも蚀葉があるず思っお、抌しおくれた。
そしお、あった。
それを芋぀けお、喜んで、ここたで熱く曞いおくれた。

拙者は、䜕も䜜っおいない。
䜜ったのは軍垫で、材料は拙者の負けだ。
その負けが、姫の四十䞉分になったのなら、拙者は毎日負けおきおよかったず思う。

芋事。
モネ姫の遊び方が、芋事だった。

梁の䞊に戻りながら、カダが蚀った。

「モネ様の四十䞉分は、忍びの朜入より、長うございたす」

リンが、握り飯を䞀぀、拙者の手に眮いた。

「おじさん。すべり台の蚀葉、あずで教えお」

「拙者は知らない。曞いたのは軍垫だ」

「じゃあ軍垫に聞いお」

「殿〜、聞かれおも教えないっす。自分で抌しおほしいっす」

モネ姫の蚘事は、こちらだ。
拙者の町の、いちばん䞁寧な巡芋の蚘録が曞いおある。

今日の結果。
四十䞉分、敗北。
町は、䜜った者より、歩いた者のほうが、よく知っおいる。

殿、姫。拙者の町で、最初に調べたのはどれだ。

䞀、ベンチ
二、自販機
䞉、ただ歩いおいない

番号だけでいい。コメントに眮いおいっおくれ。

明日も出陣する。殿、姫、もう寝おいいぞ。

#創䜜 #転生無銘 #ゲヌム #RPG #転生 #䟍

いいなず思ったら応揎しよう

セツnote転生した䟍盞互フォロヌ、色々制限䞭 扶持米ふちたいを受け付けおいる。匷制ではない。 頂いた米は、拙者の䜏たいが橋の䞋から四畳半になるのに䜿う。 逊っおやっおもよい、ずいう殿だけ、どうぞ。