メインコンテンツへスキップ
見出し画像

小さなお花畑は宝箱

    仕事で停めた駐車場の片隅に、
    それはあった。

    その小さなお花畑は、

    宝箱を開けたようだった。

    ネジバナ。

    アカバナユウゲショウ

    ニワゼキショウ。

    カタバミ。

    画像
    ネジバナ

    懐かしい草花たちが、

    笑っているようだった。

    蘇る記憶。

    三歳くらい。

    目黒の小さな芝生で、
    追いかけ回したバッタ。

    四歳くらい。
    初めて買ってもらった図鑑を抱えて、

    父の腕に
    ぶら下がりながら歩いた公園。

    学校の林間学校にも、
    欠かさず持って行った、
    植物図鑑、
    昆虫図鑑、
    そして野鳥図鑑。

    画像
    当時の図鑑。
    画像
    小3当時のメモ

    草花を見つけるたび、

    記憶の糸が、

    少しずつほどけていく。

    森へ、
    川へ、
    行くことも多かった。

    家の近くの芝生。

    自転車で出かける森。

    ひとりで歩いた森林公園。

    どこへ行っても、

    私にとっては宝探しだった。

    ある日の森で、

    父が突然、
    「ちょっとこい、ちょっとこい」
    と歌い出したことがあった。

    その声は、

    森の中で、
    こだまになって響く。

    すると、
    その声に応えるかのように、

    「ちょっとこい、ちょっとこい」
    どこからか声が返ってくる。

    そう、

    コジュケイだ。

    私は慌てて姿を探した。

    木の間。
    枝の一本一本。
    空。

    遠くまで見渡しても、
    どうしても見つからない。

    声は聞こえるのに、

    姿だけが見えない。

    父とコジュケイ。

    どちらが先に鳴いたのか、
    分からなくなる。

    そんな時間が好きだった。

    目を閉じて、
    森の声を聴く。

    父の手のぬくもりと、

    森のやさしい空気に包まれながら。

    花を見つける。
    虫を見つける。
    鳥の声を聴く。

    気になるものがあれば、
    図鑑を開く。

    そんなことを繰り返していた日々。

    大人になった今も、
    小さなお花畑を見つけた私は、
    同じことをしている。

    そう気づいて
    思わず笑みがこぼれた。

    そのとき、
    お花畑に、
    新しい訪問者がやってきた。

    ムクドリのつがいだ。

    私におかまいなしに、

    あっちへ、
    こっちへ、
    忙しそうに歩いている。

    画像

    手を伸ばせば届きそうな距離。

    驚かせないように、
    私は静かに壁になる。

    すると、

    その足元に、
    何かが動いた!

    そっとしゃがんだ。

    スカートが風に揺られ、

    ふわりと草を包み込む。

    カメラを向けたその先にいたのは、

    ショウリョウバッタ。

    画像
    さて、バッタはどこにいるでしょう😊
    画像
    小学生の私がコレだと教えていたーꉂ🤣𐤔‪


    ちなみに保育園時代から
    大好きだった、
    ダンゴムシにも、丸がついていた。

    コオニヤンマとオニヤンマの
    区別をしていた子どもだったが、
    ダンゴムシは、虫だと思っていた。

    画像
    図鑑にはしっかり〇印


    小さなアカバナユウゲショウに、
    もっと小さな蜂。

    画像
    地球の片隅で

    足元に広がる世界は、

    今日も確かに命を伝えている。

    きっと、私は、

    今も、

    図鑑を抱えていた、
    あの頃のままなのだ。

    父の手のぬくもり。

    森のやさしい空気。

    鳥たちの声。

    それらは今でも、
    私の中に残っている。

    誰かにとっては、
    ただの草むらかもしれない。

    誰かにとっては、
    ただの森かもしれない。

    けれど私の目には、

    みんな大切な宝物。

    すべて、

    命輝く宝箱。 🍀✨

     
     
    文章を書く人。 守りたかった時間と、 消えていく記憶を、 心からの「ありがとう」とともに。 綴っています。

    あなたへのおすすめ