
雨の日の傘┃拝啓文芸部☕
拝啓
愛する人へ
私はずっと、貴方は女心など分からない人なのだと決めつけていました。
約束を忘れ、
言ってはいけないことを平気な顔で口にし、
私が傷ついていても、なぜ怒っているのか分からない。
そんな貴方に、私は何度期待を裏切られ、何度泣かされ、どれほど心の光を奪われてきたことでしょう。
それなのに、今日も貴方は何事もなかったかのような顔で、私の前に珈琲を差し出しました。
「冷めるぞ」
たったそれだけの言葉でした。
今日の私の心は、朝から雨が降り続いているようでした。
貴方の不意の優しさは、雨の日に差し出される傘のようです。
濡れた私を、何も言わずに包み込んでしまう。
本当に、ずるい人です。
だから私は、今日もまた、貴方を愛してしまうのです。