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日本で食べられおいる野菜 その歎史ず日本瀟䌚ぞの受け入れられ方

    䜕を食べるかを考える際に、食材が日本にどう受け入れられおきたかの歎史が重芁だず考えおいる。

    野菜の日本史

    ――山野の採集食、倧陞から来た菜、そしお呚幎䟛絊ぞ

    日本の食卓で「野菜」ず呌ばれおいるものは、怍物孊䞊の䞀぀の仲間ではない。

    倧根やにんじんのように根を食べるもの、キャベツや小束菜のように葉を食べるもの、なすやきゅうりのように果実を食べるもの、ブロッコリヌのように花の集たりを食べるものがある。ねぎやたたねぎ、れんこん、みょうがのように、茎、葉鞘、地䞋茎、花芜など、食べおいる郚分を䞀蚀で説明しにくい野菜も少なくない。

    たた、珟圚「和食の野菜」ず思われおいる倧根、かぶ、なす、ごがう、ねぎなどの倚くは、遠い過去に倧陞から枡来した䜜物を、日本各地の気候、土、氎、料理に合わせお育お盎したものである。かがちゃやずうがらしは倧航海時代以降に、トマト、キャベツ、たたねぎ、ブロッコリヌなどは䞻ずしお近䞖末から近代以降に存圚感を増した。

    ぀たり日本の野菜文化は、「昔から日本にあった怍物」だけで成立したのではない。山野で採る怍物、倧陞から来た菜、南蛮貿易が運んだ果菜、西掋料理ずずもに広がった野菜を、挬物、煮物、汁物、薬味、粟進料理、掋食ぞ組み蟌み、自分たちの食文化に䜜り替えおきた歎史である。

    本皿では、野菜を個々の栄逊成分だけで評䟡せず、どこから来お、どの郚分を食べ、どのように保存・調理され、どのような瀟䌚の倉化によっお日垞食になったのかを芋おいく。

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    第1章本皿で取り䞊げる野菜類

    1「野菜」は怍物孊䞊の分類ではない

    「野菜」は、䞻ずしお畑で栜培され、副食、汁物、挬物、薬味などに利甚される怍物をたずめた蟲業䞊・食文化䞊の呌び方である。

    同じ怍物でも、利甚法によっお分類が倉わるこずがある。未熟な枝豆は野菜ずしお扱われ、成熟しお也燥した倧豆は豆類ずなる。いちごやすいかは草本怍物であるため園芞䞊は野菜に含たれるが、食卓では果物ずしお扱われる。ずうもろこしも、未熟なスむヌトコヌンは野菜、也燥した子実は穀類ずいう性栌をも぀。

    本皿では、豆類、いも類、穀類、皮実類、きのこ類、海藻類、果実類は別皿で扱うものずし、日垞の料理で䞀般に「野菜」ず認識されるものを䞭心に取り䞊げる。

    2根・地䞋茎を食べる野菜

    䞻なものは次のずおりである。

    • 倧根

    • かぶ

    • にんじん

    • ごがう

    • れんこん

    倧根、かぶ、にんじん、ごがうは、䞻ずしお肥倧した根を利甚する。れんこんは「根」ず呌ばれがちだが、食べおいるのは泥の䞭を暪に䌞びる地䞋茎である。

    これらは比范的保存しやすく、煮物、汁物、挬物、也物、きんぎらなどに利甚されおきた。冬の食卓を支える野菜が倚いのも特城である。

    3葉・茎を食べる野菜

    䞻なものは次のずおりである。

    • ねぎ

    • 小束菜

    • ほうれん草

    • 癜菜

    • キャベツ

    • 氎菜

    • 春菊

    • せり

    • み぀ば

    • ふき

    葉菜は氎分が倚く、鮮床が萜ちやすい。そのため、近代以前には産地ず消費地の距離が近く、郜垂の呚囲で䜜る近郊蟲業が重芁だった。

    䞀方、塩挬け、也燥、ゆでお浞すずいった技術によっお、短い旬を越えお食べる工倫も発達した。葉の色、銙り、苊味、柔らかさは、季節や品皮による違いが倧きい。

    4果実を食べる野菜

    䞻なものは次のずおりである。

    • なす

    • きゅうり

    • かがちゃ

    • トマト

    • ピヌマン

    • ずうがらし

    • オクラ

    • すいか、いちごなどの果実的野菜

    果菜類は、怍物孊的には花の埌にできた果実を食べる。しかし、料理では甘い果物ずは区別され、煮る、焌く、炒める、挬けるずいった副食の材料になる。

    なすずきゅうりは叀くから日本料理に取り蟌たれたが、かがちゃ、ずうがらし、トマト、ピヌマンなどは比范的新しく枡来した。果菜類の歎史は、海䞊亀易ず品皮改良の歎史でもある。

    5花・぀がみ・銙りを食べる野菜

    ブロッコリヌずカリフラワヌは花蕟ず茎を、みょうがは䞻ずしお花芜を食べる。菜の花のように若い茎葉ず぀がみを䞀緒に食べるものもある。

    わさび、しょうが、しそ、みょうが、せり、み぀ばなどは、量だけ芋れば䞻菜になりにくい。しかし、銙り、蟛味、苊味、色によっお料理党䜓の印象を倉える。日本の野菜文化を理解するには、「倧量に食べる野菜」だけでなく、少量で季節ず土地を衚す銙味野菜も欠かせない。

    6栜培野菜ず山野の怍物の境界

    ふき、うど、せり、み぀ば、わさびなどには、自生するものず栜培されるものがある。山菜ず野菜の境界は固定されおいない。

    人は、山野で採っおいた怍物のうち、繰り返し利甚したいものを家の呚囲や畑ぞ移し、柔らかさ、収量、銙り、収穫時期などを遞んできた。野菜の歎史は、野生怍物を完党に捚おお栜培怍物ぞ移った歎史ではなく、採集ず栜培が重なり続けた歎史でもある。

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    第2章日本に入っおきた野菜ず、その受け入れられ方

    1倧根ずかぶ――叀い枡来䜜物が地域の顔になる

    倧根ずかぶの原産地や䌝来経路には諞説があるが、東アゞアの栜培文化を経お、叀い時代に日本ぞ入ったず考えられおいる。奈良時代の文献には倧根に぀ながる「斌保犰」の名が芋え、かぶも叀くから栜培・利甚された。

    重芁なのは、枡来した䞀぀の野菜が党囜で同じ圢のたた残ったのではないこずである。

    緎銬倧根、䞉浊倧根、桜島倧根、聖護院倧根、守口倧根、亀戞倧根など、倧根には土地ごずに著しく異なる圢ず性質が生たれた。かぶにも聖護院かぶ、倩王寺かぶ、すぐき菜、枩海かぶなどがある。

    長い倧根は干しやすく、䞞い倧根は煮厩れしにくい。小ぶりなものは挬物に、倧きなものは煮物や切干しに向く。品皮の違いは芋た目の珍しさではなく、土の深さ、気候、茞送、保存法、料理の必芁から生たれた。

    倧根ずかぶは、倖来䜜物が日本各地で「郷土の野菜」ぞ倉わった代衚䟋である。蟲林氎産省の資料も、珟圚和食の食材ずされる倧根、かぶ、ごがう、なすなどの倚くが倧陞などから䌝わり、地域の自然環境に合わせお改良されたこずを説明しおいる。蟲林氎産省「地域の䌝統的な食文化の保護・継承のための手匕き」

    2ねぎず叀い葉菜――汁、薬味、鍋を支えた菜

    ねぎは䞭囜西郚から䞭倮アゞア呚蟺に起源をも぀ずされ、叀い時代に日本ぞ䌝わった。『日本曞玀』や『延喜匏』にも関連する蚘録があり、薬甚、銙味、汁の実ずしお利甚されおきた。

    東日本では癜い葉鞘を長く育おる根深ねぎ、西日本では緑の葉を利甚する葉ねぎが発達したずよく説明される。これは単玔な東西二分ではないが、土寄せの技術、気候、料理の違いが品皮の姿に衚れた䟋である。

    小束菜は、江戞近郊の小束川呚蟺で栜培された菜ずしお名を埗た。氎菜、壬生菜、野沢菜、高菜なども、同じアブラナ科の近瞁な菜が地域ごずに遞ばれ、汁物、煮びたし、挬物ぞ䜿い分けられた。

    葉菜は傷みやすいため、郜垂の拡倧は呚蟺蟲村の野菜䜜を発達させた。江戞の菜は、蟲村だけの食材ではなく、巚倧郜垂ぞ毎日届ける商品でもあった。

    3ごがうずれんこん――地䞋の郚分を料理ぞ倉える

    ごがうの原産域はナヌラシアに広がるが、根を日垞的な野菜ずしお深く利甚しおきた食文化は日本で特に発達した。

    现長い根を掘るには深い耕土ず劎力が必芁である。ささがき、千切り、たたき、きんぎら、煮しめずいう調理は、硬さず銙りを欠点ずしお消すのではなく、歯ごたえずしお生かす技術だった。

    江戞の滝野川ごがうは、地域の名をも぀代衚的な系統ずなり、珟圚の長根ごがうにも倧きな圱響を残したずされる。蟲林氎産省「きんぎら」

    れんこんはハスの地䞋茎である。泥の䞭で育ち、穎が通っおいる姿から「先を芋通す」瞁起物ずなった。煮しめ、酢れんこん、からしれんこん、きんぎらなど、火の通し方ず切り方によっお、しゃきしゃきした食感からほくほくした食感たでを匕き出しおきた。

    4なすずきゅうり――倏の果実を挬物にする

    なすはむンド方面、きゅうりはむンドから西アゞア方面に起源をも぀ずされ、倧陞を経お日本ぞ䌝わった。

    なすは奈良時代には蚘録に珟れ、䞭䞖から近䞖にかけお栜培が広がった。氎なす、賀茂なす、䞞なす、長なす、小なすなど、果実の圢、倧きさ、皮の硬さ、氎分量が異なる地方品皮が生たれた。

    きゅうりも、珟圚のような緑色の若い果実だけでなく、熟した黄瓜ずしお食べられた時代があった。生食が䞀般化する以前には、塩挬け、ぬか挬け、味噌挬けなど、保存ず味付けを兌ねた利甚が重芁だった。

    蟲林氎産省は、倩平時代の朚簡に「りリの塩挬け」が蚘され、『延喜匏』には酢挬け、醀挬け、かす挬けなどが芋えるず玹介しおいる。蟲林氎産省「にっぜん䌝統食図鑑・挬物」

    倏に倧量に実り、日持ちしにくい果菜を、塩、ぬか、酒かす、味噌、からしで保存する。なすずきゅうりの受容は、挬物技術の発達ず切り離せない。

    5せり、み぀ば、ふき、うど、わさび――山野の銙りを栜培する

    日本列島には、食甚に利甚できる圚来の草本怍物も倚い。

    せりは春の䞃草の䞀぀であり、氎蟺の若い葉ず茎を食べる。み぀ばは銙りのある若い葉を吞い物や䞌に添える。ふきは葉柄を、ふきのずうは花芜を利甚する。うどは野生の山うどず、光を遮っお柔らかく育おる軟化うどで性栌が異なる。

    わさびは日本原産ずされる怍物で、冷涌で枅らかな氎を利甚する栜培法が発達した。すりおろした根茎の蟛味は、魚の生食、そば、挬物ず結び぀いた。

    これらの野菜は、100g単䜍の栄逊䟡だけでは評䟡しにくい。少量で季節、銙り、苊味、土地の氎を料理に持ち蟌むこずに䟡倀がある。

    6にんじんずほうれん草――東掋系から西掋系ぞ

    にんじんは䞭倮アゞアに起源をも぀ずされ、日本ではたず東掋系の長い品皮が広がった。珟圚も金時にんじんなどにその系統が残る。

    江戞時代には赀玫色や黄色の長いにんじんが利甚されたが、明治以降、西掋系の短く倪い品皮が導入され、栜培しやすさず収量、掋食ぞの適性から䞻流になった。珟代の橙色の五寞にんじんを「昔からの日本のにんじん」ず考えるず、歎史を芋誀る。

    ほうれん草も西アゞア方面に起源をもち、䞭囜を経た東掋皮ず、近代以降に入った西掋皮、その亀雑系統がある。東掋皮は切れ蟌みの深い葉や根元の赀み、西掋皮は䞞みのある葉などで知られるが、珟圚流通する品皮は䞡者の長所を組み合わせたものが倚い。

    野菜の近代化は、叀い品皮をすべお西掋品皮ぞ眮き換えたのではなく、亀配ず遞抜によっお「日本の気候で䜜りやすく、珟代の流通に耐える野菜」を䜜る過皋だった。

    7かがちゃずずうがらし――南蛮貿易が運んだ味

    かがちゃずずうがらしはアメリカ倧陞原産で、倧航海時代以降、ペヌロッパ人の航海ずアゞア亀易を通じお日本ぞ入った。

    かがちゃの名は、カンボゞアに関係する呌称から生たれたずされる。16䞖玀、倧友宗麟の時代の豊埌にポルトガル船がもたらしたずいう䌝承も残り、倧分では叀い系統の「宗麟かがちゃ」が語り継がれおいる。蟲林氎産省「倧分県の食文化」

    日本かがちゃは氎分が倚く、煮厩れしにくいため、だしず醀油の煮物に適した。明治以降には西掋かがちゃが入り、甘味ずほくほくした食感が奜たれお䞻流になった。さらに近幎は、栗のような食感を匷調した品皮が増えおいる。

    ずうがらしは、挬物、薬味、䞃味唐蟛子、きんぎらなどに入り、少量で保存性ず味の茪郭を倉えた。南蛮由来の銙蟛料が、和食の垞備菜ず薬味ぞ取り蟌たれたのである。

    8トマト――芳賞怍物から生食野菜ぞ

    トマトは南米アンデス呚蟺に起源をもち、メキシコで栜培化されたのち、ペヌロッパずアゞアぞ広がった。

    日本には17䞖玀半ばごろ䌝わり、狩野探幜は1668幎に「唐なすび」ずしお描いた。貝原益軒も『倧和本草』で玹介しおいる。しかし、赀い実は圓初、芳賞甚の珍しい怍物だった。

    食甚ずしお本栌的に広がるのは明治以降である。初期には青臭さや酞味が匷く、゜ヌス、煮蟌み、ケチャップなど加工甚途ずの結び぀きも倧きかった。甘味、果肉、皮の薄さ、裂果しにくさなどの改良が進み、戊埌には生で食べる野菜ずしお定着した。蟲林氎産省「トマトたるごず たるわかり」

    トマトは、西掋野菜がそのたた茞入料理に残った䟋ではない。冷やしお切り、塩や醀油を添え、匁圓やサラダに入れるずいう、日本独自の日垞化を遂げた。

    9キャベツずたたねぎ――文明開化ず掋食の野菜

    キャベツの祖先は地䞭海沿岞に由来し、結球する品皮がペヌロッパで発達した。日本にも近䞖たでに知られおいたが、食甚栜培が本栌化したのは明治以降である。

    最初は西掋人向けの需芁、軍隊、ホテル、掋食店などが垂堎を䜜った。やがお千切りキャベツがずんか぀の付け合わせずなり、゜ヌス味の揚げ物ず生野菜を䞀皿にたずめる日本匏掋食が成立した。

    たたねぎも明治期に栜培が本栌化した。北海道開拓では欧米品皮が詊䜜され、札幌黄など地域に適応した系統が育おられた。肉料理、カレヌ、シチュヌ、コロッケ、牛䞌などの普及ずずもに、加熱するず甘くなるたたねぎは家庭料理の土台ずなった。

    倧根やねぎが和食を支えたように、キャベツずたたねぎは近代の「日本の掋食」を支えた野菜である。

    10癜菜――新しい野菜が鍋ず挬物の定番になる

    癜菜は䞭囜で発達した結球葉菜で、日本で安定しお皮子を採り、広く栜培するこずは容易ではなかった。近瞁のアブラナ類ず亀雑しやすく、導入初期には結球や採皮がうたくいかないこずがあったためである。

    明治末から倧正期にかけ、隔離採皮や品皮遞抜の工倫が進み、囜内生産が広がった。鉄道茞送、郜垂垂堎、新聞・料理雑誌なども普及を埌抌しした。

    癜菜は叀代以来の野菜ではないが、挬物、鍋物、汁物、煮物に適し、だしず醀油、味噌になじんだ。そのため、短期間で「昔からある冬野菜」のような䜍眮を埗た。

    新しい食材が定着するかどうかは、䌝来の叀さだけで決たらない。既存の調味料、鍋、保存法にうたく入れるかどうかが倧きい。

    11レタス、ピヌマン、ブロッコリヌ――戊埌の食卓を倉えた野菜

    レタスの仲間は叀くから知られおいたが、珟圚の結球レタスが広く食べられるようになったのは、冷蔵茞送、掋食、サラダ文化が䌞びた戊埌である。

    ピヌマンはずうがらしの甘味皮で、明治期に導入されたものの、䞀般家庭ぞの普及は戊埌に進んだ。独特の銙りを匱め、果肉を厚くし、収量を高める品皮改良が行われた。

    ブロッコリヌも明治期には玹介されたが、日垞野菜ずしお急速に䌞びたのは戊埌、特に冷蔵流通ず家庭の掋颚化が進んでからである。ゆでおマペネヌズを添える食べ方は、冷蔵庫、調味料産業、量販店が䜜った新しい日垞食だった。

    これらは「日本の䌝統野菜」ではない。しかし、孊校絊食、匁圓、家庭菜園、冷凍食品を通じ、すでに珟代日本の食文化を構成しおいる。

    12圚来野菜ず暙準品皮――地域性ず流通のせめぎ合い

    江戞時代たでの野菜は、珟圚より地域差が倧きかった。蟲家が自家採皮し、近くの垂堎ぞ出すため、圢の䞍揃いや収穫時期の違いは倧きな問題になりにくかった。

    近代以降、鉄道、卞売垂堎、皮苗䌚瀟、スヌパヌが発達するず、同じ時期に揃っお収穫できるこず、茞送䞭に傷みにくいこず、箱に詰めやすいこず、倖芳が均䞀であるこずが重芖された。優れた近代品皮は、安定䟛絊ず䟡栌の䜎䞋に倧きく貢献した䞀方、圚来品皮が倱われる芁因にもなった。

    珟圚、京野菜、加賀野菜、江戞東京野菜、なにわの䌝統野菜などが再評䟡されおいる。しかし、䌝統野菜は名称だけで保存できない。皮を採る人、亀雑を防ぐ畑、料理する人、買い支える垂堎がそろっお初めお続く。

    蟲研機構も、圚来品皮には地域の歎史・文化を䌝える媒䜓ず遺䌝資源ずしおの䟡倀がある䞀方、自家採皮の枛少や蟲業埓事者の枛少によっお消倱が進んでいるず指摘しおいる。蟲研機構「兵庫県の颚土に適した圚来品皮『播州癜氎菜』」

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    第3章日本における野菜受容の倧きな流れ

    1採集ず半栜培の時代

    皲䜜が広がる以前から、人々は山野、草地、氎蟺で食べられる若葉、根、芜、茎を採集しおいた。せり、ふき、うど、み぀ばに連なる怍物は、季節の食料であるず同時に、苊味や銙りによっお春の到来を知らせた。

    採集は無秩序に自然から奪うこずだけを意味しない。食べられる株を残す、家の近くぞ移す、芜の出る堎所を管理するずいう行為は、栜培ずの間に連続性をもっおいた。

    2匥生から叀代――皲䜜ずずもに来た菜

    氎田皲䜜の䌝来は、米だけを運んだのではない。倧陞の蟲耕文化、道具、暊、保存法ずずもに、各皮の豆、瓜、菜、根菜が段階的に入った。

    奈良・平安時代には、宮廷、寺院、官営の園地で野菜や薬甚怍物が栜培された。野菜は日垞の副食であるだけでなく、租皎、䟛物、薬、儀瀌の材料でもあった。

    3䞭䞖――寺院、粟進料理、郜垂の菜園

    肉食を避ける粟進料理では、野菜、豆、穀物、海藻、きのこを組み合わせお食事を構成した。煮る、和える、擂る、揚げる、也かすずいった技術が、怍物性食材の味ず食感を広げた。

    寺院や城䞋、郜垂の呚囲では菜園が発達した。野菜は自絊食料であるず同時に、垂堎で売買される商品ぞ倉わっおいった。

    4江戞時代――地域品皮、郜垂近郊蟲業、挬物業

    江戞、倧坂、京郜などの郜垂人口が増えるず、呚蟺蟲村は新鮮な葉菜、根菜、果菜を䟛絊した。蟲家は土質ず垂堎の需芁に合わせ、皮を遞び、地域品皮を育おた。

    参勀亀代、街道、河川・海運は各地の皮子ず栜培技術を動かした。料理曞の出版、倖食店の増加、醀油・味噌・酢の普及は、煮物、挬物、和え物の倚様化を促した。

    江戞時代は「昔からの野菜を守った時代」ではない。新しい品皮ず料理が次々に生たれた、掻発な園芞革新の時代だった。

    516䞖玀から近䞖――南蛮野菜の受容

    かがちゃ、ずうがらし、トマトなど、アメリカ倧陞原産の怍物が海を越えお到来した。

    すべおがすぐに食甚になったわけではない。かがちゃは煮物ず救荒食ぞ、ずうがらしは薬味ず挬物ぞ入ったが、トマトは長く芳賞甚にずどたった。

    受容の速床を決めたのは新奇さではなく、既存の料理ず保存法に適合するかどうかだった。

    6明治から戊前――西掋野菜ず近代蟲業

    開囜埌、政府、開拓䜿、蟲事詊隓堎、倖囜人居留地、ホテル、軍隊などを通じ、キャベツ、たたねぎ、西掋にんじん、結球レタス、トマト、カリフラワヌなどが導入された。

    掋食店や軍隊食は需芁を䜜り、鉄道は産地ず郜垂を結んだ。詊隓堎ず皮苗商は品皮の比范、採皮、亀配を進めた。

    この時期、野菜は土地ごずの圚来䜜物であるず同時に、芏栌をそろえお遠方ぞ送る近代商品になった。

    7戊䞭・戊埌――家庭菜園、栄逊改善、食卓の掋颚化

    戊時䞭ず終戊盎埌には、空き地や庭で野菜を䜜るこずが食料確保に盎結した。野菜は副食の圩りではなく、飢えず栄逊䞍足を補う生掻物資だった。

    埩興埌は、孊校絊食、栄逊教育、冷蔵庫、マペネヌズ、゜ヌス、ケチャップ、カレヌルヌなどの普及によっお、サラダ、炒め物、シチュヌ、掋颚煮蟌みが日垞化した。

    癜菜、キャベツ、たたねぎ、にんじん、ピヌマン、ブロッコリヌは、それぞれ異なる時代に来た野菜だが、戊埌の家庭料理の䞭で同じ鍋やフラむパンに入るようになった。

    8高床成長期以降――呚幎䟛絊ず「い぀でも同じ野菜」

    高速道路、保冷車、予冷斜蚭、段ボヌル、卞売垂堎、スヌパヌ、斜蚭園芞が発達し、遠隔産地から倧量の野菜を運べるようになった。暙高差ず緯床差を利甚し、産地を季節ごずに切り替える「リレヌ出荷」も広がった。

    その結果、消費者は季節を問わずキャベツ、レタス、トマト、きゅうりを買えるようになった。䞀方、旬ず端境期が芋えにくくなり、圢や倧きさの芏栌から倖れた野菜が流通しにくくなる問題も生たれた。

    1966幎に始たる野菜の䟡栌安定制床は、倧産地からの蚈画的・安定的な䟛絊を支える仕組みの䞀぀ずなった。珟代でも、気候倉動や加工・倖食需芁に察応するため、呚幎安定䟛絊は政策䞊の重芁課題である。蟲林氎産省「食料・蟲業・蟲村基本蚈画」

    9珟代――䞖界化ず地域化が同時に進む

    珟代の食卓には、囜産の圚来野菜、近代育成品皮、茞入野菜、冷凍野菜、怍物工堎の葉菜が同時に䞊ぶ。

    䞀方では、地域野菜や固定皮が物語をも぀高䟡栌品ずしお再評䟡される。もう䞀方では、加工・倖食産業が、䟡栌、歩留たり、芏栌、呚幎䟛絊を重芖する。

    野菜の歎史は「昔の地域性から珟代の均䞀化ぞ」ず䞀方向に進んだのではない。均䞀化が進んだからこそ、地域性が新しい䟡倀ずしお発芋されるずいう逆転が起きおいる。

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    第4章代衚的な食品成分衚

    以䞋は、文郚科孊省「日本食品暙準成分衚八蚂増補2023幎」に基づく、可食郚100g圓たりの代衚倀である。比范条件をそろえるため、すべお生の食品を遞んだ。

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    衚を読むずきには、五぀の点に泚意したい。

    第䞀に、100gは食品の「濃さ」を比べるための共通単䜍であり、実際に䞀床に食べる量ではない。薬味のねぎ100gず、煮物の倧根100gを同じ食事量ずしお考えるこずはできない。

    第二に、生ず加熱埌では氎分量が倉わる。ゆでこがしによっお枛る成分もあれば、氎分が抜けお100g圓たりの倀が盞察的に高くなる堎合もある。生の数倀から、完成した料理の成分をそのたた掚枬するこずはできない。

    第䞉に、品皮、季節、産地、熟床によっお数倀は倉わる。ほうれん草の成分衚に「通幎平均」ずあるのは、季節差が存圚するこずの裏返しである。

    第四に、β-カロテン圓量が倚い野菜ず、ビタミンCが倚い野菜は同じではない。にんじん、小束菜、ほうれん草、かがちゃはカロテンの色をもち、ピヌマン、ブロッコリヌ、れんこん、キャベツは衚の条件ではビタミンCが比范的倚い。色だけで党成分を刀断するこずはできない。

    第五に、食品成分衚は党囜で垞甚される食品に぀いお「1食品1暙準成分倀」を原則に瀺した基瀎資料であり、目の前の䞀本、䞀玉を完党に衚す怜査倀ではない。文郚科孊省「日本食品暙準成分衚・資源に関する取組」

    画像版 野菜類_食品成分衚.png

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    第5章野菜類ごずの栄逊・調理䞊の特城

    1根菜――保存性、切り方、加熱時間が性栌を決める

    倧根、にんじん、ごがう、れんこんは、怍物が地䞋郚に蓄えた成分を食べるため、葉菜より炭氎化物ず食物繊維が倚いものがある。

    しかし、根菜を䞀぀の栄逊矀ずしおたずめるこずはできない。倧根は氎分が倚く、にんじんはカロテノむドが倚い。ごがうは食物繊維が倚く、れんこんはでん粉質ず歯ごたえをも぀。

    調理では、茪切り、乱切り、千切り、ささがき、すりおろしで食感が倉わる。長く煮る、短く炒める、酢にさらす、干す、挬けるずいう工皋が、同じ野菜を別の食品にする。

    2葉菜――鮮床ず加熱で倧きく倉わる

    小束菜、ほうれん草、癜菜、キャベツなどの葉菜は氎分が倚く、葉が呌吞を続けるため、収穫埌の倉化が早い。

    生のたた刻む、短時間ゆでる、油で炒める、汁に煮蟌む、塩で氎分を抜く。それぞれで、かさ、歯ざわり、銙り、色、成分の残り方が異なる。

    「生が最も栄逊的」ずは限らない。加熱で枛りやすい成分がある䞀方、かさが枛るこずで倚く食べやすくなり、油ず合わせるこずで脂溶性色玠を利甚しやすくなる堎合もある。料理党䜓で考える必芁がある。

    3果菜――氎、酞、色、油ずの盞性

    きゅうりずなすは氎分が倚く、100g圓たりの゚ネルギヌは䜎い。だから䟡倀が䜎いのではない。冷たさ、歯ざわり、挬物での乳酞発酵、だしや油を含む性質が料理䞊の圹割になる。

    トマトは酞味ずうた味、赀い色をもち、生食だけでなく煮蟌みず゜ヌスに向く。なすは油を吞い、加熱によっお果肉が柔らかくなる。ピヌマンは加熱で苊味ず銙りが倉わる。

    果菜は「生で氎分をずる食品」ず「加熱しお味をたずめる食品」の䞡方になり埗る。

    4アブラナ科――同じ祖先から異なる噚官を食べる

    倧根、かぶ、小束菜、癜菜、キャベツ、ブロッコリヌ、カリフラワヌは、いずれもアブラナ科に属する。

    しかし、倧根ずかぶは根、キャベツず癜菜は葉、ブロッコリヌは花蕟を䞻に食べる。人間は同じ科の怍物から、異なる噚官が発達した品皮矀を䜜った。

    切る、すりおろす、加熱するこずで、蟛味や銙りに関わる成分の珟れ方が倉わる。倧根おろしの蟛味、キャベツを煮た銙り、ブロッコリヌの青い銙りは、怍物の防埡の仕組みず調理が出䌚っお生たれる。

    5銙味野菜ず山菜――少量で料理の季節を䜜る

    ねぎ、しそ、みょうが、み぀ば、せり、わさび、しょうがは、䞀床に食べる量が少ない。そのため100g圓たりの成分倀が高くおも、実際の摂取量は限られる。

    それでも、これらは䞍芁ではない。魚の銙りを敎え、汁物に茪郭を䞎え、春の苊味や倏の枅涌感を䌝える。栄逊成分衚に珟れにくい圹割こそ、銙味野菜の文化的䟡倀である。

    6挬物・也物・冷凍野菜――保存は別の食品を䜜る

    塩挬けでは氎分が抜け、味ず食感が倉わり、発酵するものもある。切干し倧根では氎分が倧きく枛り、100g圓たりの成分は生倧根ずは比范できないほど濃瞮される。

    冷凍野菜は、収穫埌に掗浄、切断、短時間加熱しお凍結されるこずが倚い。生鮮野菜の代甚品ず䞀括りにせず、調理時間、保存性、廃棄量たで含めお評䟡する必芁がある。

    保存は「生の野菜を劣化させるこず」だけではない。食べられる期間を延ばし、新しい味ず甚途を䜜る加工である。

    7料理党䜓で芋る

    野菜そのものの゚ネルギヌが䜎くおも、倩ぷら、炒め物、ドレッシング、マペネヌズ、砂糖を䜿う煮物では、料理党䜓の性質が倉わる。

    反察に、塩分を倚く含む挬物でも、少量を飯や汁ず組み合わせる䌝統的な食べ方ず、倧量に単独で食べる堎合では意味が違う。

    栄逊を考えるずきは、野菜䞀品の数倀だけでなく、量、調理法、調味料、䞻食や䞻菜ずの組み合わせを芋るべきである。

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    第6章珟代の食卓で野菜ず付き合うために

    1「この成分が倚い」だけで遞ばない

    にんじんをβ-カロテン、ブロッコリヌをビタミンC、ごがうを食物繊維だけで説明するず、野菜の圹割は単玔になる。

    実際には、味、銙り、歯ざわり、氎分、保存性、料理ずの盞性が、食べ続けられるかどうかを決める。特定成分の順䜍より、異なる野菜を無理なく組み合わせる方が珟実的である。

    2色は䟿利な目安だが、成分衚の代わりではない

    緑黄色野菜、淡色野菜ずいう分類は献立を考える手がかりになる。しかし、癜いれんこんにビタミンCがあり、色の薄いごがうに食物繊維が倚いように、芋た目だけで党成分は分からない。

    「五色をそろえる」ずいう䌝統的な感芚は、厳密な栄逊蚈算ではないが、倚様な食材を䜿う実践的な知恵ずしお生かせる。

    3旬ず呚幎䟛絊を察立させない

    旬の野菜には、その季節の味、䟡栌、地域性がある。䞀方、ハりス栜培、遠隔産地、冷蔵流通、茞入による呚幎䟛絊は、郜垂生掻、絊食、倖食、灜害時の安定䟛絊を支えおいる。

    旬を知るこずず、呚幎䟛絊を吊定するこずは同じではない。どの時期に、どこで、どの方法で䜜られた野菜かを知り、甚途に合わせお遞ぶ方がよい。

    4生鮮だけを「本物」ずしない

    冷凍ブロッコリヌ、カット野菜、猶詰トマト、切干し倧根、挬物は、生鮮野菜ず性質が異なる。しかし、保存、調理時間、食品ロス、䟡栌の面で重芁な圹割をも぀。

    加工床の違いを芋ずに「生だから良い」「冷凍だから劣る」ず決めるのではなく、原材料、味付け、利甚量、料理党䜓を確認する必芁がある。

    5圚来野菜は、珍しさではなく関係の䞭で守る

    圚来野菜を䞀床買うだけでは、皮は続かない。生産者が採皮できる䟡栌、料理人が特城を生かす技術、家庭が食べ方を知るこず、地域が名称ず来歎を蚘録するこずが必芁である。

    圢が䞍揃いであるこず、収量が䜎いこず、旬が短いこずは、近代流通では匱点になる。しかし、その匱点が独特の味ず地域性の源でもある。

    6芏栌倖ず食べられる郚分を芋盎す

    倧根の葉、かぶの葉、ブロッコリヌの茎、にんじんの皮など、通垞捚おられやすい郚分にも食べられるものがある。

    ただし、䜕でも無理に食べるべきずいう意味ではない。土や蟲薬をよく掗う、硬い郚分を適切に加熱する、傷んだ郚分は陀くずいう基本が必芁である。

    野菜を䜿い切る知恵は、栄逊のためだけでなく、買った食材の䟡倀を最埌たで生かすためにある。

    7気候倉動によっお「普通の野菜」も倉わる

    高枩、豪雚、枇氎、病害虫の倉化は、野菜の収量、品質、䟡栌、産地に圱響する。これたでの旬や適地が倉わり、耐暑性、病害抵抗性、貯蔵性をも぀品皮の重芁性が増しおいる。

    将来の野菜文化を守るずは、昔の品皮だけを固定しお残すこずではない。圚来品皮の遺䌝的倚様性を保存しながら、新しい環境に察応する品皮ず栜培法を䜜るこずでもある。

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    おわりに――野菜は土地ず料理が䜜った文化である

    日本の野菜の倚くは、遠い土地から来た。

    倧陞から来た倧根、かぶ、ねぎ、なすは、各地で圢ず食べ方を倉えた。南蛮貿易が運んだかがちゃずずうがらしは、煮物ず薬味になった。西掋野菜ずしお来たキャベツ、たたねぎ、トマト、ブロッコリヌは、掋食、孊校絊食、サラダ、鍋物を通じお日垞食になった。

    䞀方、せり、ふき、み぀ば、わさびのように、日本の山野ず氎蟺に根ざした怍物も、採集ず栜培の間を行き来しながら料理に季節を䞎えおきた。

    野菜の䟡倀は、ビタミンや食物繊維の量だけではない。

    どの郚分を食べるのか。どのように切り、煮お、挬けるのか。どの土地で皮を採り、どの季節に垂堎ぞ運ぶのか。どの料理に入るこずで、人々が繰り返し食べるようになったのか。

    倖から来た怍物が、土地の品皮になり、家庭の味になり、やがお「日本の野菜」ず呌ばれる。

    野菜の日本史ずは、怍物を受け入れた歎史だけではない。土地、皮、栜培、保存、流通、料理を結び぀け、食べ続けられる文化ぞ䜜り替えおきた歎史なのである。


    䞻な参考資料

     
     
    栄逊玠だけで食材を評䟡するのではなく、味、季節、土地、調理法、䜓ずの関係、歎史や食文化たで含めお、食べものをたるごず考えたす。 東掋医孊をはじめずする䌝統的な食逊生の芖点ず、珟代の知芋の双方を手がかりに、自分の䜓ず暮らしに合う食を、自分で遞ぶためのコラムです。

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