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私は悪者になりたくなかった


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    私は、誰かを傷つけるよりも

    自分が傷つく方が何倍も楽だった。


    誰かが悲しんだり、怒ったり、
    マイナスの感情を見るのが昔から苦手だった。


    人に対して、マイナスの感情を出すのも苦手。
    本音を伝えるのも苦手。


    何回も言われてきた、

    「もっと弱いとこ見せていいんやで」
    「無理して笑わなくていいんやで」
    「もっと自分の本音言っていいんやで」

    言ってどうするの?
    言って嫌われたら?
    空気が壊れたら?

    言ったあとに、
    そのことに関して心配されるのも嫌だ。


    それなら言葉を飲み込んで、
    空気を読んで、
    無理にでも笑ってる方が、


    ずっとずっと楽だ。

    楽だった。


    だけど、それは決して人のことを考えているわけではなく


    自分が人を傷つけたくないだけだった。


    それに気づいた時、

    なんて自分勝手な人間なんだろう、と。


    自分を見せる強さもなく、

    相手を傷つける怖さからも逃げ、


    自分が悪者にならない居場所にいたかった。


    これに気づけたからこそ、分かったこともある。

    誰かを傷つけないことと、

    誰かに誠実でいることは同じでない、と。


    言わない優しさもある。
    黙る優しさもある。


    だけど、本当のことを言わないままの関係は、

    いずれ誰かを深く傷つける。


    今でも、本音を言うのは怖い。

    とても怖い。


    だけど、もう知ってしまった。

    理解してしまった。


    自分が傷つくだけで守れるものばかりでもない、と。


    人を傷つけないことばかり考えていた私が、

    結果として、誰かを深く傷つけてしまっていたことを。


    だから、


    次は少しだけ、

    誰かに嫌われる勇気より、


    誰かと向き合う勇気を持ちたい。


    そんな人間になりたい。



    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     

    sen_96

     
     
    不器用で、拙い言葉たち。 そっと誰かの心に届いたら、嬉しいです。

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