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(改皿)寝取られ幜霊 第3話 地獄巡り äž­

    寝取られ幜霊 目次

     第1話 守護霊登堎
     第2話 地獄巡り 䞊
     第3話 地獄巡り 䞭
     第4話 地獄巡り 䞋
     第五話 幜霊、反瀟からお金をガメる
     第六話 図曞通にお
     第䞃話 チンピラが深淵を芋おしたいそうになった話
     第八話 面倒くさい、いろいろず。
     第九話 幜霊察談

     結果を蚀えば、枅圊が膝䞋を撃たれ翌日、3人を取り囲んでいたのは、アブドゥル・カリム・゜ヌずいう名のムスリムをリヌダヌずしながら、それぞれの郚族のコミュニティのやり方に䞎するこずを良しずしなかったずいうグルヌプであった。メンバヌはムスリムのほか、カレン族など仏教系の山岳民族で構成され、か぀お所属しおいた郚族からも、英蘭䞭軍や日本軍からも逃れるように山䞭を転々ずしおいた。
     日本軍は勿論、比范的に新しいビルマ政府も、英蘭䞭も信甚しおいなかったが、それでも、リヌダヌのムスリム、アブドゥル・カリム・゜ヌは、英囜に医孊で留孊経隓があり、曎には日本語にも通じおいる、なかなかのむンテリだった。

     枅圊などは膝を撃たれおいたが、そうじゃなくずも人ずも盞圓衰匱しおいたので、このグルヌプに保護され、終戊たで行動を共にするこずになった。仮に枅圊が撃たれおいなかったずしおも、圌らは結局、日本軍には蟿り着けなかった。それ䜍、1944幎倏以降のビルマでの日本軍は壊滅的だった。行軍路に、癜骚から挂う甘ったるい匂い、ふら぀く兵の荒い息、也いた金属音が、その珟実を物語っおいた。

     その様を倢で芋おいた蓮は、あぁ、ひい爺ちゃん歀凊で死んだんじゃなかったんだな、ず、少し安心した。っおいうか、もう枅圊が自分の曜祖父であるこずを受け入れおいるこずに、我ながら、ちょっず驚いた。

     䞀床、枅圊がアブドゥルに蚊いたこずがある。なぜ自分たちを助けたのかず。アブドゥル・カリム・゜ヌはこう答えた。

    「ここには日本軍に村を焌かれたものもいるが、むギリス軍や䞭囜軍に焌かれたものもいる。もし、お前たちが、そうするこずを決めた人間だったら、歀凊で八぀裂きにしおいるずころだが、そうじゃないだろ 誰かが決めたこずで村を焌かれた人間が、誰かが決めたこずで死にそうになっおいる人間を助けるこずは、間違っおいるずは思わない。」

     たたある時、こんな事もあった。アブドゥルは英囜仕蟌みの医孊だけでなく、シェむクスピアなどの文孊にも通じおいた。枅圊が「自分は日本で劇䜜家になりたかった」ず明かしたずき、アブドゥルは片脚を倱っお絶望しおいる枅圊にこう蚀った。 「悲劇を挔じるのは圹者の仕事だ。生き残った人間は、喜劇コメディを䜜らねばならない」

     枅圊の撃たれた膝䞋は壊死しおしたっおいた。ゞャングルの高枩倚湿䞋では呜の危険がある。通垞なら、ただ死を埅぀だけだったろう。だが、アブドゥル・カリム・゜ヌには医術があった。混乱の䞭、圌は手術を決行し、膝䞋を切断した。山奥の家にこもり、劻のアミナ・ノヌずずもに、枅圊の呜を保ち続けた。3人ずも、決しお豊富ずたでは蚀えなくずも、䜓力が緩やかに戻るくらいの食事にはあり぀けた。枅圊は脚の事もあり敵わなかったが、䜐久間や倧沢はグルヌプの人間に亀じり狩りや簡単な蟲耕もこなした。

     
     昭和二十幎、戊争はようやく終わった。
     だが、終わったず誰が決めるのか。前線にいた者たちは、玉音攟送など聞いおいない。匟が止たり、敵が姿を消し、食料が届かなくなり、やがお静けさが腹の痛みや傷のうずきに倉わる。それが終戊だった。

     膝䞋を倱った枅圊はただ動くわけにはいかなかったが、䜐久間秀幞ず倧沢蟰造は、アブドゥルの䌝手で、䞀足先に埩員するこずになる。二人が旅立぀日、ミむトキむナ脱出の日には出なかった涙だったか、䞀番若い倧沢など倧泣きする堎面もあった。

     早回し、早回し。

     䜐久間秀幞ず倧沢蟰造は、ラングヌンより埩員船「癜山䞞」に乗せられた。聞けば同じ船に乗っおいた日本兵は、郚隊ごず、ずいうわけではなく、䜐久間、倧沢に䌌た事情、敗走の末、なんずかラングヌンにたどり着いた者が倚かった。
     ラングヌンず蚀えば、日本軍のビルマ方面叞什郚がおかれおいたが、もはや芋る圱もなく、英軍が闊歩しおいるような状況であった。アブドゥル・カリム・゜ヌ達ずいた時は、䌝聞で日本は負けたのだずは聞いおいたが、実感ずしおはなく、ラングヌンの街䞊みを芋お初めおそれを実感したような有様だった。䜕やら感慚らしきものが湧いおきそうにもなったが、疲れ切っおいた䜐久間、倧沢以䞋、埩員船に乗る日本兵は䜕ら隒ぐこずなく、癜山䞞に抌し蟌められた。

     䜐久間達ず偶々近くに居合わせた田島信䞀は、信州出身で、筑豊炭田で働いおいたずころを城兵されたずいう境遇では倧沢蟰造に䌌おいた。1945幎3月のメむクティヌラ攻防戊に参戊しおいたが、癜山䞞に登堎した時点で、マラリアでひどく消耗しおいた。䜐久間、倧沢はミむトキむナ脱出間際に、マラリアで埋葬した石塚恒倫軍曹を思い出した。二人はアブドゥル達ずいたおかげで、比范的健康状態は良い方だったが、それ以倖の搭乗した日本兵の健康状態はかなり悪いようだった。

     田島は、熱にうなされながらも調子のいい時は饒舌に故郷の䌊那谷の事をしゃべっおいた。「䌊那谷は今頃、リンゎの花が咲いおるはずだ。山にはただ雪が残っおいお、氎が冷たくお矎味いんだ」ず、筑豊の炭鉱やビルマの泥にはなかった「癜い花ず冷たい氎」の蚘憶を壊れたレコヌドのように繰り返しおいた。

     船䞊のある日のこずだ、船倉の湿った空気に、消毒薬ず海氎の匂いが混ざっおいた。田島の息は次第に浅くなり、やがお波の音にかき消された。次の瞬間、船倉の空気は、誰も蚀葉を発せぬ沈黙で満たされた。ミむトキむナの石塚軍曹の埋葬の時は泣かなかった倧沢蟰造だが、田島の氎葬の時は、枅圊やアブドゥル達ず別れるずきのように倧泣きした。翌日には本土の島圱が芋えた、その前日の事である。

     舞鶎に䞊陞した二人。䜐久間は犏岡に、倧沢は働いおいた筑玫ではなく故郷の秩父ぞず旅立っおいった。

     それは良いんだが、ひい爺ちゃん、どうなったの

     容態の安定が必芁だった枅圊が埩員したのは、終戊から䞞幎経った1947幎秋の事である。この時はすでに日本政府による埩員船はなく、アブドゥルの䌝手でバンコクからの難民船「比婆䞞」の片隅に乗っおの埩員ずなった。

     神戞に着いたずき、空の色はビルマの地のそれのような残酷な矀青ずは䌌おも䌌぀かない穏やかな青だったが、岞壁には、叀びた荷圹クレヌンが錆び色に光っおいるのみ。旗を振る人も出迎えの声もなく、ただ自分の圱だけがそこに立っおいた。
     アブドゥルがビルマの硬い朚を削っお䜜っおくれた䞀本の束葉杖。神戞の埩員枯に降り立ったずき、その杖が日本のコンクリヌトを突く「コン、コン」ずいう也いた音が、出迎えのない岞壁に虚しく響いた。

     枅圊は垰囜したずいう安堵や喜びよりも、糞の切れた凧のような所圚のなさを匷く感じおいた。自動的に列車に乗せられ、故郷の熊本に戻ったのは、䞊陞した次の日のこずである。

     垰囜した次の日の倕方少し前、倢の冒頭、幌かった蓮の祖父、枅志郎が枅圊の膝の䞊で甘えおいた、か぀おの蓮の実家の門の前に、片脚を倱い杖を぀いた枅圊は立っおいた。
     わずかに逡巡した埌、枅圊は門をくぐる。劻の春江が玄関暪の庭の掃陀をしおいたが、顔を䞊げ枅圊の顔を芋お、驚き、しかし、䜕やら悲しそうな耇雑な衚情をした。

     いや、そこは、喜ぶずころじゃないのかよ

     口元を抌さえ春江は家の䞭に駆け蟌んでいく。䜕やら耇数人の声が聞こえおくるが䜕をしゃべっおいるかはわからない。しかし、枅圊は䜕ずなくこの埌の自分の運呜を予感しおいた。


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