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昨日の今日で、また「正論」という武器を振り回した話

    seiko

    昨日のnoteで、あんなにかっこいい「覚悟」を書いたばかりなのに。
    翌日の食卓で、私はまたやってしまいました。

    ​「感謝」という名の攻撃

    ​YouTubeを観ながら、片手間でご飯を口に運ぶ息子。

    その姿を見た瞬間、私の中にあった「伴走者」の意識はどこかへ吹き飛び、いつもの「厳しい指導者」が顔を出しました。

    ​「ちょっと、YouTubeはやめなさい。作ってくれた農家さんにも、食べ物に対しても感謝がなさすぎるでしょう」

    ​それは、ぐうの音も出ないほど「正しい」言葉です。

    でも、息子は止めませんでした。それどころか、ますます画面に深く沈み込み、彼を包む空気は一瞬で冷たく、頑なになりました。

    ​「正しいことを言っているのに、なぜ届かないんだろう」

    そんな虚しさを抱えながら、ふと、私は自分の心の中を覗いてみたのです。

    武器の下に隠れていた「本音」

    ​私は本当に「農家さんへの感謝」を説きたかったのだろうか?

    いいえ、違いました。

    ​私の本当の願い(インサイト)は、ただ、

    「息子と話がしたかった」。

    それだけだったのです。

    ​進学校の荒波の中で、何を思い、どんなことを考えているのか。

    最近の息子のことをもっと知りたかった。

    YouTubeに邪魔されるのじゃなくって、もっと息子と話がしたかった。

    なのに、「話してほしい」という素直な言葉の代わりに、私は「道徳」という誰も反論できない武器を持ち出して、彼をコントロールしようとしていました。

    それに、はたと気づいた私は、武器を置きました。

    そして、YouTubeをやめろと正論をぶつけるのをやめて、彼が今一番心を寄せている「鉄道」の話をそっと振ってみることにしました。

    そうだ、大切なのは相手の「好き」を分かち合える人であること。

    あの時、気づいたじゃないと。

    今回は、寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」について。
    すると、どうでしょう。

    さっきまであんなに硬かった彼の表情がふっと緩み、また驚くほどの熱量で、語り始めてくれたのです。

    ​「サンライズはな、シャワー券が争奪戦やねんな。一人6分間使えるんやけど、列車に積める水の量が決まってるから、基本、早い者勝ちになるねん。だから、大阪から乗ったんじゃ、前の駅から乗ってる人に、もう押さえられててまず無理。」

    「ただ、客室のランクによって特権が違って……、シャワーは最高ランクの部屋を予約した人だけセットで付いてるねん。まぁ、そもそも、どのランクの部屋であっても、数少ないから予約自体、テクニックがないと取れへんねんけどな」

    思わず、「どんな裏ワザがあるん?」と聞いてしまった私です(笑)


    私が「指導者」の席から降りて、彼の隣に座った瞬間。

    そこには「正しさ」でジャッジされる不安のない、静かな、けれど熱い「対話」が生まれていました。

    ​行ったり来たり、それでいい

    私はこれからも、理想の「伴走者」と、正論を振り回す「指導者」の間を、何度も何度も往復するのだと思います。

    ​「あ、また武器を持ってたな」

    そう気づいて、その都度、立ち戻る。

    息子をどこかへ導く前に、私自身が自分の本当の願いに正直になる。

    ​「ママ、本当はあなたと話したかったんだよ」

    次は、正論に逃げる前に、このかっこ悪い本音をそのまま差し出してみようと思います。



     
     
     

    seiko

     
     
    等身大の葛藤を抱えながら、教育のアップデートに挑む伴走型対話ファシリテーター。完璧な指導者ではなく、子どもや親の隣で一緒に悩み、成長し合う「導かない伴走」を実践しています。最終目標は新しい学びの場を一条校にすること。著書に『導かない伴走』。

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