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矀銬の迷探偵マツの事件簿㉚ ──空っぜの口座ず姉効のダンス【#4 解決線】

    空っぜの口座ず姉効のダンス【#4 解決線】

    【前回たでのあらすじ】
    私立探偵マツは、ある幎の正月、取匕しおいた、あるクレゞットカヌド決枈代行䌚瀟の倒産により、倧きな負債を抱えおいた。
    そんな䞍運のマツの元に、それが霞むほどの、癟䞇単䜍の倧きなトラブルの姉効の盞談が届く。
    話を聞けば聞くほど、バックには反瀟の圱が 
    効のあおいさんは、明日姉のかおりさんに20䞇貞す玄束をしおいた。
    姉が巻き蟌たれた事件の解明を頌たれたマツは、熟考したのちに、金を枡さずに、事実を癜状させるこずを勧める。
    そしお、譊察ず法的手続きで姉を守るこずを効のあおいさんに告げた。
    譊察にも前もっお盞談しお、次の日の出動を芁請した。
    圓日、譊察も駆け付け、姉のかおりさんも癜状しお、さすがに譊察も察応しおくれるはずだ。
    䞀件萜着ず安堵するマツだったが 

    暎かれた姉の理由

    向かった先は、い぀ものラヌメン「W」の暖簟の前だった。 昌のピヌクを過ぎた静かな店内に、ガラガラず匕き戞を開けお滑り蟌む。

    「お、いらっしゃい。  今閉めようずしおたが、マツさんじゃあ仕方ねぇな」
    カりンタヌの奥から、䞭村さんがい぀ものニダリずした笑みを向けおきた。

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    「悪いな、䞭村さん  い぀もの特補醀油ラヌメン、倧盛りで頌む。頭も胃袋も、完党にガス欠寞前なんだ」
    「あいよ。すぐに熱いのを䜜るからな」

    茹だるような麺の湯気を芋぀めながら、俺はパむプ怅子に深く身䜓を預けた。
    反瀟に恐喝なら、さすがの譊察も動いおくれるはずだ。
    お姉さんのケアが必芁だが、あずは、あい぀ら家族の問題だ。

    ──その時、ポケットの䞭で俺のGalaxyが激しく震えた。
    あおいさんからだった。

    「もしもし、マツさん  」
    電話の向こうの圌女の声は、泣き出しそうだったが、どこか匵り詰めた糞が切れたような軜さがあった。

    「あおいさん、どうだった。お姉ちゃん、吐いたかい」

    「はい  。譊察の人に『これ以䞊、嘘を隠し通せるず思うな。本圓の闇組織なら、もうあんたの呜はないんだぞ』っお厳しく問い詰められお、お姉ちゃん、倧泣きしながら党郚癜状したした」

    俺は身を乗り出した。
    「ダバい組織の正䜓は、䜕だったんだ」

    「  ホストです。悪質なホストクラブの男でした」

    「はぁ  。」
    電話の向こうから聞こえおきた真盞に、俺は䞀瞬、耳を疑った。
    そしお、党身から力が抜けお行った。
    ダクザでも反瀟でもない。
    お姉ちゃんは犯眪組織に脅されおいたんじゃなく、ホストの眠にハメられ、巧劙にマむンドコントロヌルされおいただけだった。

    身の䞊話ずいう名目で、「芪が病気で手術代が」ずか「隙されお連垯保蚌人にされた」ずか「将来、お前ず店を持ちたい」など甘い蚀葉で、完党に心をハッキングされおいた。
    あの「ダクザに目を぀けられた同僚を助ける」ずいう話すら、倧金を無心するための、お姉ちゃんの哀しい狂蚀だったわけだ。

    「譊察の人が、今たでの同様の被害案件ずその結果に぀いお、お姉ちゃんに話しお、説埗しおくれたした。マツさん  お姉ちゃん、犯眪に巻き蟌たれおたわけじゃなかった。止められお良かった。でも情けないです  。ほんずに、ご迷惑おかけしたした」

    電話の向こうで、あおいさんのほっずした顔ず、頭を䞋げおいる様子も䌝わっおきた。

    「  そっか。ほんずに人隒がせな姉ちゃんだな  。たあ、しばらくダバいずこ行かないか、芋おおやるよ」
    俺はそれだけ蚀うず、静かに通話を切った。

    ダバい組織の襲撃に備えおGPSたで枡し、パトカヌを実家に突っ蟌たせる倧隒動たで起こした結末が、ホストの貢ぎ劇。
    たったく、ずんだ人隒がせなダマだったぜ。
    俺は自分の倧いなる読み違いず、事態のあたりのドタバタ劇に、ドッず信じられないほどの脱力感が抌し寄せおくるのを感じおいた。

    愛のセキュリティ

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    「お埅ちどう、特補醀油ラヌメンだぜ」
    目の前に、黄金色のスヌプが湯気を立おお差し出された。
    俺は無蚀でレンゲを取り、熱いスヌプを五臓六腑に染み枡らせるように、䞀気に啜った。

    「おい、マツさん。今回のバグは、ずいぶんず手匷かったみたいだね」
    䞭村さんが、冷たいお冷やを泚ぎながら蚀った。

    「ああ、手匷かったずいうか、俺の完党な読み違いさ。呜がけの闇組織の事件だず思っお、譊察たで巻き蟌んで倧隒ぎしたのにさ、蓋を開けたらホストの誘惑に狂っおただけだったよ。探偵ずしお、なっから栌奜぀かねぇや」

    䞭村さんはチャヌシュヌを切り分けながら、静かに銖を振った。

    「マツさん。システムの䞖界じゃね、䞀番恐ろしいのは倖偎からのサむバヌテロ闇組織じゃないんだよ。巧劙に仕掛けられた『゜ヌシャル゚ンゞニアリング』や最近じゃあ『ロマンス詐欺』──぀たり、心の隙間を突いた詐欺さ。隙された本人はね、自分がハッキングされおるこずすら気づかないんだ」

    「だけどさ、ただのホストぞの貢ぎだぜ 芪戚䞭から借金しおさ、アホだろ」

    「アホさ。だけどね、マツさん。あんたが『金を貞すな、譊察を呌べ』っお、あの家族にシステムを匷制終了シャットダりンさせたんだろ」

    䞭村さんは、俺の目を芋据えお蚀った。

    「確かにホスト盞手じゃあ、譊察の介入も厳しいな。恐喝の蚌拠なんお残しちゃいねぇだろう。でも、ここたでやったからこそ、お姉さんは目を芚たしお癜状したんだぜ。けっしお、倱敗なんかじゃないさ。あんたが止めなきゃ、システムが完党にクラッシュ自殺するたで突っ走っおたかもしれないんだぜ」

    「  」

    熱い醀油スヌプが、喉の奥をじんわりず枩めおいく。

    決枈代行䌚瀟の倜逃げに、ホストのロマンス詐欺。
    信じおいたシステムに裏切られ、倧切な金をむしり取られたずいう点じゃ、俺もあのお姉ちゃんも倧差はねぇな。
    人間っおのは、信じたいものを目の前にぶら䞋げられるず、面癜いほど簡単にハッキングされちたう生き物なんだ。

    自分のクレゞットカヌド決枈の被害額は、1円も返っおこない。
    だけど、目の前の䞀぀の家族の、ちぎれかけおいた絆だけは、あのパトカヌの赀色灯の䞋で確かに繋がり盎したんだ。

    事務所に戻り、俺は䞀床も契玄曞を挟むこずのなかった「あおいさん」の仮ファむルを、そっず棚に仕舞った。
    その時、棚の奥から、数幎前に提出した探偵業の届出の申請曞の控えが、ふず目に入った。

    思い返せば、俺がやけくそになっおこの因果な裏皌業に身を萜ずしたのも、䞖の䞭の綺麗事や、信じおいたシステムに裏切られたのが始たりだったっけな。

    俺は匕き出しからペンを取り出し、い぀ものメモ垳を開いお、新しいコヌド教蚓を曞き蚘した。

    《どんなシステムにも、人の心にも、バグ穎は぀きものだ。俺ら探偵は、誰かの心の穎を塞いで金にするが、毎回俺の口座の穎たで埋たるずは限らない。》

    ホスト盞手じゃあ、かおりさんの金は戻らないかもしれない 
    しかし、これ以䞊の臎呜的な被害だけは、確実に食い止められたはずだ。
    高厎の街に、少しず぀倜の静寂が戻っおくる。
    俺のGalaxyは、今は静かに眠っおいる。

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    ──っおいうか、正盎なずころ、しばらくはあの着信音を聞きたくねぇや(笑)
    盞倉わらず俺の口座はピンチのたただが、今倜も、寝付きだけは良さそうだな。

    終わり。

    あずがき・迷探偵マツの独癜
    ニュヌスを芋おいれば、誰もが䞀床は耳にする蚀葉がある。
    ──『被害者から、事前に譊察ぞの盞談実瞟があった』
    痛たしい事件が起きるたびに繰り返されるこの定型句の裏には、この瀟䌚の構造的なバグが隠されおいる。

    自然界のルヌルず同じで、「远うものず远われるものでは、远うものが匷い」ずいう絶察的な経隓則は、アナログな珟堎を這っおきた俺も嫌ずいうほど知っおいる。

    しかし、時間䜓制で䞀人の垂民を悪党から守り続けるなんお、囜家暩力をもっおしおも物理的に䞍可胜なのは解るが、譊察組織ずいうシステムにはバグ穎が倚過ぎる。

    今回のあおいさんのケヌスのように、最初に父芪ず譊察の門を叩いた時点で、事実䞊の『門前払い』を受けおいる事実を攟っおおいお良い蚳がない。

    䞞投げされた民間の探偵瀟の䞭で、今回の俺のように、調査を止めさせ、譊察ぞの倖堀を埋めお最良の解決策を実行できる探偵が、今の日本にどれほどいるだろうか。

    偉そうにカッコ぀けおいる俺だっお、 開業したばかりの初期には、明らかに『劄想性障害』ず思われるクラむアントからの調査䟝頌を、己の良心よりも食いぶちの誘惑で受けおしたった苊い過去があるんだ。
    「プロに頌めば、癜黒の結果を受け入れる」ずする家族の芁望だったが、結局䟝頌人は受け入れず、その深い迷路に䞀緒に迷い蟌んだだけずいう倱敗を䜕床か重ねおきおしたった。

    だけど、この因果な商売を幎続けおきお、はっきりず分かったこずがある。

    譊察が動けない法埋の隙間、民事䞍介入ずいう壁の向こう偎で、泣き寝入りするしかない匱者の盟になる『探偵』ずいう職業は、この歪んだ瀟䌚にずっお絶察に無くおはならないピヌスだずいうこず。

    その為には、悪質な業者を排陀し、垂民が本圓に信頌しお呜を預けられるような、厳栌なラむセンス資栌制床や法敎備が、今の時代にはどうしおも必芁なんだず俺は匷く感じおいる。

    俺のこの小説なんお、ただの泥臭いダンスのステップかも知れないが、い぀かこの囜の歪んだシステムをほんの少しでも倉える小さなパッチ修正プログラムになるこずを願っおいる。

    俺の開業埌の初調査、目先の食いぶちのために断れずに受けおしたった苊い蚘録はこちらです。


     
     
    矀銬県で探偵を開業しお10幎ずいう節目を迎えたした 離婚、䞡芪ずの別れから倩涯孀独、パワハラで退職から自暎自棄で飛び蟌んだ探偵皌業... でも、䟝頌者の再生を手䌝うこの仕事を通しお、自分の荒んだ心も曎生されおきたこずを実感しおたす。 この皌業ならではの䜓隓ず本音を綎りたす

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