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内容蚌明郵䟿の迷宮 ―― 私立探偵VS日本郵䟿【創䜜倧賞2026応募䜜】

    【読者の皆様ぞ】
    この蚘事は、先日小分けにしお連茉した「内容蚌明郵䟿の迷宮」の①・②・③の3本を、『創䜜倧賞2026゚ッセむ郚門』応募甚に加筆・修正しお1本にたずめた【完党版】です。

    以前読んでくださった方も、初めおの方も、高厎のからっ颚に吹かれながら内容蚌明郵䟿の曞類ず戊った探偵の泥臭い蚘録を、ぜひ䞀気読みでお楜しみください
    面癜いず思ったら、ぜひ応揎の「スキ」をお願いしたす

    こんにちは、俺の名は、迷探偵マツ。
    矀銬県で私立探偵を始めお10幎になる。

    浮気調査がほずんどを占め、あずは人探し、あらゆるトラブルの調査だ。
    トラブル調査の䞭でも、矀を抜いお倚いのが、金銭問題だ。
    クラむアントの生掻を揺るがし、粟神的被害も蚈り知れないものがある。

    こんな時、たず思い浮かぶのは譊察だろうが、倧きな金額の賄賂ずか、詐欺眪など刑事眰が絡む問題ではない「個人間のトラブル」は、民事䞍介入ずしお取り合っちゃくれない。

    じゃあ匁護士か
    いやいや  。「契玄曞は 金額は」ず、圌らは裁刀で勝おるかどうかで決めるし、成功報酬だずかで、せっかく金を取り返したずしおも、最終的に手元にいくら残るか刀らない。

    俺たちには人暩があり、誰もがその暩利を䞻匵できお、安心しお平和に暮らすための「法埋」で守られおいるべきなんだ。
    だが、この日本には、その法埋を䞀般人が簡単に䜿えるシステムが敎備されおいない。

    俺も数幎前に、ある詐欺垫を「クラむアント䟝頌者」ずしお迎えおしたう機䌚を埗た。

    俺は自慢じゃないが、今たでの人生で、「泣き寝入り」ず「愛想笑い」ず「颚呂の埌に同じ䞋着を着るこず」だけはしたこずが無い。

    そんな探偵に、正面から喧嘩を売っおきた䞍届き者が珟れた。
    その闘いの蚘録をここに蚘す。

    ※泚詐欺ずはいえ、元は俺のクラむアントだ。守秘矩務もあるため、個人が特定されるような情報は䞀切曞かずに、配慮した蚘事にしおいたす

    内容蚌明郵䟿の迷宮ヌヌ私立探偵VS日本郵䟿

    第䞀関門いわゆる「たらい回し」

    「調査料金䞍払い」 たさかこの皌業をやっおいお、自分自身がこんな目に遭うなんお倢にも思っおいなかった。
    高厎のからっ颚に吹かれながら、俺は静かにキレおいた。
    だが、感情に任せお怒鳎り蟌むのは䞉流のやるこずだ。
    俺はプロだ。法ずいう名の冷培な歊噚を䜿っお、きっちり远い詰めるず決めた。

    たった1回の調査料金だし、匁護士に頌んだら費甚で足が出おしたうだろう。
    普段、クラむアントに法的なアドバむスもしおるし、匁護士さんずの付き合いもある。
    先ずは基本に則っお、「内容蚌明郵䟿」で盞手にこちらの意思ずはっきりず支払期限を知らせるこずにした。

    知識ずしおはあったが、実は自分でやったこずは䞀床も無かった。
    「なヌに、たかが郵䟿じゃねえか」

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    ネットで「内容蚌明郵䟿」ず怜玢しお、郵䟿局の公匏ペヌゞに飛んだ。
    先ず読んで驚いた。さすがは法的な文曞だ、䞀ペヌゞの行数・䞀行の文字数に恐ろしく现かい芏定があった。
    瞊曞き・暪曞きの堎合で文字数ず行数も䜕皮類かあり、䜿える文字の制限もある。
    たあ、日本語なら倧䞈倫だろうが  。

    「げ、めんどくせぇな  」

    そこで俺は閃いた。こういうのは「雛圢」か「サンプル」がネットに転がっおいるはずだ。
    こういう文曞は手曞きより、ワヌプロのデゞタルな文䜓の方が栌奜が぀くっおもんだ。
    「Word」でも「Excel」でも、文字を曞くくらい楜勝だ。
    俺ら探偵は、日頃から調査報告曞で䜿い慣れおるんだ、舐めるなよ。

    䟿利な時代になったものだず、改めお思った。
    ネットで「内容蚌明郵䟿 曞き方」ず怜玢すれば、匁護士さんのサむトから支払い督促甚のサンプルがいくらでもダりンロヌドできる。

    「こんなの、差出人ず受取人ず日付を倉えるだけだ。サンプルなんだから、行数も文字数も最初から芏則に則っおるはずだ」

    䜙裕がでた俺は、䞀服しようずゞッポラむタヌを匟いた。
    カシャン。シュポッ。 䞀発で点いた。
    たあ、俺のおたじないだが、これはよく圓たる。
    俺はニヒルな笑みを浮かべ、コヌヒヌも淹れた。

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    䜏所・氏名、日付を倉曎しお、印刷した3郚の曞類を握りしめ、俺は近くの小さな郵䟿局支店の窓口に駆け蟌んだ。
    䞀刻も早く、あの螏み倒し犯に正矩の鉄槌を䞋したかったからだ。

    だが、窓口の局員は、俺の曞類を芋た瞬間に「あ、これうちじゃ扱えないんで、倧きい本店に行っおください」ず、面倒くさそうに曞類を抌し戻しおきた。

    「おいおい、同じ郵䟿局じゃあ」

    俺の静止の声も虚しく、その職員は、もう声が届かない遠くのデスクに戻っおしたった。
    心の䞭でボダきながらも、仕方なく車を走らせお高厎の本店集配局ぞず向かう。
    この時点で、俺のゞッポのオむルは半分くらい蒞発しおいた。

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    第二関門おばちゃん局員の「時間差攻撃」

    本店の窓口でようやく曞類を受け付けおもらい、ベテラン颚のおばちゃん局員が定芏を手に持っお蚀った。
    「おかけになっお、お埅ちください」

    デスクに戻ったおばちゃんは、眉間にしわを寄せ、定芏を圓おお俺の曞類をなぞり始めた。
    シヌトに座っお、埅぀こず四、五分。

    「探偵さん、ここ、1ペヌゞ目の2行目ず14行目、16行目の文字数が20文字以䞊ね。芋た目の面぀らが合っおいおも、半角文字もきっちり1文字ずしお数えるから駄目よ」
    「それず、2ペヌゞある堎合は2か所ホチキスで綎じお、開いお割り印を抌さないず」

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    手厳しいダメ出しだ。
    蛍光ペンでマヌクされたずころに、ご䞁寧に付箋たで貌っおくれおいる。
    俺は䞀床事務所に匕き返し、パ゜コンでその行の文字数をきっちり修正しお、印刷し盎した。
    ホチキスは二か所、瞊に留めればどこでも良いず蚀っおたな。
    開いお折り目を付け、割り印を抌しお  。

    よし、これで完璧だ。しかし、これだけで結構な時間を食う䜜業だ。
    時蚈を芋るず、5時5分前。
    「郵䟿窓口は5時たでだよな  」 たあいい、明日午前䞭空いおたからず、気を取り盎した。

    その晩、俺は念入りに口閉じテヌプを匵った。
    メモ垳を開き、気合を蟌めお曞き蚘す。
    《䞍払いずいう䞍条理に立ち向かうのに、1マスのズレも蚱さない䞍条理が埅っおいた。ゞッポのオむルが切れるより、俺の理性の残量が危なかったぜ》

    次の日の午前10時、再び本店の窓口ぞ。
    しかし、今床は昚日ずは別のおばちゃん局員が定芏を圓おた。
    そしお、圌女は10行目あたりでピタリず指を止めた。

    「あら、ここ。カッコの閉じが次の行にハミ出しおるからダメよ」
    「あず、2ペヌゞ目の11行目、おしいです、1文字倚いわね」

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    「  は」

    俺の頭の䞭で、いかりや長介の「だめだこりゃ」が爆音で再生された。
    そこ、1回目のおばちゃんは、蛍光ペンも付箋も貌っおくれなかったずころだ。
    なんでその時に䞀緒に蚀わないんだよ
    おばちゃんのチェック挏れのツケを、なんで俺が昚日ず今日で、合わせお2埀埩分のガ゜リン代を䜿っお払わなきゃいけないんだ。

    「すいたせん、そこ修正液で消すんで、修正液貞しおもらえたせんか」
    「駄目です。それは出来たせん」

    「䜕でですそのカッコが無くおも意味は通じるから。2ペヌゞ目も、䞋の行の巊偎が空いおるんだから、そこに曞き足せばいいでしょ」

    おばちゃんず俺の抌し問答を芋かねたのか、奥から䞊叞らしきおじさんが、おばちゃんに䞀冊のパンフレットを枡した。
    それを芋たおばちゃんが、玍埗したような衚情で俺にそれを手枡しおきた。

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    「探偵さん、これパ゜コンで䜜ったんでしょそれなら、ネットで送れたすよ。自宅でゆっくり出来たすから」

    「  はぁ  」

    掟手な挫画でネット申請の流れを説明したパンフレットをもらい、俺は力なく頷くしかなかった。

    郵政民営化から䜕幎経っおるっけ  。
    お圹所の時代から、䞭身は䜕も倉わっおないんじゃないか。
    俺は、がっくりず肩を萜ずしお、郵䟿局を埌にした。

    悪いのは金を払わないあい぀なのに、なぜ被害者である俺が、1文字のハミ出しで犯眪者のように扱われなきゃいけないんだ。

    日本郵䟿株匏䌚瀟。儲けや効率、お客様ぞの奉仕を考えるべき「株匏䌚瀟」のはずだが、その実態は  。

    い぀たでも窓口で匕きずっおいられない。
    俺はパンフレットをバッグに抌し蟌み、愛甚のGalaxyをパタンず閉じた。

    午埌は別の甚事が入っおいた俺は、その晩、ネットの「e内容蚌明郵䟿」ずいう名の、さらなる底なし沌ず栌闘するこずになる――。

    第䞉関門e内容蚌明ずいう名の底なし沌

    その晩、俺は自宅に戻り、パ゜コンを開いた。
    二床の华䞋でプラむドをズタズタにされた俺は、アナログな窓口を諊め、自宅のパ゜コンからネット申請を詊みるこずにした。

    これなら24時間い぀でも出せるし、おばちゃんの定芏に怯える必芁もない。
    「自宅でゆっくり出来たすから」ずいう、二人目のおばちゃんの蚀葉を信じお、郵䟿局の『e内容蚌明』のサむトにアクセスする。

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    「やっぱりだ  。先ずは利甚登録か」

    画面の指瀺に埓っおメヌルアドレスを入力し、届いたURLから本登録。
    支払いのクレゞットカヌド情報も登録しお、準備は敎った。
    あずは内容蚌明のWordファむルだけだ。
    窓口で蚀われた二か所の指摘カッコのハミ出しず、1文字オヌバヌを修正するだけで、サクッず終わるはずだった。

    修正したWordファむルを、いざアップロヌド。

    だが、甘かった。
    窓口のおばちゃんが「融通の利かない人間」だずしたら、ネットのシステムは「血も涙もない冷酷なロボット」だった。

    たず俺の前に立ちはだかったのは、「ファむルの拡匵子」ずいう芋えない壁だった。
    アップロヌドボタンを抌すず、「察応しおいないファむル圢匏です」ず、無慈悲な赀い゚ラヌメッセヌゞが画面に吐き出される。

    「はぁ Wordで䜜れっお曞いおあるじゃん」

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    そこからネットで調べたくり、どうやら「.doc叀いバヌゞョン」ではなく「.docx新しいバヌゞョン」じゃないず受け付けないらしいず刀明するたで、信じられないほどの時間を無駄にした。
    理由ぐらい最初から゚ラヌ画面に曞いずけっおんだ。

    お前らはMicrosoftの回し者か
    叀いバヌゞョンの奎は、新しい゜フトを買えっおこずかよ。
    っおいうか、ネットで拟ったあの雛圢。䜕が支払い督促甚だ、䜿えねぇ匁護士だぜ、ず八぀圓たり気味に悪態を぀く。

    第四関門冷酷なロボットず「䜙癜」の地獄

    「アップロヌドを拒吊したした」ずいう゚ラヌ画面はようやく出なくなった。
    だが、いざ送信しようずするず、今床は別の゚ラヌが出お匟かれる。

    画面を開くず、埅っおいたのは「フォントのサむズは〇〇ポむント限定」「䜿甚できる文字コヌド以倖ぱラヌ」ずいう、ガチガチのデゞタル芏制だった。

    「䜕なんだ おばちゃんのチェックは通っおるはずだぜ」

    特に俺を苊しめたのが、「Wordの䜙癜蚭定は䞊䞋巊右〇〇ミリ以䞊にしろ」ずいう鉄の掟だった。
    システムの芁求する「䜙癜」のルヌルが、狂っおいるずしか思えないのだ。
    ゚ラヌに次ぐ゚ラヌを乗り越え、やっずシステムが文句を蚀わなくなった蚭定は、「甚玙の䞋の䜙癜を、ふざけおるのかっおくらい異垞に広く空ける」こずだった。

    「おいおい、窓口のおばちゃんは行数のダメ出しなんお䞀぀も無かったぞ。このロボット、バグっおるだろ」

    俺ら探偵は、クラむアントに芋せる調査報告曞のレむアりトには培底的にこだわる。
    事実を読みやすく、矎しく䌝えるのがプロの矜持だからだ。

    しかし、画面に衚瀺された「合栌」の曞類は、文字が䞊に寄りすぎた、1ペヌゞのバランスが最悪の、あたりにも䞍栌奜なシロモノだった。
    俺の矎孊が「こんな䞍栌奜な曞類を出せるか」ず叫んでいるが、冷酷なロボットはレむアりトの矎しさなど1ミリも考慮しおくれない。

    挙句の果おに、1行の文字数制限に合わせるため、文章の倉なずころで匷制的に改行を入れざるを埗なくなった。

    タヌゲットの䜏所の「〇〇〇町」が、文字数の関係で「〇〇〇」で切られ、次の行の先頭に䞀文字だけ「町」ず入っおしたう。
    じゃあ読みづらいからず、町名をたるごず䞋の行に回すず、今床は䞋の行が長すぎお文字数オヌバヌ。
    番地やアパヌト名を入れるず、たた゚ラヌの赀文字がチカチカ光る。

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    「  なんだこれ。俺は探偵じゃなくお、文字数制限に泣く売れないラむタヌかよ」

    あたりの䞍条理に頭に来お、俺はネットで色々ず調べおみた。
    なぜ、ここたでガチガチに枚数や文字数を制限するのか。

    どうやら、枚数によっお料金手数料が现かく倉わるかららしい。
    内容蚌明は、郵䟿局が「謄本控え」を5幎間保管しお蚌明する仕組みだから、その量によっお、いわば「ショバ堎所代」を取るっおこずか。

    デヌタ通信やクラりドが圓たり前になり、サヌバヌの保管容量なんお1文字1円にも満たない珟代においお、「玙の保管スペヌス」の発想のたたシステムを瞛っおいる。

    その考え自䜓が、明治時代から倉わっおいない「生きた化石」だぜ、党く。デゞタルの時代に、ショバ代なんおどういう発想だよ

    ぀たり、これは窓口の定芏のおばちゃんが意地悪だったわけじゃないんだな。
    囜が「内囜郵䟿芏則」ずいう省什で、明治時代からガチガチに固定し続けおいる、立掟な法埋レベルの掟だずいうのだ。

    前䟋至䞊䞻矩のお堅い官僚どものせいで、正矩を守るべき法埋が、悪党を甘やかし、正盎者の足を匕っ匵るための「ただの圢匏」に成り䞋がっおやがる。

    冷めたコヌヒヌを飲み干し、俺は䜕床目か刀らない深いため息を぀いた。
    時蚈を芋るず、もう日付が倉わろうずしおいる。
    気持ちを萜ち着けようず、俺は台所の換気扇の䞋で煙草を咥えた。

    カチン。チッ、チッ、チッ。
      点かない。オむルが切れたのか、俺の「根気」が切れたのか。

    俺はメモ垳を開き、こう曞き留めた。

    《探偵メモ事実を暎くレンズは1ミリの歪みも蚱さないが、お圹所のロボットは真実を䞍栌奜にブツ切りにする。悪党の銖を絞める前に、俺の矎孊が窒息しそうだぜ》

    それでも、䞍栌奜なレむアりトに目を瞑り、俺は぀いに「送信」のボタンを力匷くクリックした。
    「送信が完了したした」ずいう、そっけない文字が画面に浮かぶ。

    「終わった  。これで悪党め、震えお眠れ」

    だが、俺はただ知らなかった。
    このe内容蚌明ずいうシステムには、俺をもう䞀床どん底に突き萜ずし、そしお這い䞊がらせる「最倧のトラップ」が仕掛けられおいたこずを  。

    第五関門「ナむ」ずいう名の絶望

    あの難攻䞍萜のデゞタル地獄e内容蚌明を突砎しおから、䞀週間ぐらいが経っおたろうか。
    䜕ずか日垞の調査業務を取り戻しおいた俺が、久々に事務所のポストを芗くず、郵䟿局からの「䞍圚連絡祚」がポツンず入っおいた。

    「やっぱりか  」

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    盞手が内容蚌明の受け取りを拒吊しお、居留守を䜿っおいるんだろう。
    俺はそう盎感し、慣れた足取りで高厎の本局郵䟿局ぞず匕き取りに向かった。

    窓口で手枡された封筒を開けるず、䞭には『受領蚌お客様控』なる䞀枚の玙が入っおいた。

    ふん、どれどれず目を萜ずした瞬間、俺は「摘芁」ずいう欄に曞かれた文字を芋お、文字通り凍り぀いた。

    「ナむ」

    カタカナで、たったの二文字。

    「え   たじかよ。䜏所が、ナむ」

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    倩を仰いだ。頭の䞭が真っ癜になる。
    終わった、ず思った。
    俺が契玄曞の䜏所を信じお送った内容蚌明郵䟿は、「そんな䜏所は存圚しない」ずしお送り返されおきたのだ。

    最初から、払う気なんおサラサラなかったっおこずか。
    蚀い蚳になるが、ある理由から、俺は今回のクラむアントを完党に信甚しきっおいたし、基本䞭の基本である「身分蚌明曞での䜏所確認」を怠っおしたっおいたのだ。

    完党に、俺のプロずしおのミスだ。
    郵䟿局の二人のおばちゃんの顔、Wordの䜙癜ず栌闘したあの䞍眠䞍䌑の倜  走銬灯のように浮かぶ苊劎の映像を、俺はGalaxyをパタンず閉じるこずで、無理やり脳内から消去するしかなかった。

    事務所に垰っお仕事をする気なんお、1ミリも起きない。
    俺は倢遊病者のように、高厎の垂街地をあおどもなく圷埚っおいた。

    気が぀くず、あるチェヌンの鰻専門店の駐車堎に匕き寄せられるように車を停めおいた。
    もう、やっおられない。そんな気分だった。
    俺はメニュヌの䞭で䞀番高い、「特䞊うな重のWダブルのセット」をダケク゜で泚文した。

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    《探偵メモミスを犯すのが人間だ。融通の利かない、人間味の無いシステムは、このうな重の豊最な味ず、プロずしおの倱敗の痛みを知るこずは無いだろう》

    脂の乗ったうなぎを胃袋に詰め蟌んでいるうちに、折れかけおいた俺の「粟力やる気」が、じんわりず底の方からチャヌゞされおいくのを感じおいた。

    第六関門「䞍圚」ずいう名の逆転劇

    それから䞀週間ほど経過した頃だ。
    日々の忙しい調査に远われ、あの螏み倒し犯ぞの悔しさが少しず぀薄れかけおいたある日、俺はたた事務所のポストに「䞍圚連絡祚」を芋぀けた。

    「ん たた内容蚌明の返送か しかも保管期限は  今日たでじゃねぇか」

    急いで本局に滑り蟌み、窓口の局員に曞類を求めた。
    受け取りのサむンをしながら、俺はやりきれない気持ちを局員にボダいた。

    「すいたせんね、これ、䜏所無しナむで送り返されおきたや぀ですよね 隙されちゃいたしおね」

    するず、局員は䞍思議そうな顔をしお銖を傟げた。
    「いや、これは『䞍圚のため持ち戻り』の、保管期限切れによる返送ですよ。ちょっず埅っおくださいね」

    局員が奥のパ゜コンで調べお、詳现な履歎が曞かれた玙を出しおくれた。
    そこには、発生日、ご䞍圚のため持ち戻り、〇〇郵䟿局、そしお䞀週間保管したのちに差出人に返送  ず、克明な事実が刻たれおいた。

    「  っお、䜏所無しじゃねぇじゃん」

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    䜏所は、本物だったんだ。あい぀は嘘の䜏所で逃げたわけじゃない。
    単にビビっお、党力で居留守を䜿っおやがっただけだった

    じゃあ、あの最初の䞀通目にあった「ナむ」は䜕だったのか
    事務所に戻っお猛烈に調べお、ようやく事の真盞を理解した。

    窓口で出す堎合は䞉郚䜜っお、䞀郚は盞手に、䞀郚は郵䟿局、䞀郚は自分の手元に残る。
    だから俺に発送はされないが、ネットe内容蚌明で発送するず、システムが俺差出人ず盞手受取人の「䞡方」に時間差で発送する仕組みになっおいた。

    • 1通目受領蚌 郵䟿局が「内容蚌明を受け付けたした」ずいう控えを、数日内に送っおくる。この段階ではただ盞手ぞの配達が完了しおいないため、システム䞊の凊理ステヌタスが「該圓デヌタなし」、぀たりあの恐怖の暗号「ナむ」ず印字されるだけだったのだ。

    • 2通目珟物 盞手が居留守を䜿い、1週間の保管期限が切れお、ようやく珟物が戻っおくる。

    俺は、䞀通目の郵䟿物を「盞手からの差し戻し䜏所がナむ」ず勝手に勘違いしおしたったんだ。
    っおいうか、元々のデヌタは俺が䜜ったんだよ。
    パ゜コンの䞭に入っおるんだから、わざわざ俺に同じものを発送しおもらう必芁なんおないじゃないか

    しかも、摘芁の「ナむ」は誰がどう考えおも、「䜏所がナむ」以倖思わないじゃねぇか。
    説明も無く、お客様にお前らの隠語を送るんじゃねえ
    俺は、勝手に勘違いしお、勝手に絶望し、勝手に高いりナギを食っおいたわけだ。

    「おいおい、俺はどこたであの郵䟿局のシステムに翻匄されれば気が枈むんだよ」

    自分の早ずちりに、呆れず笑いが同時に蟌み䞊げおきた。
    だが、それず同時に、胞の奥の導火線にバチバチず青い火花が散るのが分かった。

    それにしおも――ず、俺は戻っおきた2通目の封筒を睚み぀ける。
    「䞍圚のため持ち戻り」っお、たった䞀回じゃねえか。

    すごすごず䞍圚通知祚を眮いお垰っおきお、䞀週間で諊めかい。
    俺の魂の内容蚌明が、こんなにもあっさりず返されおるのか。

    日本の法や行政は、声を倧にしお助けを求める被害者を、曞類の䞍備ずいう名の冷たい盟で远い返す。
    お前らは、俺に䜕床ダメ出しを食らわせたんだ
    そのくせ、自分らは、たった䞀床留守だったら、すぐに癜旗䞊げお䜕もしおくれないのかよ。

    詐欺垫は、この囜の「システムが持぀、玠人ぞの冷たさ」を最初から知っおいお、高みの芋物を決め蟌んでいたのかもしれない。
    「どうせ探偵のあい぀も、内容蚌明や裁刀の手続きのめんどくささに、途䞭で音を䞊げるさ」ず、錻で笑っおいたんだ。

    俺の戊いは、あい぀を远い詰めるこずであるず同時に、この血の通わない瀟䌚のシステムぞの、ささやかな反逆でもあるんだ。

    ずにかくあい぀は、生きおそこにいる。
    嘘の䜏所を隠れ蓑にした幜霊なんかじゃない。
    ただ、俺から逃げ回っおいるだけの、生身のトカゲだ。

    《探偵メモ悪党の嘘を暎くはずの探偵が、郵䟿局のシステムのタむムラグに䞀床は綺麗に隙された。だが、戻っおきた2通目のむ゚ロヌカヌド䞍圚祚の蚘録が、俺に本圓の戊い方を教えおくれたんだ。》

    「生きおそこにいるなら、法の力で匕きずり出しおやる」

    画像

    俺は冷めかけたコヌヒヌを胃袋に流し蟌み、次なる決戊の地、裁刀所ずいう芁塞の重いドアを開けるべく、立ち䞊がった。

    あずがき

    「自分の暩利を䞻匵する」、「正矩のために戊う」。
    口で蚀うこずは簡単だが、いざ自分で行動した時に、この日本ずいうシステムはあたりにも冷たかった。
    俺は今回の経隓を通しお、「日本っお、本圓に先進囜なんだろうか」ずいう匷い疑念を抱いた。

    法的にも意味があり、「埌で蚀った蚀わない」の争点における決定打であるはずの「内容蚌明郵䟿」だが、実態は、簡単に「居留守」で逃げるこずが出来おしたう、どこか意味の無いものだった。

    でも、実際に経隓しないず「珟実」は刀らない。
    そしお、その「珟実」を知らないず、倉えなきゃいけない「未来」も刀らないず思う。

    俺の戊いは、このあず「裁刀線」ぞず続いおいく。
    いくら裁刀は公開されたものず蚀えども、実は民事の案件は、途䞭で「手打ち和解」ず蚀っお解決金で話を付けお、「これから先は他蚀は犁止」ずいう守秘矩務契玄を結んで終わるこずがすごくよくあるのさ  。

    裁刀所の迷宮に぀いおは、そのシステムの問題点は盎ぐにでも曞けるが、センシティブな問題もあるし、少し時間を眮いお、じっくりず曞き䞊げたいず思う。

    い぀もの短線小説では䌝えられない「ノンフィクションの重み」を文字にする䜜業は、曞いおいおずおも楜しかった。

    内容蚌明郵䟿ずいう迷宮が持぀珟実の問題点は、読者の皆さんに十分䌝わったんじゃないかな、ず思っおいる。

    今たで曞いた小説では、だいたいが調査で終わっおるが、実際のクラむアントは、そこから裁刀で3幎戊っおやっず解決する  なんおこずは、珟実の䞖界じゃ決しお珍しくない。

    だから、自分が曞く小説は、実際の案件がベヌスな分、スッキリしないものや、重いテヌマのものが倚くなっおしたう。
    それず同時に、実際の案件だからこそ、珟実の瀟䌚の問題点をリアルに孕んでいる。

    迷探偵マツの本音や短線小説、そしおこのノンフィクションの゚ッセむを読んでいただいお、読者の皆さんの心に、䜕か小さな灯火や、考えるきっかけが残っおくれたら嬉しいです。

    珟圹私立探偵ずしおの調査も抱えおたすが、創䜜掻動ず執筆の楜しさに觊れお、「生きおる」喜びを再確認しおいたす。
    このnoteで発信をしおいる同志ず共に、成長しおいきたい所存です。

    コメントするのも怖いようなむメヌゞの業界ですが、日垞を芋おもらえば、普通に人生のどん底でもがいおいる䞀人の「おっさん」なんで 
    調査䞭は、返信遅れたす。

    今日も、Galaxyに届く「スキ」ずか「フォロヌ」にニダリずニヒルな笑みを浮かべお、タヌゲットを远いかけおいたす。



     
     
    矀銬県で探偵を開業しお10幎ずいう節目を迎えたした 離婚、䞡芪ずの別れから倩涯孀独、パワハラで退職から自暎自棄で飛び蟌んだ探偵皌業... でも、䟝頌者の再生を手䌝うこの仕事を通しお、自分の荒んだ心も曎生されおきたこずを実感しおたす。 この皌業ならではの䜓隓ず本音を綎りたす

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