
小説 恋愛と闘いと その6
楠本亮二という男
「えーと。何から教えようかな。亮二君はホームページ作ったことある?」
「あります。学校でも少し習いましたし。」
「何で作ったの?」
「HTMLとCSSで組みました。デザインはIllustratorで作って。」
「へえ!そうなの。」
この子は技術はあるのか。かの子は思った。
「じゃあ、この和菓子屋さんのサイト見て。」
亮二はパソコンを覗き込んだ。
「。。このページ。クソダサくありません?俺ならこうするけどな。」
「。。私が作ったんだけど。」
「ちょっと失礼します。」
「え!?ちょっ!」
亮二はかの子の机に座ると、カチャカチャと一気に素早くパソコンを操作し、イラストをサラサラ描き出し、それを組み込みながらキーボードを打ち続けた。
(!速い)
かの子は驚いた。
画面は、この店の売りの苺大福の写真が、いちごのつるやら花やらに囲まれた、淡い緑と赤を基調にした見るも鮮やかなホームページに様変わりした。
「絵も描けるの。パソコン操作、速いのね。」
「前からネットって似たような地味目なサイトばかりと思ってました。日本てコンクリートだらけじゃないですか。せめてネット上だけでも個性出したらいいのにって。そう思いません?」
かの子はしばらく無言になった。
この来た早々好き放題言ってくれるガキをどう扱えばいいか。
「亮二君。この作品にお金を払ってるのは、ここの和菓子屋さんなのよ。」
亮二はかの子がカチンときてる所を見逃さなかった。それで?という顔でかの子を見る。
「私たちは、なるべくクライアントのイメージが叶うように作ってるの。あなたの趣味を押し付ける場じゃないのよ。」
「ハイハイ、ここまでー。」
社長が割って入ってきた。
「皆んなージャッジ。」
他の社員はパソコンを触る手を休め、挙手をして言った。
「杉浦。」
「かの子。」
「杉浦。」
「でついでに言うと、俺らはそのお客さんの支払う対価のお金で生活が出来てる。」
社長が言った。
亮二は黙り込んでしまった。
「後藤さん、亮二君に合うような発注来てる?」
「うーん無いですよ。」
「亮二君、今日はお茶汲みと掃除してて。」
と社長が言った。
「ええ!。。じゃあ、そうしてます。お役に立たなくて申し訳ありません。」
親の友人だからか、亮二は社長には素直に謝った。
「お茶です。。お茶菓子もあったので。。どうぞ。」
「まあ。可哀想なくらいしょんぼりしてるわ。」
須藤が言った。
(会社で泣きそうな男の顔初めて見た。)
かの子は思った。
「亮二君てパソコン操作凄い早いのね。驚いたわ。」
須藤が言う。
「え、そうですか?イヤ、そんなでもないですよ。」
須藤のおかげで社内が和やかな空気に変わった。
(あのクソガキの世話を私がやらなきゃいけない訳。面倒。)かの子はうげえ。と思っていた。
「杉浦ー」
「はい?」
社長はかの子を呼び、数秒話した。
〜午後〜
「亮二君もう掃除いいから、このページに載せるボタン作って。」
かの子が言う。
「亮二君。老舗の和菓子屋さんのことを想うのよ。こう。。心から。貴方は今から、老舗の和菓子屋の75歳のおじいさんよ。子どもの頃はまだ戦後で家は貧しく、着るものも食べ物も無く。。。出来たら、必ず私に見せて。あと会社でも歳でも私の方が上なんだから、生意気な口は聞かないで。」
「。。あ、はい。でもこのページを訪れるのは、赤の他人のお客さんです!」
山本と須藤が、はっ。と笑って吹く。
「。。そうだけど。いいからお爺さんになったつもりでやって。」
亮二は机に座らせてもらった。
私は何処でストレス発散すればいいの。
かの子は思った。