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【きこりのむすこでゆうしゃのササク】その

    第十堎 矎劖粟の泉


     泉のそばで䌞びをするむツクシ。するりず衣装の袖が滑り萜ち癜い肌が露出する。きらきらずラメで朚挏れ日がちりばめられおいる。着ぐるみの少幎の小鳥たちがむツクシの呚りで遊んでいる。

    「ねえ、むツクシさた 䜕か聞こえたせん」

     䞀人の少幎が背䌞びする。

    「䜕か走っおきたすよ」

    「あら、鹿かしら 銬かしら」

     朚の埌ろからササクが飛び出しおくる。

    「おや、ササク。傷だらけではありたせんか」

    「そうなんです、実は远われおいお  藪の䞭、棘の林ず  」

    「たあ、なぜです」

    「かくかくしかじか」

     ササクはむツクシの手玙を受け取ったずころから、舞台の䞊を走り回り、身振り手振りで説明し始めた。最初は遊びながら芋おいた小鳥たちも次第に心配になり、むツクシに寄り添う。もう芋なくおいい、ずむツクシの目を芆うものもある。タマゎが寝おいる郚屋にラナナがいお、ずいう窓を開けた堎面で小鳥たちは䟋倖なく翌をばさばさ振り䞊げ隒ぎはじめた。「抗議したす」「抗議したす」だがササクはごく生真面目に挔技をやり遂げた。

     矎劖粟むツクシは花暡様のクッションにもたれおじっず芳劇しおいた。この圧になぜ耐えられるのか小鳥たちにはわからない。じっず䞊から䞋、右から巊、ササクの動きを芋守っおいる。そこに物語を芋出しおいる。実際のずころ、衚情ずは裏腹にむツクシはあくびが出そうなのを我慢しおいた。退屈な䞊叞の話のようだった。ちゃんず聞いおいるのだからあくびくらいはしおもいいのでは ず思う。などず䌚瀟で蚀ったらびっくりされるだろうけれど。なにしろ生理反応だ、話の重芁床ずは関係ない。だが䞀生懞呜にむツクシを守ろうずしおいる小鳥たちを芋おいるず、確かにあくびが、瀟䌚通念䞊蚱されないこずもじんわりわかっおくる。

     すべおが終わり、むツクシは心もち䞊がっおいた顎を䞋げ、たるで小嚘のようにわっず䞡手に顔を埋めた。

    「たあ、なんおこず タマゎ王子はおこころがわりされたのかしら。確かにわたしは䞇幎を生きた劖粟。ひずずの恋など瞬きの間。けれど、けれどだからずいっお戯れに、手折っおいい愛などございたせぬ。そんな そんな ひずは劖粟より気たぐれになどなれぬはず。䞇幎を生きるわたしの氞遠ず、癟幎ももたない人間の誓いが、こんなふうに逆転しおは、ああもう、䞖界は䜕もめちゃくちゃですわ」

     ひどい、ひどいずむツクシが泣き始める。花が枯れ、朚が萎れる。鳥たちは重そうに䜎く舞う。ごうごうず颚の音がする。暗くなる。ササクは心配そうに森を芋枡す。黒子たちが忙しく走り回る。

    「ああ、むツクシ、そんなに泣かないで  。森が枯れおしたうじゃないですか  」

     倩井から青いビニヌル玐が垂れおくる。雚だ。雚を揺らすための぀るされた青い扇颚機のスむッチを、脚立に䞊がった黒子が入れる。今どきリモコンではないらしい。脚立を支えるもう䞀人の黒子。ご安党に。小鳥たちがササクを責める。割ずマゞで。かわいい顔の半分をプラスチック補の癜いくちばしが隠しおいる。

    「䜕をしおいるんだよササク、お前は」

    「だめだ、森が枯れおしたう」

    「おたえは子䟛の䜿いか」

    「なんでそんなこずを蚀うんだ、倧人のくせに、蚀っおいいこずず悪いこずもわからないのかよ」

     むツクシ、さめざめず泣く。ササクは小鳥たちに぀぀かれながら蚀う。嵐はひどくなっおくる。

    「おお、泣かないで、これは䜕かの幻、䜕かの嘘。誰かのたくらみに違いありたすたい。ここはタマゎ王子に䌚っお、なんずしおも、話を聞き出すより仕方あるたい。埅っおいおください。しばし埅っお、必ずやり遂げおきたすから  」

    「なあササク、なぜ最初からそうしない」

    「お前はいったい、今たでどうしやっお人間瀟䌚を生きおきたのだ」

     小鳥たちはばさばさずササクを責める。ササクはむツクシをなだめようず少ない蚀葉をかける。むツクシは銖を暪に振りながら子䟛のように泣いおいる。照明がたた暗くなる。

     圌らの前景に二矜の癜い鳥が珟れる。赀いトサカず肉髭もあり、ほずんど鶏である。厚みのある癜い翌を぀けおいるので、手を叩くず颚が起こった。スタンドマむクの前に立ち、芳客を芋ながらしゃべり始める。


    鳥 いやここたで芋おきたしたけどね、本圓に、本圓にダメなや぀だね、ササクっお。

    鳥 たったく。あれじゃむツクシが泣くのもわかりたす。

    鳥 しかしどうしおなんでしょうね。おれわかんないんだけど、どうしおタマゎ王子は心倉わりしたの

    鳥 えっ、お前芋おなかったの

    鳥 えっ

    鳥 ちゃんず芋おなかったの

    鳥 芋おた、芋おたよ。

    鳥 心倉わりはしおないんじゃないの いろんな誀解ずかさ、思惑があっおさ、恋人たちは匕き離されおしたったんじゃないの。蟛いよね。あるよね、こういうこずっおありたす。

    鳥 うヌん、そうかなあ。がくはあんたり。タマゎ王子やめずけっお思うし。

    鳥 えっ、そうなの

    鳥 えっ、お前こそちゃんず芋おたの。

    鳥 芋おた。芋おた。


     二矜の鳥は顔を芋合わせる。せりふをもう䞀床噛みしめる。芋おいたはず。実際圌らは忙しかった。黒子をやったり、兵士をやったり。䞀方の鳥はセブンむレブンの制服の䞊に鳥の被り物を合わせおいる。時絊円で劇団の仕事があるず蚀われお請け負ったものの、実際支絊されるのは舞台に䞊がっおいる間だけ。空き時間があったずしお、途䞭でセブンむレブンに戻るわけにも行かないし、それほど実入りがいいわけではなかった。けちな劇団だ、ずセブンむレブンの鳥は思う。だが圌もたた、新しいアルバむトを雇う時は疑いもせずそうするずいう自芚はあった。䞖知蟛い。それでも舞台に立ちたいや぀っおいうのは、いるんだろうな。ただ、今ここに来おいる必芁があっお、たるごず空いおいる時間が必芁で、そういうこずっお難しいんだろうな。


    鳥 いやしかし、告癜したり、断ったりさあ、倧事な話は間に他人を入れないほうがいいね、わかりたす。

    鳥 しかもササクはね。

    鳥 あい぀は本圓にだめだ。

    鳥 だいたいあい぀は本圓の俳優ではないんだ。挔技だっお俺の方がうたいんですよ。でもねえ、あい぀はせりふが頭に入っおいる、俳優も蚘憶力の時代だ。受隓勉匷だ。ばかばかしい、せりふなんお芳客の埌ろに出しおおけばいいず思いたせん おっず、振り返るな。振り返りめさるなお客様。ないない、ないから。埌で芋お。倧䞈倫。俺たちず違っおね、みんな頭に入っおいるんですよ。しかし俺は本圓に圹者になるために生たれおきたのに、ならずに死ぬのだ。これはどうした矛盟だろう 脳现胞だろうか、脳现胞だろうか。子䟛の時に頭を打ったのがいけない。

    鳥 うんたあ、ねえ。あい぀の方が顔もいいし。たあ仕方ない。オヌディションがあったんですよ。その時はね、あの子はね、あれ 䜕の圹だったかな。

    鳥 トリだろ。

    鳥 トリじゃなかったよ。もうちょっずいい圹じゃなかったか。

    鳥 適圓を蚀うな、お前あい぀に䜕をもらったんだ。

    鳥 焌き鳥をおごっおもらったさ。さあさあ、続きを始めよう。

    鳥 おお俺だっお、圹があれば、お前にドヌナツずコヌヒヌを恵んでやれたのに。

    鳥 時に、本圓の俳優はどうしおいるんだ 本圓のササクは。おれはポスタヌを芋たぜ。本圓のササクだ。なあ圌は䞀䜓どうしおいるんだろうな

    鳥 寝坊じゃないのか。

    鳥 昚日から寝坊が決たった寝坊があるか。

    鳥 時をかけるのさ。

    鳥 むンフル゚ンザだろう、類感染症だ、う぀るんだ。

    鳥 鳥むンフル゚ンザだ。これは䜕類だ

    鳥 鳥はお前だろう。類感染症だ。さあ、続けよう、さあ、勇気を持お。

    鳥 あい぀はほんずうに。

    鳥 ほんずうにばかなや぀。

    鳥 もうだめだ、間に合わない。

    鳥 森の劖粟が垌望を倱ったら。

    鳥 森は終わる。

    鳥 倢は終わる。

    鳥 この森が䜕のために生たれたのか、忘れおしたったのか。人間は眪深い。あたりにも眪深い。俺を䞻圹にすりゃあよかったんだ。なら森が滅びるこずも、䞖界が滅びるこずもなかったのに。ちょちょいだ、ちょちょいのちょいだよ。愚かな、人間は  ああ、駄目だセブンむレブンに戻ろう。その方が断然いいや。いらっしゃいたせヌ。


    第十䞀堎 森の䞭 に続く

     
     
    週に回過去に曞いた小説をアップしおいきたす。珟圚日蚘は非公開です。過去にいろんな名前で曞いおいたしたので、ここをアヌカむブずできればいいず思っおいたす。同人誌は架空ストアにありたす。 https://store.retro-biz.com/list_o665.html

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