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Photo byplatinousmoon

詩・筑前煮

    思い出すのは
    なつかしい味
    でもなく
    あたたかい食卓
    でもなく
    延々と小言を
    聞かされて
    おいしくなくなった
    筑前煮のこと

    具材が減ってきて
    見えてきた
    出汁に浮かぶ油
    まあるい油は
    水玉みたいで
    小さな円と円の境目を
    お箸でつついて
    ひたすら大きくして
    やり過ごすのが任務

    少し甘めの出汁も
    耳が痛い話も
    全部子供のためだった

    親になった私の任務は
    思い出してもらえる
    記憶をいっぱい作ること
    できれば苦いのは少な目で

     
     
     
    きぬさや。詩と短歌を書いています。 兵庫県出身、大阪府在住。 元テキスタイルデザイナー。83’生まれ。 2020.10、ALS・筋萎縮性側索硬化症 治るつもりで生きてます。視線入力を愛用中。 詩集「それでも日々は朗らかに」2026年5月15日 刊行

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