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大好きな我が家へ送る手紙①

    我が家へ

    あなたがまだ、図面の中にしかいなかった頃のことを覚えています。

    どんな朝の光が差し込むのか。
    どんな音が響くのか。
    どんな時間が、この場所に積もっていくのか。

    まだ姿のないあなたの中で、私は何度も暮らしを想像していました。

    2019年の冬。
    あなたは私たちの「帰る場所」になりました。

    そして2026年の冬。
    私たちはあなたを離れることになりました。

    七年間という時間を抱えたあなたに、
    さみしさと、言葉にしきれない感謝を込めて、この手紙を書きます。

    あなたを設計するとき、工務店の方から「家のテーマを決めましょう」と言われました。

    迷わず答えました。

    「キッチンを中心にした家にしたい」と。

    台所。
    古い言葉では「お勝手」とも呼ばれる場所。

    自由に、ひらかれていて、
    誰かがいて、誰かを待っている場所。

    だからあなたのテーマは、
    「お勝手でくつろぐ家」になりました。

    子どもたちは遠出から帰るたびに言いましたね。

    「おかってちゃん、ただいまー」

    家なのに、ちゃん付けで呼ばれるあなた。

    いつの間にかあなたは、
    一番大きな家族になっていました。


    50首の短歌を二記事に分けて添えます。


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    きぬさや。詩と短歌を書いています。 兵庫県出身、大阪府在住。 元テキスタイルデザイナー。83’生まれ。 2020.10、ALS・筋萎縮性側索硬化症 治るつもりで生きてます。視線入力を愛用中。 詩集「それでも日々は朗らかに」2026年5月15日 刊行

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