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Photo byhoshizoramochi

仄かにひかる|「眠れない」

    百舌

     暗闇では、眠れない。
     闇に巣くう影を見る。
     部屋隅に潜む視線を肌に感じる。
     私はベッドの脚側のコンセントに、常夜灯としてのLEDライトをつけている。ほんのりと部屋に暖色が広がっている。生理前のなにもかもが鼻につく感情も、その光が呑み込んでくれる気がする。
     片付けをしているときは眠気に襲われているのに、暗闇では眠れない。その光があればこそ、眠りの深い淵から沈んでいく気がする。

     ある夜、私はいつものようにベッドに潜り込んで、タブレットで小説を読みながら眠気を育てていた。そうしてベッドのなかで浮遊感に包まれながら、リモコンで天井灯を消した。
     どっと。
     息が詰まるような暗闇に押し潰された。
     どうしたの、と一瞬で意識が覚醒した。
     手探りでベッド脇を探ってみる。そうしたらコンセントには四角い物体がささったままだった。電源スイッチはautoにしてあるのだけど、どこか接触不良でもおこしたのかな、そう思って指先で探って取り外してみた。
     それから出窓の角に置いたタブレットを持ち上げて、画面をタップしてその光で確認するつもりだった。
     一瞬のうちに、手にした物体が消失した。
     いえ、手に伝わる感触がぐにゃりとした。
     それは柔らかなものへと変化して、さらにあの凛光を放つ、掌サイズの少女になっていた。
     えっ、と言葉に出ていた。
     少女は眠りを破られたようで、針穴のように小さな瞳でぱちぱちと瞬きをしている。その驚きの眼が茶目っ気に変わった。
     反射的に掌を開くと、その子はすっと中空に舞い上がった。黄金の輝きを持つ薄羽を持って優雅に泳いでいる。

     妖精だ・・・
     本当にいるんだ・・・

     ふわりふわりと妖精が浮いている。
     薄絹のような可愛いワンピの輝きが、彗星のように尾を引いている。
     私はとんとんと指先で枕元を叩いた。

     こっちへいらっしゃい。
     花が綻ぶような笑顔なのに、首を横に振った。
     ああ、そうね。私が寝返りでもしたら踏みつぶしてしまいそう。そう考えていたら、急降下してベッドサイドに隠れた。
     私は驚いて、身を起こしてベッドの脚を覗き込んだ。
     そこにはいつも通りにLEDライトがコンセントに刺さっていて、仄かに輝いていた。
     そうか、あの妖精さん。
     毎晩のように、私が寝入るまでずっと夜更かしだったのね。
     たまには寝過ごしたって、いいんだよ。
     そう天井に向かって、独り言を呟いた。

     


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    百舌

     
     
    様々の人生を経て、移住先の離島からさらに移住して、阿蘇山麓で暮らしています。 教え子の導きで再び小説を書き始めました。相変わらずの憑依タイプの物書きなので、第一行を書いたときに物語の終盤は見えていません。 自ら物語って、最初の読者になるという至福な糧を得ています。

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