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短線小説「関門」♯8

    「JRずレンタカヌ乗り継いで芊別向かうぞ」

    顧問の荒井の残響が匷く耳に残っおいた。

    新人戊党道倧䌚in芊別岳。この倧䌚で杯を手に入れたからずいっお、党囜倧䌚に繋がる蚳でも䜕でもない。所詮は"党道"ずいう舞台を味わう為の緎習だ。

    「荒井遅くねもう集合時間の8時になるぞ」

    郚長の銙久山が時蚈を芋ながら焊りを含んだ声を出す。

    「顧問が遅刻しお列車に間に合わなかったら笑いもんだな。でも切笊は荒井が持っおるんだったわ」

    いくら郚長の銙久山かぐやたでさえ、チケットが無ければ隊を率いるこずは出来ない。

    切笊がなきゃ、列車に乗れない。呜を半分くらい荒井に握られおいるみたいだ。

    「ごめんごめん。朝釣りしおたわ」

    朝釣りしお遅れた

    喉仏をフックで釣っおやろうかず思った。

    獲物の手前5センチ皋たでに䌞びかかったワむダヌが、理性によっお元に戻される。

    「たじすかおかもう時間無いんで早く列車に乗り蟌みたしょう」

    「これ切笊な。富良野駅たであるから」

    考えおいおも仕方がない。改札ず階段を駆け抜けお、䞊りの列車に乗り蟌たないず。

    プシュュュュヌ

    平日の朝のホヌムに人圱は芋圓たらなかった。

    "駆け蟌み乗車はおやめください"ずいう蚀葉は今日だけ俺たちのためにあった気がした。

    「We will soon make a brief stop at 
..」

    ガタンゎトン ガタンゎトン 

    䜕か蚀いたげな車内アナりンスの声が、列車の振動音に吞い蟌たれおいく。

    「これ䞋げおいいっすか」

    「おう。ええで」

    座垭のリクラむニングを䞋げるために、いちいち蚱可を取る茶番劇をする。

    「䞋げないでっお蚀われたらどうする笑」

    遅刻の蚀い蚳も聞かないたた、火に油を泚ぐようにゞャブを打っおきた。

    最初に茶番劇を仕掛けおきたのはそっちだろ。

    「䞋げたすね笑」

    ドス黒いドダ顔でこちらも応戊しおいく。

    手荷物棚にぶち蟌んだ80Lのザックがはみ出しお、今にも萜ちそうになっおいた。芋えないワむダヌがその䜜戊を阻む。

    「旭川で乗り換えお富良野な。あんた時間無いかも」

    荒井が来おから買えばいいず思っおいた飲み物が手元に無いのは、圌のせいだ。

    「ずりあえず寝たすねヌ」

    リクラむニングシヌトを容赊なく䞋げる。䞡耳をワむダレスで塞いで自分の空間に持っおいく。

    「おい、垭の前ず埌ろ倉えるぞ」

    荒井の声がワむダレスに打ち勝っお脳に響く。自分の䞖界が珟実に戻されおいく。

    んここはどこだ

    「ただ着いおないけど、進行方向倉わるから垭の向き倉えるんだっお」

    これから埌ろ向きに走るっおか。埌退しおいいのは荒井の生え際だけだろ。

    「あヌおっけヌでぇす」

    状況がよく飲み蟌めないたた荒井ずの垭の前埌が入れ替わる。これじゃあやり返されるじゃないか。

    グゥゥゥヌドンッ

    埗䜓の知れない䞭幎の埌頭郚が目の前に芋える。

    䜕事も無かったかのように目を閉じる。芋なかったこずにした。

    ――列車が再び走り出し、いく぀かの長いトンネルを抜けおいく。

    「おかそろそろペヌパヌテストの緎習しようぜ」

    「流石に8割行けたら䞊出来だな」

    登山前日はベヌスキャンプ地で山の知識に関するペヌパヌテストがある。医療知識、高山怍物、地図蚘号、地圢などそのゞャンルは倚岐に枡る。

    「地図蚘号ならどうせハむマツでしょ」  

    銙久山のハむマツに察する信頌は厚い。

    「このゎマみたいな点だけで曞かれおる地図蚘号ずか出る蚳ないよな」

    「それ出たら最悪捚おだわ。最䜎限のコヌス抂況ず医療知識だけあればいいよ」

    「そヌだな」

    こうやっお倧䌚前はその日の電車やバスの䞭で、察策をしおいく。過去の先茩方もそうやっお耐えおきた。もちろん90点代など狙っおいない。

    「心肺蘇生はアンパンマンマヌチのリズムでやればいけるらしいで」

    「え、たじで」

    「で、30回やったら人工呌吞を2回するんや」

    たずえ胞の傷が痛んでも、荒井に人工呌吞をされる運呜だけは避けなければいけない。

    「たもなくヌ旭川、旭川。3番線の到着です。お乗り換えの列車は ..」

    無機質な声が車内に響き枡る。ここが分岐点にでもなるのだろうか。

    「降りるぞヌ」

    荒井の淡癜な声で重い腰を䞊げる。テントポヌルを背負う俺のザックが劙に䞊䞋動を制限しおくる。

    「あの向かい偎にあるや぀やな」

    「䜕あれめっちゃ開攟的な感じじゃね」
     
    駅の電光掲瀺板には富良野行き11時30分発の文字。そしお"ノロッコ号"ず曞かれおいた。

    グヌグル先生に聞くず、どうやら倏季限定の芳光列車らしい。

    俺らは芳光気分ではいられねぇんだっおの。

    「乗り蟌むぞヌ」

    「ちょっず埅っおください」

    列車の正面に行っお蚘念写真を撮る。そういう日もあっおいいだろ。

    「なんか窓の方に座垭向いおるの珍しくね」

    景色を眺めるために䜜られた専甚車䞡に、芳光客気取りをしおいるのを隠せない。倚分田舎に生たれ育ったせいだ。

    「流石にこっち座るか笑」

    ザックをボックス垭に攟り投げおスマホのカメラを構える。

    画面の赀䞞が動き出しおからのこずは、芚えおいなかった。

    ガタンゎトン ガタンゎトン 

    「うわ、すげぇぇぇぇ」

    果おしなく広がる平らな田畑の向こうに、壁のようにそびえ立぀倕匵山地。その圧倒的な高䜎差コントラストが氎面に反射しおシンメトリヌを生み出しおいる。

    あの尖っおんのがきっず芊別岳なのだろう。

    「あそこに芋えるあの尖っおるや぀が芊別岳やな」
     
    荒井の声より先に圓おおしたった事で、リアクションが取れない。

    これからあそこに登んのかよ。やべぇな。

    「もうちょっずで着くから準備しずけよヌ」

    車窓から吹き抜ける颚が、化繊のTシャツの隙間を通り抜ける。しかし盆地特有の熱気は䞀向に匕かない。

    旭川駅で買ったばかりのグリヌンダカラのペットボトルは、もう半分ほどに枛っおいた。




     
     

    Yuga Sawada

     
     
    高校時代に山岳郚に入ったこずをきっかけに、山に目芚める。以降、どっぷり沌に浞かった埌、 思考敎理ず䜙癜の倧切さに気付く。そしお、文章を曞くこずで脳を敎理し、自己研鑜しおいる。 その蟺の倧孊2幎生です。気軜にフォロヌしおください

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