
くびれはどこへ消えた?
あれ、サツマのくびれがなくなった。
「ねえねえ、サツマ、くびれはどこへ消えたの?」
「え? たじこのくびれ?」
サツマが、上目遣いに飼い主を見上げる。
その視線を遮るように、たじこは言う。
「違う違う、私のくびれは探さなくていいんだよ。サツマのくびれの話だよ」
うーん、と首をかしげたあと、パッと目を輝かせたサツマ。
「きっと、散歩道に落ちてるよ!」
「そうかなあ……」
「そうだよ、きっと!」
「じゃあ、探しに行こうか」
くびれはどこへ?
くびれはどこへ?
くんくん探偵が歌いながら、いつもの散歩道をくんくんくんくん捜し歩く。
にょろっ、にょろっ。
なにやらにょろにょろしたものが。
「あっ、何か落ちてる! くびれじゃない?」
「え? 本当?」
姿を現したのは、大きなミミズ。
「なーんだ、くびれじゃなかったね」
くびれはどこへ?
くびれはどこへ?
くんくん探偵が、くんくん地面に夢中になっていると、
空から、ひらり。ひらり。
「あっ、くびれ?」
サツマがあわてて見上げると、
黄色いちょうちょが、ひらり、ひらり。
「あーっ、逃げられた!」
「それ、くびれじゃなくて、ちょうちょだよ」
「えっ、そうなの? じゃあ、いいか」
くびれはどこへ?
くびれはどこへ?
くんくん探偵がさらにくんくんくんくん歩いていると、今度は向こう側からいい匂い。
「あっ、いっつもおやつをくれるMさんだ! Mさんがくびれ持ってるかも!」
サツマは、急いでMさんのもとに駆け寄る。
「ねえねえ、Mさん。くびれ、もってる?」
「え? くびれ?」
Mさんはきょとんとしながら、自分のお腹を覗き込む。
「あ、違うよ。ボクのくびれだよ」
「なーんだ。びっくりしちゃった。くびれは持っていないけど、おやつはもってるよ」
「わーい、いつもありがとう!」
散歩の帰り道。
「今日はくびれ、見つからなかったね」
そう言うサツマは、なんだかうれしそう。
「あしたも探しに行こうね」
飼い主を見上げるサツマは、ニコニコ笑顔。
「ねえサツマ、本当にくびれを探してる?」