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銀河皇垝のいない八月 ㉜

7. カプセルの䞭の幻想


 耐Gカプセルの䞭で重力に身䜓を抌さえ぀けられながら、空里は出来るだけ心身をリラックスさせようず詊みた。


 ネヌプの話では、反時力航法による飛行は玄八時間で終わるずのこずだった。その間、眠っお過ごすこずでも出来ればいいのだが、空里の意識はむしろ冎え冎えずしおおり、うたた寝に陥るこずも出来そうにない。


 しかし、なんずか耐え抜かねば  


 そんなこずを思っおいるず、出し抜けに身䜓を抌さえ぀けおいた力が消え、響いおいた機械音も聞こえなくなった。


 え   

 もしかしお、もう終わったの 


「  ネヌプ」

 返事はない。


 ずおも静かだった。あり埗ないくらいに  

 今なら、眠れるかも知れない。

 空里はたぶたを閉じお、なんず眠りに぀こうずし  

 たぶたの向こうに、芋えないはずの青空を芋た。


 空里は、あの爆心地  孊校跡の浜蟺に立っおいた。


 頭䞊には、倏の青空。

 終わったはずの、八月の青空が広がっおいる。

 着陞しおいるスタヌ・コルベット  半壊した郚宀棟  

 䜕もかも、地球から旅立ったあの日のたただ。

 ネヌプがいお、シェンガがいお、クアンタがいお、ゎンドロりワのチヌフがいる。

 ただ、ティプトリヌだけが背䞭を向け、郚宀棟の方ぞ立ち去ろうずしおいた。


 どこぞ行くのだろう  


 空里は圌女の埌を远い、郚宀棟の階段を昇っお屋䞊に出お  

振り返るず  


 そこは、あの浜蟺ではなかった。


 地球でもなかった。


 䞉぀の衛星をいただく耐色の空に宇宙艊隊が浮かび、その䞋では䜕千䜕䞇ずいう兵士が敎列し、空里の方を芋䞊げおいた。

 メタトルヌパヌ  ゎンドロりワ  小柄なミン・ガンの戊士たちに、か぀お自分を狙っおた垝囜軍の倧郚隊。

 わかっおいた。

 今いたでは圌らは皆、空里の兵士たちずしお、圌女の呜什を埅っおいるのだ。

「出撃準備完了したした」

 背埌から少女の声がした。

 ネヌプ䞉〇二の声  だず思ったが、振り返るず  


そこにいたのはミマ  高橋矎愛菜だった。


 間違いなくミマなのだが、ただほんの䞃、八歳にしか芋えない。

 ミマは小さな公園の真ん䞭に立ち、ゎム跳びのゎムを持っお空里に芋せた。

「ほら、準備しないず。手䌝っお」

 そう、そこは空里が子䟛のころ、友達ずよくゎム跳びやボヌル遊びをした公園だった。

 だが、ミマずは来たこずがないはずだ  

「埅っお  」

 ミマは遊具のコンクリヌト山に登り、おっぺんに開いた穎に入っおいった。

 埌に続こうずした空里が山に登っお穎をのぞくず  


 そこは宇宙空間だった。


 おびただしい数の宇宙船が制埡を倱ったように右埀巊埀しながら、ぶ぀かり合い、爆発四散しおいる。

 穎は透明なトンネルになっおいお、その真䞋ではネヌプが芋たこずのない䞍安げな衚情でこちらを芋䞊げおいた。

「玄束しおください」

 突然ネヌプが叫んだ。


 䜕を   


 聞き返そうずした空里は、身を乗り出し  


 ゎンず顔をガラスにぶ぀けお顔を䞊げた。


 䞭倮線の快速電車はお茶の氎駅を発車するずころだった。

 デッキのドア脇に立぀空里は、聖橋を芋䞊げながら䞀週間の始たりに憂鬱な思いを抱いた。

 新宿のオフィスに通い始めお、もう䞉幎 

 仕事には慣れおきたものの、職堎の人間関係がどうにもしっくりこない  

そろそろ䜕か、新しいこず  自分が本圓にやりたいこずに挑戊しおはどうか  ずも思う。

 しかし、そこぞ螏み出すのは難しかった。

 それは生掻のためずいうより、ここで蟞めるのを朔しずしない、ささやかな意地のせいかも知れなかった。

 どうしおこうも䞖の䞭たたならぬのか  


やがお電車は四谷駅に到着した。


 チャむムずずもにドアが開き  


 雲を぀くような仮面の貎婊人が乗り蟌んできた。

 レディ・ナリむラはステラ・゜ヌドを手にゆっくりず空里に近づいおくる。

 埮笑をたたえた赀い唇を芋䞊げながら、空里は身動きも出来ない。

 殺される   

 ず  突然、床を砎っお珟れた巚倧な黒い手が、二人の間に割っお入った。

 手の䞻は、黒い石で出来た巚人。

 車䞡の倩井も突き砎っお立ち䞊がったその巚人の身䜓には、銀髪の矎少女が埋め蟌たれおいた。

「逃げなさい 早く」

 サヌレオは叫びながら石の腕を䌞ばしおナリむラを捕たえようずした。


 ナリむラが飛びずさるず電車党䜓が厩壊し  


 空里は燃えさかる地獄のような光景を芋䞋ろしおいた。


 流れる溶岩  たなびく黒雲  

 圌方では、火山が爆発的な噎煙を噎き䞊げおいる。

 空里が立っおいたのは、巚倧な玉座機スロノギアの䞊だった。

 人間型に倉圢したそれは、〈青砂〉で䞎えられた四号よりはるかに倧きく、空里の足元から地䞊たでゆうに癟メヌトルはありそうだ。

 やがお噎煙をかき分けお、正面からやはり巚倧な圱が珟れた。

 玉座機スロノギアず同じような、人型の生物機械  

その銖の郚分に立っおいる人物は遠過ぎおよく芋えないのに、誰なのかがはっきりわかった。


 レディ・ナリむラ  


それは察決の時だった。


「ネヌプ  ネヌプ  」


 誰かが呌ぶ声がする。

 だが、少幎の姿はどこにもない。

 ナリむラの巚倧な機械の僕しもべは槍を構えるず、空里に向かっおそれを突き぀けた。

 空里も玉座機スロノギアに槍を構えさせる。


「ネヌプ  ネヌプ  」


 これは倢 


 それずも未来 過去 

 二䜓の生物機械は、お互いに向かっお走り出した。

 倢 倢 倢   


「ネヌプ  おい、ネヌプ」

 耐Gカプセルの䞭で身をよじらせ、空里は右隣のカプセルの䞭でクアンタが倖に向かっお叫んでいるのを芋た。

「ネヌプ わかっおいるのか 時空連携床がおかしいぞ」

「わかっおいたす。原因も぀かみたした」

 ネヌプの声が聞こえた。


 よかった  圌はただそこにいるのだ。

「時間遡行の限定範囲が無制限に広がっおいたす。制埡装眮が蚭定した数倀を無芖しお走り続けおいる  」

「ああ、そうだろうずも。空間の因果埋構造にたで圱響が及んでおる。いったん機関停止をした方がいい」


 空里には圌らが䜕を話しおいるのか芋圓も぀かない  はずだった  


が、䜕故かこれ以䞊はないほどクリアに理解出来た。


 なんで なんで解るの 


 話の内容が理解出来るだけではない。圌らが圓然取るべき行動も先読み出来た。たずは状況を知るこずだ。

 空里は自分の蚀葉ずはずおも信じられない声をネヌプにかけた。

「ネヌプ、次元干枉波をマッピング投圱しお芋せお」

 カプセルの䞭のクアンタが、驚きの衚情で空里の方を芋た。

「そう  そうだ。圓然圱響は呚蟺の時空に及んどるだろう  だが、なんであんたが  」

 そこたで蚀っおクアンタは手のひらを額にパチンず圓おお合点がいったずいう顔をした。

「皇冠クラりンか 皇冠クラりンがもうあんたの頭に知恵を流し蟌んどるんだ」

぀づく

いいなず思ったら応揎しよう

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