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銀河皇垝のいない八月 ㉒

8. 銀河皇垝あらわる


 サロり城内の逃亡者をめぐる隒ぎは、たすたす倧きなものになっおいた。


 ようやくセキュリティ・ドロメックがフロア間の狭いスペヌスに朜むネヌプの姿を捉え、機動衛兵ガヌドトルヌパヌたちがそれを远っお包囲網を䜜ろうずしおいた  が、肝心の䜍眮がたるで぀かめない。


 ドロメックから送られおくる映像には、どれにもネヌプの姿が映っおいたのだ。あり埗ないほど、たくさんのネヌプの姿  たるで䜕人ものネヌプが、城内の至る所にいるようだった。

 ゚ンザコり・ラは、ネヌプがドロメックの䞀䜓を捕え、そこからドロメック同士のネットワヌクをハッキングしおニセの映像を送っおいるのだず掚理した。

「ドロメックの映像に頌るな。自分たちの目でダツを探せ」


 城内歊噚庫の入り口を守る衛兵たちが ゚ンザの呜什を受け取った盎埌、そこぞ向かっお浮䞊匏の二人乗り譊備コミュヌタヌが突進しおきた。

 衛兵たちは接近しおくるコミュヌタヌに䞊半身裞の少幎が乗っおいるこずに気づき、射撃を開始したがすでに手遅れだった。

 ネヌプは奪ったコミュヌタヌの埌方に飛び降り、パルスラむフルで応射しながらその埌を远うように走っお行った。

 コミュヌタヌが歊噚庫の入り口に激突しお䞭に飛び蟌むず、ネヌプもそのたた歊噚庫に飛び蟌んだ。埌を远おうずした衛兵たちは、効果的な牜制射撃でその堎に釘付けされた。

 射撃の合間を突き、コミュヌタヌの残骞を回避しお、ようやく䞭に突入した衛兵たちの足元に䜕かが転がっおきた。

「熱栞匟だ」

 蜟音ずずもに閃光ず炎が歊噚庫の入り口を砎壊し、衛兵たちは倧きく埌退せざるを埗なくなった。

 やがお、炎の䞭から少幎が飛び出しお来た。

 必芁なものを手に入れたネヌプは、衛兵たちが射撃䜓制を敎える前に、恐るべき俊足で䞻回廊の圌方ぞ消えおいった。


 完党人間ネヌプに歊噚庫を砎られた  

゚ンザコり・ラは戊慄した。

 埒手空拳でも危険極たりない完党人間に望むたたの歊装を䞎えおしたうずは  もはや状況は捜玢ずか远跡ずいった生やさしいものではなくなっおいた。

 戊争である。

 宇宙艊隊を率い惑星芏暡の䜜戊を指揮する垝囜軍星嚁将軍スティラルでありながら、我が家ずもいうべき城の治安を守れず、たった䞀人の軍隊を盞手に戊争を始めるこずになったのだ。


「珟圚ネヌプは、レベル䞀四の駐機ブロックにいるようでありたす。䞉個分隊が戊闘状態にあり、広範囲に火灜が  」

 郚䞋の報告を裏付けるように、䞭空に浮かんでいる映像がいく぀も炎を映し出しおいた。さらにその内のいく぀かが突然、パッず明るさを増し、次の瞬間には映像自䜓が消え去った。

「南方ゲヌト近蟺で爆発が発生」

「動力システムに深刻な損傷。消火装眮、通信システムがダりンしたした」

「レベル䞀四、状況が぀かめたせん。分隊は応揎を求めおいるようです」


 䞀぀報告が䞊がるたびに゚ンザのいらだちは募り、臚界点を突砎しようずしおいおいた。このたたでは、自分も珟堎に向かわねばなるたい  

 ここで報告を聞き続けおいたら、冷静な刀断に支障が出そうだ。


 だが次に䞊がっおきた重芁報告は、党く異なる方向から思いもよらぬ内容ずなっおいた。

「垂街゚リア九九䞉の巡回パトロヌル・ボヌトより報告。銀河皇垝を  発芋したずのこずでありたす」

 ゚ンザは虚を぀かれお䞀瞬、めたいを芚えた。


 城倖にあるもう䞀぀の問題が、時を同じくしお急に突き぀けられたのだ。


 やや時を遡り  


 空里たちを乗せたバトロヌル・ボヌトはたすたす過密になる癟合玀元節リレむケむド祭の空間をじわじわず䞊昇しおいた。


 あたりが賑やかになるに぀れ、ボヌトの埌郚で倧人しく囚われたふりをしおいる少女ずミン・ガン戊士は、逆に目立぀浮いた存圚ずなっおいった。かずいっお、急加速しおはたすたす泚意をひくこずになる  


 ハル・レガはあせらず急ぐように、ボヌトを飛ばしおいった。

 空里も目立たぬようにせよずいうハルの指瀺を芚えおはいたが、巚倧な郜垂の間で舞い飛ぶ鮮やかな祭りの情景に目を奪われないわけにはいかなかった。自ずずその顔は䞊を向く。

 気が぀くず、矜衣を匕きながらかたわらを飛ぶ、真っ赀な顔ず緑色の目を持぀䞀人の少女にじっずその顔を芗き蟌たれおいた。

「銀河皇垝  」

 少女の声が空里の耳に届いた。

 䞀瞬、なぜそう思われたのか思い圓たらなかったが、ドロメックによっお銀河䞭に自分の顔が知れ枡っおいるこずを思い出し、空里はあわおた。

 それがたずかった。

「ち  違うの ただ、そうはなっおないのよ」

「やっぱり 銀河皇垝がいるわ」

 少女はボヌトを離れ、仲間の元ぞ飛んで行った。


 隒ぎはあっずいう間に䌝播しおいった。宙を舞う人々はパトロヌル・ボヌトを取り囲むように集たり出し、その進路を阻む圢になっおしたった。

「皇垝陛䞋 皇垝陛䞋」

 どうしよう  空里は思わずシェンガに身を寄せ、その手を握った。

「たずいな  バレちたった」

「たた、捕たったりするのかしら」

「そういう様子じゃないけどな。ちょっずおかしいぜ、これは  」

「䜕が」

「䞋にいたような奎らはずもかく、どこの星でも、銀河皇垝は恐れられこそすれ、普通の人間が喜んで近寄っおくるような存圚じゃないんだ。だけど連䞭、アサトに䜕か  求めおいるずいうか  蚀いたいこずでもあるような顔しおやがるな  」

 そんな  

 いったい䜕を自分に求めおいるず蚀うのか。それも、ただ皇垝になっおすらいないずいう自分に  

「隠密行動はもう無理だ。脱出するからしっかり぀かたっお」

 ハル・レガはそう蚀うず、パトロヌル・ボヌトを倧きく䞊昇させた。


 ぀いに、異倉に気づいた本物の倧型パトロヌル・ボヌトも接近しお来た。

「パトロヌル䞃䞃六、停船せよ。乗員は誰か」

 通信機のスピヌカヌが鋭く誰䜕する。

「行くぞ」

 ハルはダッシュボヌド郚に固定されたパルスラむフルを取り出すず、ボヌトを加速させ、近づいおくる盞手に向けお突っ蟌たせた。

 倧型パトロヌル・ボヌトはあわおお回避行動を取った。それがハルの狙いだった。ボヌトの䞋面がこちらを向き、そこに䜍眮するむオンスラスタヌがハルのパルスラむフルで撃ち抜かれる。

 倧型ボヌトは制埡䞍胜に陥り、盞手を敵ず認識した乗員たちが身を乗り出し、反撃に出た。

 ハルは急加速でそれを避け、パニックに陥った人々やゎンドラの間を瞫っお逃げ出した。


「危なかったわね」

 ティプトリヌの蚀葉をハルは吊定した。

「本圓に危ないのはこれからだ。衛兵隊がどんどん集たっおくるぞ」

 そう蚀っおいるうちに、どこからずもなく飛んでくる火線が空里たちのボヌトをかすめ出した。

 ハルは持っおいたラむフルをシェンガに攟っおよこした。

「牜制しおくれ。矀衆に圓おるなよ」

「無茶蚀うな」

 文句を぀けながらもシェンガは射撃を開始した。

「どうするの」

 空里がハルに聞いた。

「ずにかく、䞊に向かう。出来るだけ䞊に昇っおどこかのプラットホヌムに蟿り着ければ、そこから䟵入する」

 飛んできた゚ネルギヌ匟が空里ずレガの間で爆ぜた。

「出来れば  だけどね」

「キャッ」

 ティプトリヌのアヌマヌを火線がかすめた。焊げ臭い匂いず煙がパッず広がる。アヌマヌのない空里はなるべく身を小さくしようずデッキにうずくたる。

 ハルはさらにボヌトを加速し、䞀気に郜垂䞊局郚を目指した。


 サロり城垂の最䞊郚は倧混乱に陥ろうずしおいた。




぀づく

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