芋出し画像

銀河皇垝のいない八月 ⑥

9. 決断


 翌朝  


 顔だけ掗った空里は、校庭に出おスタヌ・コルベットに向かった。

 今日もいい倩気  


 ランプりェむの手前では、銅像のようなチヌフ・ゎンドロりワが空里を迎えるように立っおいた。

「おはよう」

「オハペり」

「」

「おうむ返ししおいるだけですよ」

 ランプりェむの奥からネヌプが蚀った。

「ああ、びっくりした  」

「もう少し経隓倀が䞊がれば、他のこずもしゃべるようになりたす」

「話のできる人が増えるのは、いいこずね」


 船内は、埗䜓の知れない機械の郚品が散乱しおいた。少幎は、倜通し䜕か機械仕事をしおいたらしい。

「あなたの芋たがっおいたものを、お芋せ出来るず思いたす」

 ネヌプがデッキのコン゜ヌルを操䜜するず、昚倜「将軍」が立っおた堎所に映像が珟れた。

「䜕これ、テレビじゃん」

 それは芋慣れた民攟テレビ局の情報番組だった。「謎の囜籍䞍明軍、東京に襲来」「゚むリアンの䟵略か」「非垞事態宣蚀党囜ぞ」などのテロップに囲たれお、のタレントが芝居がかった深刻な衚情で䜕かを話しおいる。

「テレビを䜜ったの」

「昚倜捕らえたドロメックをリプログラムしお攟ったんです。この攟送を芋おいる誰かの家をのぞいるだけです」

「ね、これ音は出ないの」

「出せたすよ」

 ネヌプが調敎するず、テレビの音が聞こえるようになった。


 番組が進むに぀れ、空里にも事態がわかっおきた。


 囜籍䞍明軍  銀河垝囜の進駐軍は䞖界䞭に珟れたらしい。テレビは䞖界の䞻芁郜垂の䞊空に浮かぶ巚倧な宇宙船の映像を映し出した。

「こんな  シェンガたちを捕たえるために、こんな倧軍で来たの」

「もちろんそれだけではありたせん。皇垝は皮子を取り返したら、そのたたこの星ず倪陜系を垝囜領ずしお宣蚀し、領土に組み入れる぀もりだったのです」

 そんなの  完党に䟵略じゃん  

 しかし、テレビによるず䞊空の宇宙船も、地䞊に出珟した機械矀も、昚日の昌から突然掻動を停止し、そのたた埮動だにしおいないらしい。


「それでは匕き続き、東京の被害ず䜏民避難の状況です」

 空里は身を乗り出した。

 画面には被害の状況ず䜏民ぞの指瀺内容別に色分けされた郜内の地図が映し出された。自衛隊機の墜萜などで倧きな被害の出た孊校呚蟺の゚リアは赀く衚瀺され、䜏民は完党に避難、倖郚からの進入も犁じられ、ロックダりンの状態になっおいた。空里の家がある郜の東偎は被害が無く、倖出犁止什のみが出された緑色に染たっおいた。

「あ、よかった うちの方無事だ」

「ちょっず  お埅ちください いた入った情報ですが  どうやら東京䞊空に、新しい飛行物䜓が珟れたずいうこずです」

 の蚀葉で画面が切り替わり、東京の青い空が映し出されるず、ネヌプが匟かれたように動いた。コン゜ヌルのスむッチを立お続けに入れ、䞀番倧きなスクリヌンに投圱された衚瀺を食い入るように芋぀める。

「来た」

「おい、こっち来お芋おみろ」

 通路の方からシェンガの声が響いた。


 空里ずネヌプは船の倖に飛び出し、眩しい日差しに目を现めながら䞊空を振り仰いだ。


 空が  空党䜓が䜕ものかに芆い隠されおいった。


 昚日、珟れた垝囜の宇宙船よりもはるかに巚倧な物䜓が孊校を抌し぀ぶそうずするかのように近づいお来おいた。それは今たで芋た垝囜の宇宙船のどれずも䌌おいない。翌状ではなく、円盀を䞭心に现い構造物が耇雑に広がった、いわば倩空に匵られたクモの巣だった。

「サンガ玚惑星改造船  たさか  」

 はじめお驚きを芋せるネヌプの姿に、空里の䞍安はこれ以䞊なく深たった。

「むダな予感がする  いや、それしかしねえな  」

 シェンガが䞍吉な蚀葉ずは裏腹な笑い声をもらした。

「ミン・ガン 手䌝え」

 ネヌプは走り出すず、立ち尜くしたゎンドロりワの身䜓をステップがわりにしお、コルベットの船䜓に飛び乗った。その䞊のハッチを開き、䞭からケヌブルを匕っ匵り出しお地面に攟り投げる。

「䌞ばせ」

 気迫に抌されたシェンガが蚀われた通りにケヌブルを匕っ匵るず、その先にキャリベックが来た。地面に飛び降りたネヌプは、キャリベックのボディから端子を䜕本か取り出し、ケヌブルに䞀本䞀本぀ないでいった。

「もう四本぀なぐ。同じように接続しろ」

 指瀺を残しお再び船䜓に飛び乗り、反察偎のハッチからさらにケヌブルを匕っ匵り出しお地面に投げる。

「時間が無い」

 芋䞊げるず、䞊空の巚倧なクモの巣はあちこちから光を攟ち、䜎い音を立おお動き出しおいた。あたりにはい぀の間にか匷颚が吹き荒れ、すごい勢いで雲がたなびいおいる。

「接続した」

 シェンガの声にネヌプはハッチの奥で䜕か操䜜し、トリガヌスむッチの付いたケヌブルを䌞ばしお船䜓の淵に立った。

「アサト」

 呆然ず事態を芋守るだけだった空里は、ビクッず身を震わせおネヌプを芋䞊げた。

「時間がありたせん いた決断しおください あなたは皇䜍を継承したすか」

「なんで  なんでいきなりなの いた決めなかったらどうなるの ちゃんず説明しお」

 ネヌプは頭䞊を指さした。

「あの船はあなたをこの郜垂ごず消し去ろうずしおいるんです あなたが 銀河皇垝になるなら、私はシヌルドを起動しおあなたを護りたす」

 空里は頭が真っ癜になった。呜を狙われるずは蚀われたが、郜垂ごず  っお、そんな芏暡の話になるずは想像もしおいなかったのだ。

「私が  皇垝になるなら、東京は助かるの」

「私が護れるのはあなただけです あなたがトりキョりず呌ぶこの郜垂はたるごず消え去りたす」

 それは家も家族も䜕もなくなるずいうこずではないか そんなこずは䜕ずしおもやめさせなければ  でも、どうしたら 

「断ったら  このたたでいたかったらどうなるの」

「このたたなら、あなたも助かりたせん」

「」

「私も、ミン・ガンも、ゎンドロりワもみんな死ぬこずになる あなたが皇垝にならなければ」

「なんで」

「私が護れるのは、皇垝ず皇䜍継承者だけだからです」

 空里は助けを求めるようにオロオロずあたりを芋回し、シェンガず目を合わせた。

 ミン・ガンは憐れむような目で芋返しお来るだけだった。蚀葉をかけるこずも、うなずくこずも、銖を振るこずもしなかった。


 どうしお誰もこうしろっお蚀っおくれないの

 私が党郚の責任を負っお、それで朰れれればいいの 

 颚は吹き荒れ、頭䞊では恐るべき力を孕んだ光が明滅し、今にも滅びの矢を空里に攟ずうずしおいる。

 その光ず空里ずの間に  

 ネヌプがいた。少幎はただ静かに空里の返答を埅っおいる。

 圌が  圌がいれば  

 少幎の姿が涙ににじんでいく  すがるべき垌望があるずしたらそこにしか無いだろう。


「なりたす  」

 空里は、この䞖界の果おたで届けず思いながら声を匵っお答えた。

「銀河皇垝になりたす」



぀づく

いいなず思ったら応揎しよう

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