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Management Code

    これは、私が新任支店長として着任した際に、共に組織を率いることになる6名の営業所長へ提示した私の「行動指針」を記したものです。


    「Management Code vol.1」
    〜「覚悟」こそが、組織の体温を決める〜

    「Management Code」の第1回は、管理職に求める「覚悟」についてです。

    「管理」ではなく、「孝動の率先」
    マネジメントと聞くと、つい部下の行動を細かく「管理」することをイメージしがちですが、私は少し違うと考えています。
    リーダーにとって最も大切なのは、単に指示を出して動かすことではなく、「孝動の率先」です。
    相手を想い、未来を考え抜き、自らが一番に動き出す。その姿勢こそが、組織の基準となり、進むべき方向を決定づけます。

    「覚悟」が、メンバーの信頼を創る
    管理職という役職には、相応の“覚悟”が不可欠です。
    厳しい言い方かもしれませんが、もし、覚悟を「持ってやれない」「持てないことも言えない」、そのような状態を放置してしまうのであれば、それは組織に対して最も無責任な状態です。

    私は彼らにこう伝えました。
    「覚悟がない場合は、私から上層部へ交代を申し伝える」

    それくらいの緊張感を持って、この組織と向き合ってほしいと考えています。「持てない・言えない」を放置せず、まずは管理職自らが最も実行し、背中で示すこと。役職の重みを理解し、逃げずにやり切る姿勢だけが、メンバーの信頼を繋ぎ止めます。

    「何を言ったか」よりも「どう動いたか」
    口だけにならず行動で示すことが、信頼やエンゲージメントに繋がります。


    「Management Code vol.2」
    〜リーダーは「憧れられる存在」であれ〜

    二つ目のテーマは「管理職は“憧れられる存在”であれ」ということです。
    リーダーの心のうちは、鏡のように組織に映し出されます。
    だからこそ、私は営業所長たちに次のことを求めました。

    • 楽しそうに仕事をすること
    • しんどい雰囲気を出さないこと

    「しんどい」は、組織の思考を止める
    もちろん、責任ある立場に苦労はつきものです。
    しかし、リーダーがいつも「しんどそうな顔」をしていては、メンバーは未来に希望を持てません。
    それどころか、上司の機嫌を伺うことにリソースを割かれ、組織全体の思考が停止してしまいます。

    しんどい時こそ、それを周囲に撒き散らさない。ネガティブな発言を部下にぶつけない。
    愚痴や悩みは、管理職同士で共有し、解決すればいいのです。

    仕事の「醍醐味」を体現する
    部下の前では、常に「仕事の醍醐味」を体現する存在であってほしいと考えています。

    「あの人のようになりたい」と思われるリーダーが一人でも増えることが、組織の活力を生む原動力になります。

    安易な「楽」に逃げるのではなく、困難さえも面白がりながら、本当の「楽しさ」を追求できるチームが素晴らしいと思います。


    「Management Code vol.3」
    〜マネジメントに求める「3つの視点」〜

    新任支店長として提示した行動指針、三つ目のテーマは「管理職に求める“3つの視点”」です。

    組織を動かし、成果を出し続けるために、営業所長には以下の3つの役割を全うしてほしいと伝えました。

    ① リーダーシップ:方向性と基準を示す
    ただ指示を出すのではなく、「ビジョン」や「基準」を明確にし、自らの姿勢でチームを牽引すること。何を良しとするのか。その基準の明確さが、組織の強度を決めます。

    ② 育成:事実に基づくフィードバック
    抽象的な「頑張れ」といった言葉ではなく、事実(Fact)に基づいたフィードバックを送り続けること。

    「何がどのようによかったのか?」「なぜ、だめだったのか?」。

    5W2Hを用いて事実を捉え、部下の成長にコミットすることが、リーダーの責務です。

    ③ 戦略推進:“やるべきこと”の絞り込み
    あれもこれもと手を広げるのではなく、今「何をすべきか」を絞り込み、共にやりきること。

    優先順位の定義、市場や課題などに対する的確なターゲッティングとセグメンテーション。
    戦略とは「何をやらないか」を決めることでもあります。

    これら3点に共通して私が求めるのは、「徹底した具体性」です。
    分析、指示、アドバイス。そのすべてが具体的かつ明確であり、何より「ブレない」こと。

    リーダーの言葉が具体的であればあるほど、メンバーの「腹落ち」は深まり、組織は迷いなく動くことができるようになります。


    「Management Code vol.4」
    〜管理職の時間は「最も高価な資源」である〜

    新任支店長として提示した行動指針、四つ目のテーマは「管理職の時間は“最も高価な資源”である」ということです。

    時間は、誰にとっても平等に有限です。
    その中でも、管理職がその時間を「何に投下するか」は、チームや組織全体に対して極めて大きな影響力を持ちます。

    だからこそ、営業所長たちには自らの、そしてメンバーの時間を「コスト」としてシビアに捉え、最も価値の高い「投資」となるよう取り組んでほしいと伝えました。

    会議を「手段」として運用する
    会議は目的を達成するための手段であり、開催すること自体が目的になってはいけません。
    その場は何を決めるため、何を合意するためのものか。目的が曖昧な「定例」を排し、成果に直結する場として設計すること。
    時間を浪費せず、密度を上げること。

    同行に「意義」を持たせる
    単なる顔出しや儀礼的な同行は、管理職の資源を無駄にしているのと同じです。
    同行する際は、必ず「支援・育成・戦略推進」のすべてにおいて役割を持ち、成果につなげる活動に自らを投資すること。
    管理職がその場に居ることで、どのような付加価値を生むのかを自らに問い、成果に繋がる機会として機能させること。

    管理職の時間コストは、組織の中で最も高い。その自覚を持つことが出発点です。
    「なんとなく」の活動を排除し、一つひとつの行動に明確な価値を見出す。
    それが組織の生産性を高め、結果としてメンバーのワークライフバランスを充実させることにも繋がります。


    「Management Code vol.5」
    〜評価は目的ではなく「育成の入口」である〜

    新任支店長として提示した行動指針、五つ目のテーマは「評価は目的ではなく“育成の入口”である」ということです。

    単に「評価をつける」ことだけが、管理職の仕事ではありません。
    評価とは、部下の現状を正しく把握し、次の成長へ繋げるための「スタート地点」に過ぎないと営業所長たちに伝えました。

    具体的に求めたのは、次の3点です。

    「できる/できない」という抽象的な判断で終わらせない
    マネジメントの過程で、現状が「できるのか、できないのか」を感じることは誰にでもあります。
    しかし、そこで思考を止めたり、できないことを嘆いたりしてはいけません。
    大切なのは、そこから一歩踏込んで個々の特性と真摯に向き合い、一人ひとりに必要なアドバイスを行うことです。
    この育成を後回しにすることは、管理職としての「職務放棄」と同じであると、真剣に伝えました。

    チーム力は「底上げ」ではなく「引き上げ」
    下から全体を底上げするのではなく、まずは「誰に、どのようなことを求め、何を託すのか」という明確な意志を持つこと。
    そして、チームの牽引役となるメンバーの活動に他のメンバーが追随することで、チーム力を高めていく。
    いわば「上から引っ張り上げる」イメージです。今いるメンバーで成果に繋げていくことは、管理職の大切な務めです。

    「個の育成」と「チーム力の育成」の両立
    個人の特性を活かしたアドバイスによる成長と、チームとしての機能を最大化させるマネジメント。
    この両輪により、チーム力が引き上がれば、成果は自ずとついてくるものです。

    私たちが正しく人を、そして組織を育てられたかどうかの証は、単なる数字だけではありません。

    自らのチームから、次の支店長や営業所長をどれだけ輩出できたか。

    それこそが「育成の証」です。


    「Management Code vol.6」
    〜成果を生み出す「プロセス」を先導する〜

    新任支店長として提示した行動指針、六つ目のテーマは「成果を生み出す“プロセス”を先導する」ということです。

    成果は、偶然生まれるものではありません。
    目標に向かってプロセスを進めた先にしか存在しない、つまりは、「正しいルートを進んだ先にしかない」と営業所長たちに伝えました。

    偶然生まれた成果は、いわば「ラッキーパンチ」であり、長続きはしません。持続的に成果を上げ続けるためには、確実な成果に繋がるルートを自分たちで描き、実行し切ることが不可欠です。

    そのために、管理職には次の徹底を求めています。

    「どこ」を攻めるか。ターゲッティングの精度を極める
    「なんとなく」の活動を排除し、事実に基づいた現状把握から真の課題を特定すること。
    どの施設、どの医師、どのセグメントを狙い、自社のポジショニングをどこに置くのか。
    このターゲッティングがズレると、その後の活動はすべて「空回り」に終わります。
    どこにリソースを集中させるかの戦略を、迷いなく明確に描くことが何より重要です。

    「5W2H」による具体的でシビアな戦略立案
    戦略は、何を・いつまでに・どのように行うのかを設定してこそ、実行可能となります。
    具体性と期日があってこそ「業務」であり、期日がなければそれは「趣味」と同じです。
    時には想定通り進まないこともありますが、安易に期日を延ばさない強い意志を持つこと。
    時間はコストであり、スピードこそが最大の武器になります。

    言い訳や愚痴ではなく「知恵」を出す
    課題に直面したとき、できない理由を探すのは簡単です。
    しかし、私たちがエネルギーを割くべきはそこではありません。
    どうすれば突破できるのか、今ある資源で何ができるのか。
    言い訳を「知恵」に変換する文化を、リーダー自らが作っていくこと。

    緻密な戦略と、それをやり切る気概。
    この二つが揃って初めて、組織は着実に成果を出し続けることができます。


    「Management Code vol.7」
    〜チーム力は「底上げ」ではなく「引き上げ」である〜

    新任支店長として提示した行動指針、七つ目のテーマは「チーム力は『底上げ』ではなく『引き上げ』である」ということです。

    チーム力を高めようとするとき、全員を一律に「底上げ」しようとして、かえって組織が停滞してしまうことがあります。
    そうではなく、リーダーの明確な意志によって組織を「引き上げる」ことの重要性を伝えました。

    具体的に求めたのは、次の考え方です。

    リーダーの「明確な意志」が起点
    チーム力は、ただ待っていれば上がるものではありません。
    まず管理職自身が「誰に、どのようなことを求め、何を託すのか」という役割を明確にすること。
    誰をチームの牽引役(リーダー)に据えるのか、その意志を持つことがすべての始まりです。

    「上から引き上げる」メカニズム
    まずは牽引役となるメンバーが先頭を走り、成果を出す。
    それに他のメンバーが追随することで、チーム全体の力がスライドするように高まっていく。
    いわば「上から引き上げる」ことで、組織全体を伸ばしていくイメージです。

    今いるメンバーで成果を出し切る
    「もっといい人材がいれば」と嘆くのではなく、今いるメンバーの力をどう組み合わせ、どう引き出すか。その組み合わせの最適解を導き出し、成果に繋げていくことこそが、管理職の本来の務めです。

    一律のアドバイスではなく、戦略的な「引き上げ」を行う。
    それが、結果としてメンバー一人ひとりの成長を最も加速させる方法だと考えています。


    「Management Code vol.8」
    〜外勤(現場)の価値を再定義する〜

    これまで8回にわたり、新任支店長として私が掲げた行動指針を一つずつ紐解いてきました。今回が、各論としての最後となります。

    • 管理職に求める姿勢と覚悟
    • 管理職としての影響力と振る舞い
    • 3つの視点(リーダーシップ・育成・戦略推進)
    • 組織マネジメントの基準
    • 明日からの行動(外勤:意味と目的)

    締めくくりとなる8つ目のテーマは、「外勤は意味と目的がなければ価値ゼロである」ということです。

    管理職の時間は、組織において最も貴重な資源の一つです。それをどう使うかは、メンバーの成長や組織の成果に対する「投資」であるべきだと考えています。

    対面であれオンラインであれ、時間をかけて同席をする。
    そのコストに見合うだけの「目的」と「意味」が明確になければ、それは仕事をしたつもりになっているだけの「自己満足」に過ぎないと、営業所長たちに伝えました。

    現場の活動を真に価値あるものにするために、次の徹底を求めています。

    • 実施可否の判断基準は「目的」と「意味」
    外勤の必要性は、単なる慣習ではなく「何のために(目的)」「なぜ今、自分が行くのか(意味)」という問いから判断すること。
    この基準を、まずは管理職自らが率先して部下に示すことが不可欠です。

    • 同行訪問は「事前打合せ」と「フィードバック」がセット
    同行して「横にいただけ」で終わらせてはいけません。
    訪問前に狙いを擦り合わせる「事前打合せ」と、終了直後の「フィードバック」を必ずセットで行うこと。
    この前後のプロセスがあって初めて、同行は、目的と目標達成に向けた「戦略推進と育成の場」になります。

    • 抽象的な評価を捨て、具体性で語る
    「今日はよかった」「次は頑張ろう」といった抽象的な言葉は禁止しました。
    どの場面の、どの言動が、どのように影響したのか。
    再現性と改善は「具体性」からしか生まれません。
    そして、事実に基づいた具体的なアドバイスこそが、部下の成長に繋がります。

    外勤を「単調なルーティン」から「戦略的な投資」へ。

    リーダーがその一回の訪問にどれほどの意味を込められるかが、目標達成におけるスピードや質、つまりは、組織の強さを左右します。

    目的を明確にした「意義のある孝動」を率先して示していくことが求められます。


    「Management Code vol.9」
    〜完結編:組織に命を吹き込む「自覚」と「覚悟」〜

    全8回にわたり、私が掲げるマネジメントの指針を紐解いてきました。

    「Management Code」は、ただ掲げるだけでは意味をなしません。目的を達成するために、それを実行できるかどうかは、リーダー自身の「自覚」と「覚悟」に他ならないと私は考えています。

    私が自身の経験から整理した概念が、組織のあり方に悩む方々にとって、何らかの示唆となれば幸いです。

    #創作大賞2026 #ビジネス部門

     
     

    Sashy

     
     
    製薬業界25年(MR、プラダクトマーケ部課長、営業所長、支店長 歴任)。戦略とマーケの両面から業績向上・組織育成を牽引した経験を凝縮した、11の行動憲章「workers code」を発信中。現場の悩みや戦略構築の個別相談は、プロフィールの「お問い合わせ」からお気軽に。

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