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理解のある彼くんの作り方、教えます。「読む深夜ラジオ」#7

    あなたには、「理解のある彼くん」という存在が身近にいますか?

    こんばんは、ささみです。
    今夜も来てくれてありがとうございます。
    「誰でも出会える理解のある彼くんはどこにいるのか」、noteでエッセイを始めてからずっと話したかったテーマでした。

    理解のある彼くん、インターネットで一度は見かけたことあるワードだと思います。一応元ネタを確認しましょう。

    「理解のある彼くん」に特定の単一の元ネタ(特定の漫画家や作品)はありません。SNS(主にX/Twitter)で拡散された、精神疾患や発達障害を抱える女性(または彼女たち)を描いた多数の「闘病・エッセイ漫画」に登場する、献身的で理想化された恋人像が発祥です。
    元ネタ・誕生の背景SNSのエッセイ漫画: うつ病、双極性障害、ADHDといった「生きづらさ」を持つ女性の日常を描いたWEB漫画が元になっています。理想のパートナー像: 彼女の突飛な言動やパニック、希死念慮などをすべて受け入れ、生活をサポートする「聖人のような彼氏」として描かれます。

    (出典:障害者.com https://shohgaisha.com/column/grown_up_detail?id=2838)

    これ、一周回って都市伝説だと思っていたのですが、今回の記事のために躁鬱や発達障害等のタグでnoteを漁ってみたところ、本当にいる方の体験談やエッセイがいっぱい出てきました。

    シンプルにねぇ、うらやましかったんですよ。

    だって逆パターンの「理解のある彼女さん」の実例、まったく見つからないもん。こっちは本当に都市伝説でした。

    鬱病や双極性障害で苦しんでいる、頭も回らない、身体も動かないから体重が急激に増える/減る、お金も稼げない男性なんて誰も理解して寄り添おうなんてしません。当たり前です。
    暗い部屋で毎日決まった時間に薬を服用する以外なんのイベントも発生しない 無 が永遠と続く日々の中で、救いの手を差し伸べてくれる聖人君子なんて現れるわけがないのです。これが現実です。

    わたしが倒れて人生が止まってしまった後、Twitterで理解のある彼くんという概念を知った時に、
    「こんな再現性のない存在で救われるかが左右されるなんてたまるか!」と怒りを覚えました。

    わたしにだってネットでの名前じゃない本名を知る数少ない友人はいましたが、大切な友人だからこそこんな精神疾患ネタで引きずり回すわけにはいきません。こんな話題重いだけで何にも面白くないので。これはわたしの数少ない自慢ですが、高校大学ともに名前ばかり一流なので友人みーんなハイパーエリートです。それぞれの業界の最前線を突っ走っています。パワーカップルばっかりで結婚もしてて子供もいます。
    「いつか治って地獄から這い上がったらまた会おう」と一方的に押し付けて、それ以降何年もLINEは見ていません。こんな身勝手な自分なんて置いてって先のステージへ進むのだ。
    それが、落ちこぼれの学生生活を支えてくれたかつての仲間たちへわたしから送る最後にして最大の愛だから。
    みんな元気にしているだろうか。

    家族も私の性格なんて百も承知なので、「いま接しすぎたら疲弊してしまうだろう」と月1回生存確認のために顔を見せに来る以外は特に干渉してきません。自分も接し方としてはこれが非常にありがたかったので助かってました。

    自分勝手に孤立になったにも関わらず、治療のためにいたずらに時間ばかりが過ぎていく中で無と孤独はあまりにも毒でした。あまりにも何もないまま日々が過ぎていくので、寛解へ向かっているのかいないのかすらわからなくなっていました。

    そら理解のある彼くんのような聖人君子の存在がいたら嬉しいに違いないけど、もし目の前に現れてもきっと申し訳なさが先行してしまうだろう。定期的に、且つ半強制的に屋外へ引っ張り出してくれて雑談や近況報告を聞き流してくれて社会へのリハビリができるような場はあるのだろうか。

    一人で治療に向けて戦うのは主治医からもやめるようにと常々言われていました。
    精神治療の現場ではよく「共助」というワードが出てきます。災害対策でもよく聞きますね。
    一時期、復職のためのスクールに通っていた際に「同じ境遇の仲間へ悩みや頑張りを発表・共有しましょう」という授業がありました。
    これ、自分目線あんまりしっくりきませんでした。
    境遇も頑張りも精神の不調具合もあまりにも人それぞれすぎます。
    なにより話してる登場人物全員精神的に余裕がなくなっている患者たちです。共感する余裕も体力もない。プライバシーの都合上うんうんと黙って聞く以上の深堀もできないのでフィードバックがない。黙って聞いてくれて嬉しい!となるようにと配慮されているのは理解できますが、これは並んでるお人形に話しかけてるのと何が違うのかな…と当時の自分はずっと疑問のまま結局スクールでの成果は得られませんでした。

    ちなみに、主治医やカウンセラーというのはこの世で最も「理解のある彼くん」から遠い存在です。
    精神科医は処方が主な仕事であり、カウンセラーは心理検査を通じて、問題解決や自己成長をサポートするのが仕事。一見彼くん像に近いように見えますが、あくまで治療としてなのでそこから感情が見えないし見せることは絶対ありません。医療従事者にとって、私はとある患者Aでしかないのです。実際に正面で向かい合うとわかりますが、本当に見えてくる気がするくらいかなり厚めの壁を感じます。自分も患者モードでいなきゃ!と変なスイッチが入ってしまい、何年も通った今でもうまく話せている気がしません。
    そして何よりも頻繁に会うものではありません。しかもカウンセラーの費用ありえん高い。予約も全然取れない。次はまた違う人がカウンセリング担当になってたりもする。
    医療従事者は神様でも友達でも恋人でもないのです。
    もちろん上記の医療従事者は我々患者にとって大切な存在なのでそれを患者がないがしろにしては絶対いけません。ただ今回の「理解のある彼くん像」には当てはまらないなと。

    下世話な話になってしまいますが、風俗に頼ることも考えました。
    邪魔の入らない一対一の空間で、まやかしの優しさでいいからわたしという個を認めてほしいと。
    にしてもコスパ悪すぎる。高い。結局性欲に屈するダサい自分が容易に思い浮かぶし、それで依存なんてしまったら身を滅ぼしかねない。金はないのに時間ばかりはあるから無限に通いそうでそしたらもう終わりだ。
    依存性の低さも大事。

    ここまで読んでて、「そろそろ答えなんなのよ!」ってなりましたか?
    画面に顔、近づきすぎてませんか。いまの姿勢は歪んでませんか。
    現代人、首肩周りが凝ってない人なんていないと思います。特にnoteを読んでいるようなインターネットの住人なら間違いないでしょう。

    精神疾患と首肩の凝りには密接な関わりがあります。
    医学的な話を掘り下げるとそれだけで無限に書けてしまうので割愛しますが、職場での過度なプレッシャーや緊張だったりPCモニターや机に張り付いてたりで首や肩、身体全体に負荷がかかりすぎることで自律神経にも不調をきたすことがあります。わたしもそうでした。

    「誰でも出会える理解のある彼くんはどこにいるのか」、そう答えは整体院にいるおじさん先生でした。以下にそのおじさんの魅力をまとめてみました。

    • 一対一で向き合ってくれる
      施術中は患者に基本的に付きっきりで対応してくれるため、途中で変わることはありません。凝りの原因について共有する以上精神疾患の件はちゃんと伝えるし、施術で必要な情報だからとフラットに受け止めてくれます。

    • 施術時間が10分前後なのでちょうどいい
      施術中凝りのポイントを探したり強弱の確認したりのやり取りはもちろんありますが、それ以外は基本一対一でおしゃべりする時間があり、そっちの方が時間が長いです。それでも施術がメインである以上、会話が副次的なものなのでお互い重くならず、双方向コミュニケーションが取れます。会話がメインだと疲れちゃうよね。

    • うつ伏せなので顔を見なくていい
      これ本当にわたしにとって神のシステムでした。
      顔がすっぽり埋まるベッド?にうつ伏せになって施術は進みます。おじさんと正面で向かい合わないため"個"を強く意識せずに"概念"として接しやすい。かといってちゃんと理解のある彼くんはそこにいるので虚空に向かって話すような錯覚に陥ることもない。これは深夜ラジオに人格を育ててもらった自分と相性が良すぎる。

    • 週1回というちょうどいいペースで半強制的に通うことになる
      整体あるあるですが、「しばらく通い続けて徐々に身体を治していきましょう」という流れがほとんどだと思います。普通の人はめんどいなぁ…と思うかもしれませんが、こういう外に無理やり連れ出してくれる用事って休養期間中めちゃくちゃありがたい。整体行けたしついでに散歩行こうかなとかもできる。
      整体師は魔法使いではないですし、精神疾患同様人間の身体もそんな簡単に治りません。通い続けることで身体の調子が徐々に良くなるのを実感するから精神疾患と違って治療が進む感覚がわかりやすいし、合わせて精神状態も良くなっていく。理解のある彼くんとの会話を重ねて好感度が徐々に上がっていくのも楽しい。風俗と違って依存したりサービスが終わったら虚無に苛まれることもないし、次の予約を店側がきっちり決めてくれるのもありがたい。

    ちゃんと心療内科に通えてえらい!なんて本来誰も褒めてくれないけど先生だけは直接褒めてくれます。雑談がへたっぴだった私にあれやこれや話題を投げかけてくれます。何もできなかった1週間を過ごした後に店に行っても大丈夫だよと声をかけてくれます。きっとおうちでなんもやれずに退屈だから東洋医学を一緒に学ぼうよとおすすめの入門書を教えてくれます。

    心療内科やカウンセリングと同様に、ここでもわたしは単なる患者Aでしかないのかもしれない。それでも、自分を程よく"個"として受け止めてくれてコミュニケーションをしてくれてそれだけがわたしの救いでした。
    ありがとう、佐藤先生。

    今年になってから理解のある彼くんには会っていません。
    理由は単純で、「整体に通うお金がなくなった」からです。
    傷病手当金と親に頭を下げて頂いている仕送りだけは何年も通い続けることはできませんでした。それでも復調の兆しをつかめたのは間違いなく整体のおかげでした。

    明日、転職エージェントに履歴書を提出してさらに面談があります。
    本当に少しずつではありますが、やっと動き出せてます。

    もし就職先が決まったら、報告するためにまっさきに整体の予約を取りに行こう。先生、まだあの店舗にいるといいな。


    読む深夜ラジオ、今回もありがとうございました。
    来てくれたあなたのためにもうちょい生きてまた書きます。

    それではここで1曲お聞きください。
    宇多田ヒカル / Movin' on without you


    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     

    sasami

     
     
    ささみです ここはエッセイを書く場 20↑/大学院から新卒大手でついに決壊した精神がなかなか寛解しません(躁鬱2型) 誰の役にも立たないけどアウトプットがしたくなりました

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