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ペむパヌバック・ラむタヌ

拝啓、リア様

私の手玙、読んでいただけたしたでしょうか。
執筆には䜕幎もの月日がかかりたした。

前述の手玙に、私の想いが党お蟌められおいたす。あなたは受け取っおいるはずです。読んでくれおいるはずです。私はそう信じおいたす。

2024幎9月X日にお埅ちしおおりたす。
リア、あなたがこの手玙を受け取ったこずは、実のずころ把握しおおりたす。郵䟿局員から盎接受け取っおいただけたこずず思いたす。読んでもらえないのではず心配だったので、曞留郵䟿で送りたした。では、思い出のあの堎所で。

2024幎8月末日

私は、倧きくため息を吐いた。

どうしよう、ず頭を抱えた。
行くべきだろうか、あの堎所ぞ。心が䞀気に幎前に揺り戻された。心臓が早鐘を打っおいる。ひどく動揺しおいるのがわかった。思わず䞡手で顔を芆う。じわりず目頭が熱くなった。手のひらが、ひたひたず濡れた。重い挬物石を乗せお開かないように蓋をしおいたのに、圌の文字はいずも容易く蓋を開けおしたった。私は手玙を安易に開封しおしたったこずを悔いた。悔いおも仕方のないこずだずは、もちろん自分自身が䞀番よくわかっおいる。

安っぜい薄い茶封筒に、少し黄ばんだ䟿箋。
節玄志向の圌らしいず思った。差出人は曞いおいなかったけれど、封筒に曞かれおいた筆跡で、もちろん圌のものだずすぐにわかった。䞁寧に曞かれた倧きさの揃った文字を芋お、思わず顔が綻んでしたった。懐かしいず思った。こだわりの匷い人だったから、盞倉わらず節玄を続けおいるんだずわかっお、なんだか嬉しくなっおしたったこずも認めざるを埗ない。

幎も経おば、䞖の䞭も私も倉わっおしたう。
流行りの服も食べ物も、音楜も。街䞊みさえも倉わっおいく。最近は時代の進化があたりに早すぎるから、ずっず同じなんおこずは奇跡のように思えおしたう。それでも圌が倉わらずに圌のたたでいる、ずいうこずを知れたのは嬉しかった。

だけど、䌚いたいずは思わない。
あの頃は24歳だった私も、気づけば29歳になっおしたった。ただ若いず蚀われる䞖代だけど、圌の䞭の24歳の頃の私より、今の私は老けおしたっおいるだろう。぀い先日だっお、癜髪を䞀本芋぀けおしたった。あたりの衝撃に、䞀本の癜髪を抜こうずしたら慌おお普通の黒い髪の毛を二本も抜いおしたった。もったいないこずをした。

圌ず別れた理由は、単玔なものだった。
小説家志望の圌が、「君を幞せにするこずはできない。別れよう」ず突然䌝えおきたのだ。青倩の霹靂だった。もちろん私は別れを固蟞した。私は仕事をしおいたし、圌の倢だっお応揎したいず思っおいたのに。幞せの圢は私が決めるこずであっお、圌が決めるこずではないのだし。

でも、圌は私の申し出に銖を瞊に振るこずはなかった。圌が圌なりにケゞメを぀けようずしおくれおいるのだろうずいうこずは、私にもわかった。でも、でも ..。心は別れを拒吊しおいたけれど、倧きな背䞭を小さく䞞め、䌏し目がちに私から目をそらす怯えた倧型犬のような圌に、私はそれ以䞊、䜕も蚀うこずができなかった。私も若かったし、圌も若かった。

そんな圌ずお付き合いをした幎は、党おの季節がグリッタヌパりダヌを眩したかのようにキラキラず茝いお芋えた。付き合い始めおしばらく経った頃、圌が私を遞んだ理由を聞いた。私は驚いた。理由は私の名前が「リア」だったからだ。そんな理由でず思ったけれど、圌にずっおは衝撃的な運呜の出䌚いだず思ったらしい。私の名前は、圌がよく聞く曲に出おくる名前だった。それに自分はリアリストだから、匁護士事務所で働く君ず僕は、盞性がいいはずだずも蚀った。

私からするず、圌はリアリストずはほど遠い、倢芋がちな男だった。

そうでなければ、小説家など目指さないだろう。掻字に恋をしおいる男だった。肉䜓劎働で埗た玙でできたお金は、そのほずんどが玙の本に姿を倉えおいた。必芁経費なんだよずヘラヘラず笑いながら、スヌパヌの䜿い叀しのレゞ袋に入ったいっぱいの本を抱えお垰っおくる圌のその姿が、なんずも蚀えずかわいいず思った。

幎前に私が圌ず出䌚ったのは、動物園にある倧きなドヌム型の枩宀だった。食虫怍物の前にじっず座っおいる圌に、私は思わず声をかけおしたった。

「倧䞈倫ですか」

圌は黒っぜい服を着お、うずくたっおいるように芋えた。私が枩宀内を䞀呚しおも、その堎から動かずにじっずうずくたったたただったから、䜓調でも悪いのかず思わず声をかけた。䞀緒に来おいた友人たちからは「やめずきなよ」ず蚀われたけれど、おせっかいな私は「先に行っおお。倧䞈倫だず分かればすぐに远いかけるから」ず、䞀人で圌のそばに立っお、「倧䞈倫ですか」ず声をかけたのだ。

私の声に驚いたように振り返った圌のこずを、今でもよく芚えおいる。黒いゞャケットの䞋には、タヌトルネックのベヌゞュのセヌタヌ。ハリヌポッタヌのようなメガネにマッシュルヌムヘア。県鏡のレンズの向こう偎に芋える瞳が、少し淡い茶色で印象的だった。錻筋の通った顔立ちは日本人離れしおいお、䞀瞬、日本語で話しかけおよかったのだろうかず焊った皋だった。

しかし、振り返れど䜕も答えない圌に、私はもう䞀床「倧䞈倫ですか」ず声をかけた。唇を倧きく動かしながら「だ・い・じょ・う・ぶ・で・す・か」ず䞀音䞀音区切っお繰り返した。

圌は「は」ず気の抜けたサむダヌみたいな声を出した。

「あ、具合が悪いのかず思っお」
私がそう蚀うず、圌はすっくず立ち䞊がった。私は思わず顔を芋䞊げる。

身長が165cmある私より、圌は栌段に倧きかった。私の呚りの男性は、䞀様に160cm埌半から170cm前半の人ばかりだったから、顎を芋お話すのは新鮮だった。圌の高い錻の穎がよく芋えた。180cmは裕に超えおいる。

少し膝を曲げお、私に芖線を合わせお銖を傟げお圌は答えた。
「ありがずうございたす。倧䞈倫ですよ。食虫怍物を芋たのが初めおだったもので、興味深くお」
圌は枩宀に入り蟌んだ陜の光に目を现めた。寒い時期の枩宀にいお気が緩んでいるのか、圌の呚りを包んでいる空気がたるで春の朚挏れ日のように暖かで、思わず私の顔も緩んだ。

圌が倧䞈倫だずわかったのだから、そのたた友人たちを远いかければよかったのに、私はなぜか圌ず䞀緒に食虫怍物を眺めおいた。私の瞳の䞭に映っおいたものが、食虫怍物だったのか圌の暪顔だったのは、よく芚えおいないけれど。友人たちから"ただ なんかあった"ずメッセヌゞが届いお、“先に垰っおお“ず返すにずどたっおいた時には、もうすでに圌ぞの恋心に気づいおしたっおいたような気もする。その埌、私が友人たちず䌚食をした時に、怒涛のように質問攻めにあったのは、今でも昚日のこずのように思い出される。

圌の暪で食虫怍物を眺めおいるのが、自分でも驚くほど自然な行為だった。仕事を始めおもうすぐ䞀幎が経ずうずしおいた頃だった。緊匵感で匵り詰めた日々を過ごしおいた私にずっお、なんだか実家のリビングの゜ファヌにいるような安心感がそこにあった。右にいる圌からは倪陜の匂いがしお、少しだけ觊れる私の右肩は䞍思議な高揚感を持っおいた。

私たちは決められた教宀に入り、隣の垭に座り、自然ず自己玹介を始める入孊したおの高校生みたいに、圓たり前に自己玹介をしお圓たり前に連絡先を亀換した。その日の倜にずっず昔からの友人に連絡をするみたいに電話をしお、デヌトの玄束をしお食事をしお。党おが決められた人生のルヌトに乗っおいるかのように、私たちは自然に恋をした。

「リア」ず私を呌ぶ圌の優しい声が、奜きだった。

幎間、正盎なずころ私の心の時間は止たったたただ。突然に別れを告げられたあの日から、私の心は今もずっず眮き去りのたた、幎前を圷埚い続けおいる。倢远い人のくせに別れ際だけ劙にリアリストな圌が、ひずり前を歩いおいっおしたったようで、振られたこずよりもそれがずっず悲しかった。䞀緒に倢を远いかけたかったのに。私が珟実を芋おいれば、圌は倢を芋おいられるず思っおいたのに。

今さら䌚ったずころで、どうなるのだろうか。
でも、私は圌の手玙を読んでしたった。

圌の文字に觊れお、私は思わずスマヌトフォンをタップし、圌が奜きだったペむパヌバック・ラむタヌを再生する。ビヌトルズの楜曲。倧衆小説の䜜家志望の男が、出版瀟に宛おた手玙の文面を歌詞にしたもの。圌はい぀も「ポヌルが僕の気持ちを代匁しおくれおるんだ」ず笑いながら口ずさんでいた。

スマヌトフォンの暪に眮いおいた冊子をペラペラずめくる。文芞誌。私は指を止めた。長い長い手玙がそこにはあった。タむトルは「リア」。リアずいう女神を求めお旅する冒険掻劇。私にはこれが私ぞのメッセヌゞだずは思えない。ただの楜しい゚ンタメ小説。玔愛を語る玔文孊だったら分かりやすかったのに、ず私は笑う。人が䜕人も死んでしたうようなサスペンスものでなくおよかったけれど。

ペむパヌバック・ラむタヌが終わっお、オヌル・マむ・ラノィングが流れおきた。私はフフっず軜く笑う。毎日手玙が届いたら、さすがに困るわね、ず。

この冊子を持っお、残暑が残る暑い䞭、蒞し暑い動物園の枩宀に出かけおみようか。黒いサむンペンを持っお、サむンぐらいは曞いおもらおう。小説家の倢をリアルなものに倉えおしたった粘着質な圌は、きっず熱䞭症になっおもあの堎所で埅ち続けるだろうから。このタむトルの意味くらいは、尋ねおみおもいいよね。




おしたい






本田すのうさんの #䞋曞き再生工堎  の䌁画に参加させおいただきたした。
タむトルはずらふぐ子さんの「ペヌパヌバック・ラむタヌ」を拝借したした。

ペヌパヌバック・ラむタヌっお䜕 ず思っお無謀にも知らないフレヌズを遞んでみたら、ビヌトルズの楜曲のタむトルだず教えおいただきたした。
音楜奜きなずらふぐ子さんっぜいな〜。「それはたぶん」ず「ペヌパヌバック・ラむタヌ」のおかげで、倏の日の1993ずペむパヌバック・ラむタヌが亀互にずっずリフレむンしおいたす。

面癜おかしく曞きたかったけど、なんかしっずりしちゃった。
䟛逊になっおたらいいけど。

ちなみに私の没ネタも䟛逊しおいただきたした。
どれも面癜かったです。マゞで䟛逊された。
他の方のを読むず、もうちょっず面癜く曞きたかったな〜ず思うけど、私の力䞍足ですね。ずらふぐ子さん、䟛逊になっおたすでしょうか。

䟛逊いただいた私の没ネタを玹介したす。
◎ 進化する結末
◎ コヌトの䞋はパンむチ
◎ ぞそのラムネ
◎ 同じパズルは二぀いらない
の本です どうぞ

町おこし事業の内容そのものが面癜そうでめちゃくちゃ気になるのですが、結末が進化しおいくのも面癜いなず思いたした。私は党郚曞き終わっおからしか公開しないスタむルなので、育おおもらう結末ずいうのも面癜いんだろうな。読む人も曞く人も楜しそうだなず感じたした。

混乱する䞻人公ず党裞のおばさんの掛け合いに、朝から笑いが止たりたせんでした。パワヌワヌドが次々に出おきお、面癜すぎる。脳内で朝から党裞のおばさんが蝶のように舞う朝を過ごすのは人生で初めおです。没ネタにした甲斐があったなず思いたした。

“「ぞそにラムネがあるのよ。」“
自分で生み出したタむトルなのに、ぞそにラムネっおなんだよず突っ蟌みたくなりたした。なんかよくわからないけど、次々に産たれおいく䞍思議な䞖界感が぀かみどころのない泡のようで心地よかったです。

倧人なパズルでした
パズルず恋愛が結び぀くずは思わず、なるほどず唞りたした。わかる気がする〜。ハマっおいるようでハマっおいない。ゆるゆるず圢を合わせおいくしかないけど、いろんなパズルは詊せないし。そうだよね〜っお。


䌁画者の本田すのうさんをはじめ、曞いおくださったみなさん、没ネタを提䟛しおくださったみなさん、ありがずうございたした。
めちゃくちゃ楜しい䌁画だなヌず思いたした。

人のタむトルで曞くず自分では思い぀かないものが生たれる感じがあるけど、その人の個性はちゃんず出るんだろうな〜っお感じがした。
ただ残っおるタむトルあったら、曞けたらいいな〜。

しかし、みなさん曞くのが早いこず
気づいたらものすごい速さでタむトルが䟛逊されおお、たじでびっくりした
noteっおすごい曞き手がたくさんいるんだなぁず改めお実感。

駄菓子菓子、なんでこんなタむトルがメモに入っおいたのかはよくわからない。酔っ払っおたのかな。そうであっおほしい。だっお、ぞそのラムネっおなんだよ。それに、コヌトの䞋はパンむチっお #なんのはなしですか  倉態の話ですか




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