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スクラップアンドビルド

    悲しみはどうしたって拭えない。亡くなった友人、もう会わなくなったかつての仲間、優しい言葉をかけてくれた人達、閉園した幼稚園、津波で流された駄菓子屋、もう開催されない祭り、閉店した喫茶店、失ったものは泣いても戻らない。沢山の失った記憶の上に、僕は生きている。

    子どもの頃よく通っていたゲームセンターはマンションになってしまった。昔住んでいた家には別の誰かが住んでいる。電源が付かなくなったゲーム機。隣のクリーニング屋さんは取り壊され、震災の時に食べ物をくれたその当時の近所のおばさんは亡くなり、優しかった祖母も亡くなってしまった。コロナウイルスの蔓延で開催されなかった最後の試合。こうして突然一つ一つ失っていく。僕は失うのが怖くてたまらない。海に夕暮れが訪れるみたいに、僕はいつも淋しい。

    人間が好きだ。それなのに人に嫌な態度を取ってしまう。その人が特別になってしまえば、失うことばかり考えてしまうから。心が弱い僕は、自ら独りになりにいく。春の風が吹き、桜が散りゆく様を見て、僕は何かを思い出すのに恐れに近い何かを確かに感じる。

    季節みたいに変わっていく関わる人々。建物、思い出、記憶、実体、潰されたその上からまた新たに築かれる。それを繰り返して、僕は何かが特別になる前に離れる。潰して、新しく築くのを繰り返して、心が死んで、涙の意味も考えず、朝が来て、夜が来る。心が弱い。大切にするのが怖い。そんな恐怖は夜空みたいにどこか不安で、どこか落ち着く。そして、どこまでも続いているような気がする。死んでしまえばいいとは分かっている。それでも僕は生きていたい。痛みも、悲しみも、全て抱えて。

    突然不幸は訪れる。いつもそうだ。

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