
【ミライゴト理論への道 #1】どの理論にも当てはまらなかった。地方×若者×12年の実践
地方×若者×12年の実践が、既存の学術理論と交差する場所
このシリーズについて
広島県福山市を拠点に、若者と地域をつなぐ活動を始めて12年。出会ってきた若者はおよそ3,000名になります。
この連載「ミライゴト理論への道」は、その12年間の実践が、なぜ既存の学術理論に当てはまらないのかを、一つずつ言語化していく探求の記録です。答えは最初からあるわけではなく、書きながら見つけていく構造にしています。
私は学者でも研究者でもありません。ただ、目の前の若者たちと向き合いながら、うまくいかないたびに形を変え、続けてきた一人の実践者です。だからこそ書けることがあると思っています。
理論を確立したいというより、やり続けてきたからこそ見えてきた構造を、次の誰かが使える形に残したい。それがこのシリーズを書く動機です。
並走して書いている哲学シリーズ「夢がなかった普通の私が、自分の人生を選べるようになるまで。」は、この理論を生んだ人間の物語です。二つを合わせて読むと、また違う景色が見えてくると思っています。
新しいことを始めようとするとき、人は必ず問われます。「それって、何に近いんですか?」
悪意のある問いではないと思います。未知のものに出会ったとき、人は本能的に「知っている何か」と照らし合わせようとする。それは自然な認知の働きで、むしろ理解しようとしている誠実さの表れでさえあるかもしれません。でも、その問いに完全に答えられないとき、私の中に生まれたのは孤独でも焦りでもなく、純粋な疑問でした。なぜ人は、新しいものを必ず既存の何かに当てはめようとするのだろう、と。
12年間、私はずっとあの問いの中にいたと思っています。
そして最近、改めて既存の学術理論と自分たちの活動を並べてみたとき、ある感覚が鮮明になりました。どれとも交差する。でも、どれにも収まらない。
この感覚の正体が何なのかを、今回から書いていきます。
活動の起点と経緯を、正確に記しておく
理論を語る前に、何をやってきたかを正確に書いておきたいと思います。これは盗作防止の意味でも、後から「この思考がいつ生まれたか」を確認できる記録としても必要だと感じています。
起点は2014年。株式会社山陽管理として、広島県福山市に若手起業家支援ビル「DioPorte(ディオポルテ)」を開設しました。挑戦したい人の初期費用を下げ、コミュニティをつくることで、孤独な起業初期を支えようとしたのが最初の設計でした。
その後2019年、福山ビジネスサポートセンター「Fuku-Biz」の高村さんと池内さんとともに、高校生・大学生向け創業体験プログラム「Sta-sh(スタッシュ)」を立ち上げました。このとき私の法人格は山陽管理でしたが、その後一般社団法人ふくやま社中(現:一般社団法人スタイリィ)との共同運営へと発展し、当時の代表理事・小林史明さんとともに第2回から第6回まで重ねてきました。
現在スタイリィは代表理事・隅田航さんのもとで、中高生の居場所「STUily(スタイリィ)」を14拠点・年間1,000名超の規模で展開しています。私は理事としてサポートする立場にあります。
第7回からは、2024年に新たに立ち上げた一般社団法人ミライゴトとして運営しています。対話型就職マッチングイベント「ピッチマッチ」をはじめ、企業と学生・地域と学生をより実践的につなげる活動へとフィールドを広げています。現在の私の肩書きは、ミライゴトの代表理事と株式会社山陽管理の代表取締役です。
補助金だけに頼らず、関わってくれる人たちと一緒に形を変えながら続けてきたこの12年間。この蓄積が、今から書くことの根拠になっています。