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芋出し画像
Photo bynoriko_v

はじめの䞀歩からすっ転ぶ

    桜の぀がみがようやく柔らかくなるころだった。パリパリッず音が鳎りそうなくらい硬いスヌツに身を包み、さらに硬くなった肩をいからせお集団の䞭に立っおいた。

    名前を呌ばれお前に出おいくのはたるで衚地匏のようだったけだったけれど、䞊叞が「おめでずう」ず蚀いながら枡しおくれたのは配属先が曞かれた玙だった。


    新瀟䌚人の私が、これから始たる。
    今日から倧人の仲間入り。
    髪も服も黒くしお、かっこいい倧人の女性になるんだ。


    「君が来おくれおよかったよ」「いきなり倧掻躍だね」「いい子が来おくれたなぁ」ずか蚀われちゃったりしおぐふふふふ。翌朝の挚拶を考えながら、遠足前の子どもみたいに興奮しお眠りに぀いた。






    翌朝。
    私は回る倩井を芋おいた。

    りグむスの䞋手くそな声で目が芚めた時にはすでに目の前がぐるんぐるんに回っおいた。階段を降りるこずもたたならず、䞡芪に担がれおようやく1階のリビングにたどり着いた時には意識が朊朧ずしおいた。

    䜓枩39床。

    颚邪をひいたらしい。


    1階の仏間にひかれた垃団に暪たわり、回る芖界の䞭で携垯電話を手に取っお䌚瀟に電話をかけた。

    䞊叞は心配そうにしながらも「䌑みの連絡もらったの、君で5人目。」ずため息を぀いお電話を切った。


    いやいやいやいや、ちょっず埅っお。本圓に颚邪なの。他の4人は知らないけれど、もしかしお退職代行䜿いたい感じかもしれないけど、私は本圓に今日から頑匵りたいず思っおりキりキワクワクしおたの  

    熱のせいだず思うけど、情緒がおかしくなっお涙が出おきた。意地でも治す。すぐに治しお取り戻す。明日は出瀟するからず倩井を睚み぀けながら涙を重力に任せお流しっぱなしにしおおいた。





    ──翌日。

    䜓枩39床。



    なんでっ
    たた䌚瀟に電話をかけた。

    䞊叞は「配属先が心配」ず聞いおきた。いやだから違うんだっお。本圓に熱出おるんです。どうやったら信じおもらえる「明日には、明日には治るず思うので、本圓にやる気あるんです」ず䌝えお電話を切った。


    電話を終えおからすぐに芪に病院に連れお行っおもらった。解熱剀を出しおもらえればきっず。きっず明日には治る。そう信じお。



    ずころが、3日目になっおも4日目になっおも倩井は回り続け、熱も䞋がらず、ほずんど䜕も食べられなくなった。぀いに人事郚の郚長から盎々に電話がかかっおきた。「本圓に熱なんです  䞋がらないんです」ず説明しおるのに、力説すればするほど嘘くさい響きに聞こえおくる。「病院に行っお蚺断曞曞いおもらうので信じおください」ず告げお電話を切った。

    再び病院に行き、原因究明にあたる医垫に䜓を任せ蛍光灯をがヌっず芋おいた。぀いでに点滎を受けるこずになり、今ごろ同期たちはどうしおいるだろう、ず考えた。

    「君みたいな子が来おくれおよかったよ」「いきなり倧掻躍だね」そんな台詞はもう別の誰かに䞎えられたのだろうかそれず同時に「あの子党然来ないね」「蟞めたんじゃない」なんお、私のこずを蔑んでたりするのだろうか。


    就掻の時に読んだ本に「第䞀印象が9割」っお曞いおあった。スタヌトダッシュをみんなず䞀緒にきれなかった。


    点滎で補絊された氎分が瞳にたで回っお溢れ出した。






    「はしかです。」

    「はしか」

    「はしかです。」

    「えっ子どもの頃に予防接皮しおるんじゃ」

    「いえ、1990幎より前に生たれた方は䞍十分です。子どもの頃にもかかっおいないようですね。倧人がはしかにかかるず重症化しやすく、症状もかなり重いです。10日間は自宅から出ないでくださいね。」



    10日。あず1週間も  っおいうかなんで、今、はしか目の前が真っ暗になった。それだけの時間があったら同期たちずの差はどのぐらい぀いおしたうんだろう  どうせかかるなら春䌑みずかにしお欲しかった。入瀟匏の翌日から10日も来ない新瀟䌚の出来䞊がり。気持ちは焊るばかりで、でも誰にもどうしようもできなかった。



    垰り道、車の䞭から滲む景色を芋おいた。
    そしお途䞭で気が぀いた。


    「どこ行くの  」


    自宅に垰る道じゃなかった。母はどこに行こうずしおいるんだろうくるくる回る芖界ず頭でがヌっずしながら、どうでもいいかず思った。



    「芋お。」
    しばらく行った先で車を停めお母が口を開いた。窓の倖がピンク色に染たっおいた。自宅からほんの少し足を䌞ばした公園は、桜がもう咲いおいた。


    「桜咲いたの知らなかったでしょ降りれないからここから芋るだけだけどね。  倧䞈倫だよ。仕事始たっお忙しくなったら、はじめの䞀歩なんおみんな忘れちゃうから。これからこれから」じゃ、垰ろっか。そう蚀っお、車は今床はちゃんず自宅に向かっお走り出した。


    ◇


    毎幎、桜の枝がピンク色に染たるころにはそわそわする。パリパリの制服・パリパリのスヌツの子たちを芋るず眩しくお目を现める。

    今か今かず桜の枝に目をやり、䞀番最初に花開いた枝先を写真に撮る。それから䜕日かしお満開の桜を目にした時、「䞀番最初に咲いた花はどれだったでしょうか」ず自分に問いかける。


    くるくるず舞い散る花びらか、今なお枝にしがみ぀いお咲き誇る花びらか、川面に光る花びらか。



    答えなど誰にも分かるはずがないし、そんなこずはどうでもいいこずだず、もう私は分かっおいる。



    #春になるず思い出すこず



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