
「何を感じたの?どうしてそう思ったの?」——すれ違いを“つながり”に変える、感情の深掘り対話
※本記事は、プレパパ向け連載『育児 新入社員の心得』の 第5章コラムにあたります(全9章・27話)。
「家庭という新しい職場に配属されたあなたへ」── 産後の“最初のつまずき”を乗り越えるヒントをお届けします。
(→構成全体はこちら)
はじめに
第5章では、夫婦のすれ違いが起きる構造と、
対話に必要な「翻訳」の視点について考えてきました。
ここからは、さらにもう一歩。
言葉のすれ違いを超えて、「感情そのものを深く聴く」ためのヒントをお届けします。
感情は、ただの気分やわがままではありません。
ふたりをもう一度つなぎ直すための、かけがえのない“宝物”です。
では、具体的にどんなふうに聴き、寄り添えばいいのでしょうか?
そんな問いに答えるコラムです。
「どうしたの?」じゃなくて、「何を感じたの?どうしてそう思ったの?」
産後の忙しい日々の中で、ついこんなふうに声をかけていませんか?
「どうしたの?」
「機嫌悪いの?」
「なんで怒ってるの?」
もちろん、悪気があるわけではありません。
でもこれらは、感情を浅く扱ってしまう質問です。
本当にふたりの心をつなぐ問いかけは、こうです。
「何があったの?」
「それで、どう感じたの?」
「どうして、そう思ったんだろうね?」
「行動」ではなく「感情」に焦点を当てる。
さらに、「感情」だけでなく「その理由」まで聴きにいく。
この姿勢が、すれ違いを乗り越えて“本当の対話”をつくる鍵になります。
会話ケースで見る「浅い質問」と「深い質問」
ケース1:ママが「なんか疲れた」と言ったとき
❌ 浅い質問:「寝れば?」
⭕ 深い質問:「そっか。何が一番しんどかった?」
→「一日中ずっと誰とも話さなかったのが、ちょっと寂しかったかも…」
ケース2:パパが「最近空気悪いよね」と言ったとき
❌ 浅い質問:「文句あるなら言えば?」
⭕ 深い質問:「そう感じたんだね。どうしてそう思ったの?」
→「前は“ありがとう”って言ってくれてたのに、最近なくて…なんか距離感じたんだ」
このように、
表面的なイライラや不満の奥には、寂しさ・不安・大切にしたい想いが隠れています。
そこに耳を傾けたとき、初めて「わかりあえた」と感じられるのです。
感情は、ただの気分じゃない。「ふたりの宝物」
感情には、
大切にしたい価値観
守りたかった願い
隠れていた孤独
そんな、ふたりの関係にとって本当に大事なものが詰まっています。
たとえば:
「イライラした」の奥には、「ひとりで抱えたくなかった」
「無視された気がした」の奥には、「ちゃんと見ててほしかった」
そんな声が、静かに眠っているのです。
感情は問題ではありません。
**感情は、つながり直すための“入口”**なのです。
感情の深掘り対話:3つのステップ
1.感情に名前をつける
「悲しかった?」「不安だった?」「さみしかった?」と、そっと問いかける。
2.その背景を尋ねる
「なんでそう感じたんだろうね?」と、やさしく掘り下げる。
3.それを共有する
「そうだったんだね」「気づけてよかった」と、温かく受け止める。
最後に──感情は“問題”じゃない。“つながり”の入り口
ケンカやすれ違いの多くは、
**「感情を語れなかったこと」**から始まります。
だからこそ、
「なんで怒ってるの?」ではなく、
「どんな気持ちだった?」と問いかけること。
この小さな違いが、ふたりを救う力になります。
忙しい育児と仕事の中でも、
ふたりの対話が、またあたたかく育っていきますように。
クロージング
ここまで、
**「感情を深掘る対話」**についてご紹介してきました。
すれ違いは、ゼロにはできないかもしれません。
でも、すれ違ったときに、
「何を感じたの?」「どうしてそう思ったの?」と尋ねられる力があれば──
ふたりは、またつながり直すことができるのです。
次章では、いよいよ、
【チームとしての初動】──信頼を築く小さな一歩たちについて考えていきましょう。
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有路登志紀|産後シフトアドバイザー(外科専門医・産業医・総合医)
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