メインコンテンツへスキップ
見出し画像

三毛猫の奥義

    片桐 みかん

    毎週ショートショートnoteの企画参加作品


    三毛猫の玉次郎は、ドッジボール大会を目前に控えていた。ライバルのあいつには、どうしても負けたくない。ただの勝負ではない。あいつの言葉を信じ、俺を裏切者だと思っている幼馴染のまりに、本当のことを、まりに。

    そのためには、三毛猫の先祖代々伝わる奥義「三毛猫トリプルアクセル」を放つしかない。しっぽで身体を三度ひねり、その回転を魔球に変える禁じ手だ。だが、その衝撃に耐えられるかは、自分次第だった。

    玉次郎は回り続けた。しっぽは裂け、血がにじむ。それでも止まらない。あいつの隣で笑うまりの姿が、何度も脳裏をよぎる。

    大会当日。包帯を巻いたしっぽを見て、相手チームが騒ぐ。違法だ、と。玉次郎は黙って、あいつを睨んだ。その後ろで、まりが静かに見つめている。

    プレイボール。仲間は次々と退場し、残るは玉次郎ひとり。瀕死の身体でボールをつかむ。世界が静まる。信じられない風が会場を吹きあげる。

    風の中心で、玉次郎は回る。

    そして、ボールが手を離れた。(412字)

    画像
    イラスト:ChatGPT

    毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
    お題をありがとうございます。


     
     
     
    ✨ごあいさつ ようこそ、片桐みかんの世界へ。 日々のひらめきを即興で物語や詩にしています。 ここで出会った言葉が、あなたの心に小さな灯りをともせますように。

    あなたへのおすすめ