
荒廃した街
🍊第63回 3つのお題(ファンタジー)
🎈お題①:「天使の落とし物」
🐾お題②:「空を泳ぐくじら」
⏳お題③:「ドラゴンの宅配便」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
空を泳ぐクジラの背中には、大きな街があります。
その街には学校や役所、消防署。
暮らしに必要なものは、なんでもあります。
そうそう。
ドラゴンの宅配便もあるのよ。
今日のお話はね、
そんな空を泳ぐクジラの背中にある、大きな街のお話。
この街はとても平和で、
みんな助け合って暮らしていました。
争いごとなんて絶対に起きない。
誰もが、そう思っていたのです。
でもね、ある日。
空から一枚の白い羽根が落ちてきました。
それは、
「天使の落とし物」
だというのです。
「天使が、なんだって羽根を落としたんだ?」
人々が不思議そうにしていると、長老が言いました。
「この街には、大きな災いが訪れる」
「何を言ってるんだ。この街では今まで争いなんて起きたことがない。そんなでたらめを言ったらいけないよ」
長老は静かに答えました。
「そうさな。今までは争いなんて起きっこない。誰もがそう信じて疑わない。わしもそう思っていた」
そして、白い羽根を見つめながら言いました。
「天使の羽根はな、我々の心がゆるぎないものか、確かめにきている」
それきり、長老は話すことをやめました。
それから数日後。
大きな嵐がやってきました。
激しい風が吹き荒れ、
街の半分が焼失してしまいました。
家を失った人たちは、残っている家に身を寄せ合いました。
最初のうちは、みんなで助け合っていました。
けれど、食べるものが底をつき始めると、
少しずつ争いが起こるようになりました。
たった一つのとうもろこしを、
殺気立った顔で奪い合う。
昨日まで笑い合っていた人たちが、
互いを疑い、傷つけ合う。
街は次第に荒廃していきました。
あんなに豊かだった街が、
見る影もなく壊れていきました。
空を泳ぐクジラは、
そのすべてを見ていました。
そして深く嘆きました。
やがてクジラは空からゆっくりと降り、
街を背負ったまま、
海の中へと沈んでいきました。
海面には、一枚の白い羽根。
「天使の落とし物」は、
波に揺られながら、
大海原へと流れていきました。
この物語は、現実にあったことではありません。
でも、世界を見渡してみると、
この物語のように街が荒廃し、
人々の暮らしが失われていくことがあります。
昨日までそこにあった、
ごく普通の暮らし。
家族と食事をすること。
学校へ行くこと。
仕事へ行くこと。
誰かと笑い合うこと。
そんな当たり前の日々さえ、
人間のエゴによって、
いとも簡単に壊されてしまうことがあります。
もし今、
「天使の落とし物」が私たちの前に落ちてきたなら。
天使は、
私たちの何を確かめようとしているのでしょう。
