
カラスの花見
風まかせ文芸部の企画参加作品
カラスの花見
桜が咲いて、人間てやつは楽しそうにしてやがる。
ほいでもって、おいらが桜の木に止まると、
汚いものでも見たような顔をする。
まぁ、今に始まったこっちゃないけどな。
あんたら人間には見られない桜を、おいらは知ってる。
桜の花が咲く前、そのまた前の景色をな。
人間は、桜が咲いた時にしか来ねぇだろう。
でも桜は動かねぇ。
ずっと、長いこと、ここに立っているのさ。
寒い冬を越えて、桜は花を咲かせる準備をしている。
おいらは、まだ夜も明けきらないうちからここにいて、
その姿をずっと見てきた。
そして、夕焼け色に染まった桜を見るのさ。
人間様の食い残しをちょいと頂いて、花見をする。
え?カラスが花見なんかするかって?
ああ、するさ。
あんたら人間様より、ずっと桜の通なのさ。
桜が散ったら、人間てやつは、とたんに来なくなっちまう。
桜は、それをちゃんと知っている。
今日も、桜がきれいだな。
桜で一句。
あんたも、作ってみな。
おいらか?
……まぁ、やめとくよ。

風まかせ文芸部のお題に書かせて頂きました。
iさん、お題をありがとうございます。