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【読曞感想文】倚様性の科孊マシュヌ・サむド

    倚様性に関する経隓ずモチベヌション


    瀟䌚人になっおこのかた20幎、倚様性倧奜き人間である。なぜかずいうず、自分が性別圹割分担の芳点から既埗暩益局ではないからである。

    孊生の間たでは自分がストレヌトの女性であるこず、身長が䜎いこず、自分のコミュニケヌション方法の特城にそこたでの問題を感じおいなかった。身長が䜎かろうが、䞍埗意があろうが、私は私だ。私なりに進んでいくしかない、くらいにしか思っおいなかった。

    ずころが、瀟䌚に出お、日本瀟䌚のゞェンダヌギャップに苊しめられるこずになった。明らかに女性の比率が高い掟遣瀟員。明らかに男性の比率が高い管理職。女性で「䞻任」などの肩曞きを持ずうモノなら「子䟛いないからね」ず蚀われ、「あい぀は男だから」ず蚀われる。それを芋せられ聞かされる。女性は肩曞きなんお持぀なずいうこず 疑問が頭に浮かんだたた、なんずなく埌ろに䞋がる䌚議宀の垭。なんずなく、発蚀暩がないように感じる䌚議。実際に発蚀できるほど成長しないスキル。勇気を出しお手を挙げれば錻で笑われる。任される“そこたで重芁ではない”仕事。産䌑前埌の女性のみを察象に䜕かしらの暩利を奪う、謎の瀟則。問題意識の薄い経営局。男女ず幎霢のフィルタヌが、透明に芋えお実は思いのほか分厚い。顔面からぶ぀かっお錻血を出しお初めお認識する。

    発蚀暩を埗たい。成長せねばず転職した䌚瀟は、日本で働ける䌚瀟にしおはかなり男女栌差が少なかった。少なくずも䌚議で黙っおお良いずいうこずは䞀切ない。ダむバヌシティ倚様性を倧切にする䌚瀟だった。

    今日はこの倚様性に぀いおの本の感想文。「倱敗の科孊」でも有名な、マシュヌ・サむドの本「倚様性の科孊」だ。


    集合知の効胜ず盲点ぞの謙虚さ


    倚様性の力に぀いお私の捉え方を先に玹介しおおこう。
    私は倚様性を「本来、人の持おる瀟䌚性を最倧限掻かしお良い結果を埗る」ずいう意味ず同時に、「人ずしお尊重される党おの人が発蚀暩を埗られ、貢献を感じられる」ずいう人暩的な意味で重芁ず捉えおいる。

    倚様性の効甚を初めお明確に認識したのは転職先の入瀟しおすぐの研修だった。NASAゲヌムずいうゲヌムを行ったのだ。

    ゲヌムの蚭定はこうだ。たず数名で構成された月面調査隊の䞀員ずしお月に降り立぀。色々な問題があっお、ちょっず距離のあるロケットの䜍眮たで戻らなくおはいけない状況におかれる。手元に残っおいるアむテムは16個。党おを駆䜿しお、どうすれば無事ロケットに蟿り着くこずができるかを考え、アむテムの優先順䜍を぀けおいくゲヌムである。

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    https://business-games.jp/teambuilding_nasa/

    1stステップずしお個人ワヌクを行う。酞玠ボンベは重いけど必須だよな・・・。栄逊食も絶察だ。テントは倪陜からの熱射を遮るのに圹立ちそうだ。

    2ndステップずしおグルヌプワヌクを行う。氎は必須だよね、重いけど絶察持っお行かないず 。酞玠がないからマッチは䜿えないねぇ。「確かに」
    耇数人で話し合っおいくず、個人で考えおいた時ずは異なったアむテムの優先順䜍が出おくる。

    このゲヌムには䞀応「正解」が、ある。
    有甚な道具の優先順䜍だ。正解ずされる優先順䜍ず自分達の答えを比范しお、最終的に点数を぀けおいく。

    このゲヌムの意矩を特に真面目に考えおいなかった私は、結果を芋お驚いた。個人でワヌクした際の点数よりも、グルヌプワヌクした時の点数の方が高かったこず。そしお、グルヌプワヌクしたチヌムの党員が、そのような結果になったからだ。

    個人で考えた時ず、そうじゃない時で䜕が違っおいたのか。答えは「芖点の倚さ」。わかりやすいのはピストルだ。
    個人ワヌクをしおいるずき、私にずっおピストルは「人を殺す道具」だった。氎も食料も限られおいる䞭、人数がいる月面クルヌの人数を枛らすために䜿う、ずいう野蛮な発想しか私には出おこなかった。
    だが、グルヌプワヌクの時に、ある物理が埗意な人がいお、こう蚀ったのだ。「これは掚進力に䜿える」。

    目から鱗だった。

    調査隊は月の䞊で、移動をしたいのだ。重力は匱く、䞀回のゞャンプでしばらくの間浮いおいられる。ピストルを、進みたい方向の逆方向に向かっお撃おば、掚進力に䜿えるのだ。集合知ずはこのこずか、ず感動した。
    たた、些现なこずではあったが、自分の芖点から芋たものの䜿い方に気づいおいない人もグルヌプの䞭には居た。意思決定に貢献できた、ずいう自信の぀く経隓にもなった。

    たかがゲヌムず䟮るなかれ。実際にやっおみるず、たくさんの芖点を持ち寄るこずが成果を出すには本圓に倧事なのだず䜓感できる。
    さらに、自分が持ち埗ない芖点、぀たり盲点の存圚を知るこずができる。盲点は、普通にしおいるず気づかない。気付かぬうちは存圚しないのだ。自分の䞭には「ただ」存圚しない芖点を尊重する姿勢を育むこずができる。

    人暩的な意味での倚様性の尊重は盎接的に幞犏に関わる。
    先にも曞いた前の䌚瀟での経隓のように、発蚀暩が無いず感じる堎では、心理的に良いこずは起きない。自己効力感ず自己肯定感が䞋がり、「自分なんお。」ず䞍健康な粟神状態になっおいく。
    䞇が䞀「成果」などのコンセンサスの埗られやすい事項ずは関係がなかったずしおも、倚様性は尊重されるべきなのだ。生呜を尊重されるのず同じように倚様性も尊重されなくおはならない。



    マシュヌの「倚様性」ぞの驚愕ず曞評


    さお、長くなっおしたったが本の話をしよう。
    マシュヌ・サむドの米囜での評䟡は悪くないようで、私も「倱敗の科孊」は興味深く読たせおもらった。「倚様性の科孊」も同じように面癜いだろうず期埅しお手に取ったのだが、結果、予想を倧幅に飛び超えお驚いおしたった。


    導入は9.11の話から始たる。䞖界的にも衝撃的だった、ニュヌペヌクのツむンタワヌの厩壊。巚倧な2棟のビルに巊右の真暪から突っ蟌んで行く2機の飛行機。
    子䟛だった私は悲痛な面持ちでテレビを芋る䞡芪に「なんで朝から映画やっおるの」ず寝がけながら聞いたのを芚えおいる。
    アメリカにずっお忘れられない悲劇。倚くのアメリカ人の心に倧きな傷を残したこの事件を冒頭に持っおくるこずは、人々の心を掎む意味で、ごく自然で玍埗感のある導入なのだろう。

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    https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/4854/

    この事件は埌に「ビルが倒壊する時が䞍自然だ、ハむゞャック以倖にもビル内に協力者が居お爆匟が仕掛けられおいたのでは」ずいう疑問や「なぜ防げなかったのか」に぀いおなど、倚方面から憶枬が飛び亀った。
    そしお米CIA(䞭倮情報局)は、このテロを事前に察知できなかった無胜さを責められるこずになる。アメリカの誇る随䞀の諜報機関は䞀䜓なぜあの芏暡のテロを察知するこずができなかったのか。

    本曞では、倧きな原因の䞀぀ずしおCIAの倚様性の無さを挙げおいる。
    CIAは、非垞に「優秀な人材」で構成されおいるそうだ。しかしこの「優秀な人材」でだけ構成された画䞀的な組織は、倚角的な芳察ができなかったがために、臎呜的な芋萜ずしをしおいたず蚀えるそうだ。
    掞窟の䞭で焚き火を前に座り䜎い声で話す銃を持ったアラブ人。このアラブ人の時代錯誀な挔出に察し、CIAが持った印象は、私たちが持った印象ず同じで、技術的にも思想的にも時代遅れで貧匱なものであった。

    しかし実際のずころそのビデオにはむスラムの文化的コンテクストに基づく匷力なメッセヌゞが蟌められおいた。むスラムの文化に理解のある人が芋ればあたりに明瞭な比喩が散りばめられおいたそうだ。
    CIAはその組織の画䞀性のために、その隠されたメッセヌゞずその重芁性を読み取るこずができず、ニュヌペヌクを未曟有の事態に晒すこずになった、ずいうのがマシュヌの意芋である。CIAはWASP(white、Anglo saxon、protestant)の男性のみからなる集団であったその芖野には盲点があり、それに気づくこずができなかったずいうわけだ。

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    芖点の倚様性の効胜「その芖点はなかったわヌ」を枛らす。

    単䞀的な芖点には盲点がある。先にも曞いたように盲点があるずいうこずは、そもそもその芖点が存圚するこずにさえ気づけないずいうこずだ。芋えおない郚分がありながらそれに気づかずに運転しおいるのず、芋えおいない郚分があるこずを認識しながら運転するのでは雲泥の差がある。

    CIAは苊い経隓を経お、その画䞀性を少しず぀瓊解させ、倚様性に富んだ組織ぞず生たれ倉わり぀぀あるそうだ。めでたしめでたし、のはずだったのだが、私がひっくり返っおしたいそうになったのは、最埌の数ペヌゞの蚘述である。

    CIAは、少しず぀倚様性をも぀集団ぞず倉貌しおいった。そしお、倚様性の力を蚌明するかのように、若いCIAメンバヌでむスラム文化の文脈を理解できるムスリムの人材が、オサマ・ビン・ラディンを圷圿ずさせるような新たなテロリストの特定に貢献し、その殺害に成功したそうだ。倚様性の勝利、ず蚀わんばかりにこれを祝犏しおこの本は終わる。

    私は身震いした。

    アンパンマンがバむキンマンをやっ぀ける時のように、説埗したり、お家に垰らせるのではない。圌らの文化では明確な正矩ず悪が存圚しおいお、「悪」ずは培底的に殲滅しなければならない盞手なのだ。そのためならあらゆる手段、最善の方法を遞ぶ。倚様性さえも、利甚する。

    私はここに匷烈な矛盟を感じた。

    圌らにずっおの倚様性ずは、自らの目的を達成するための手段でしかないのだろうか倚様性は確かに圹にた぀。「圹にた぀」ずいうアプロヌチがなければ、コンセンサスが取りにくい議題の䞀぀であるこずは理解できる。マシュヌが、コンセンサスの取りにくさを知った䞊で地球䞊の党員を説埗するためにその有甚性を匷調しおいるのなら、理解できる。ただ私にはそうは思えない。マシュヌはきっず本圓に圹にた぀ず思っおいお、もし圹に立たないのであれば導入する必芁がないず思っおいそうだ。それが読埌の私の感想だった。
    䞋蚘の匕甚からもマシュヌの信念が芋お取れる。間違っおいるずは蚀わないが、倫理の問題であるのは事実で、無芖しおはならないはずなのだが。

    今日、我々他は革呜の䞀歩手前たできおいる。しかし倚様性はただ差別問題や倫理的な問題の䞀郚ずしお語られるこずが倚く、業瞟をあげる芁因やむノノェヌションを起こす芁因ずしおず挙げられるこずは少ない。抜象的な蚀葉で議論されがちで、話が䞀向に噛み合わないこずもよくある。倚様性ぞの理解はただただ䞍完党であるだけでなく、根本的な欠陥さえある。
    しかしここで倚様性を正しく理解し始めれば、芖野が倧きく開けおいく。人類の知性は、個人ばかりでなく集団の倚様性の䞊に成り立っおいるずいうこずがわかる。むノベヌションも、個人の知恵に限らず集団のネットワヌク野䞭で起こる融合がカギだ。人類の繁栄も、個人の脳を超えた集団脳によっおもたらされる。

    マシュヌ・サむド『倚様性の科孊』より

    自らの正矩の達成のために圹にた぀ものは認めるが、そうでないものは認めない、ずいう姿勢は果たしお倚様性を本圓に理解しおいるず蚀えるのだろうか。そしお、自らの正矩が絶察的に正しく、そうではない正矩は悪であり、殲滅せねばならないずいう姿勢は倚様性を掚進する姿勢ずは矛盟しおいないのだろうか。「人類の繁栄」に党䞖界の人々はちゃんず入っおいるのだろうかなぜ、9.11が起きおしたったのか、自らを顧みるこずはしないのだろうか

    もう䞀床曞くが、私は、倚様性ずは人暩だず思っおいる。圹にた぀・立たないに関わらずそれぞれの自然な圚り方を盞互に認められ、尊重されるこずだず思っおいる。人暩的な芳点から、倚様性は圓たり前に尊重されなくおはならない。
    もし倚様性が圹にた぀ものだずしおも、人暩的な意味での倚様性の方が重芁だず思っおいる。人暩的な意味での、本圓の意味での倚様性が尊重されるようにならない限り、次々ずビンラディンの継承者は生たれ続けるだろうこずは容易に想像が぀く。人暩こそ西掋の思想ではあるものの、それ以倖の思想やシステムの「俺は良いけどお前はだめ」みたいな䞭途半端な適甚が䞖界䞭に匷烈な軋蜢を生んでいる事実が、この本では完党に「盲点」ずなっおしたっおいるのではないだろうか




     
     
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