
つながる祈りの糸
夜中から涙が止まらなかった。
自分の無力さ、思うようにいかない現実、得意なことで生きていけない悔しさ。そんなやり場のない感情に飲み込まれ、自分の存在そのものに嫌気がさしていた。
重い心で眺めた朝のニュースには、戦争の凄惨な光景が映し出されていた。
瓦礫、水もない、パンすら買えない窮状、悪化する衛生環境。その過酷な現実の中で、一人の女性が編み物をしていた。
彼女の手元からは、色とりどりの人形やケーキが生み出されている。
その指先の動きを見て、私は直感した。
彼女はこの編み目のひとつひとつに、安らぎと祈りを込めているのではないか。
私もまた、編み物をする。住む場所が違えば、人生の景色はこれほどまでに変わる。
けれど、もし私が彼女の立場だったらと考えたとき、溢れる涙の理由がふと腑に落ちた。
昨夜からの涙は、自分のためだけではなく、遠く離れた場所で懸命に生きる彼女たちの心を、無意識のうちに汲み取っていたからなのかもしれないと。
目には見えないところで、魂を寄せ合い、慰め、慰められる。
「光の魂を持つもの同士、遠く離れていても世界は幸せに満ちるはずだ」
そう信じることで、ようやく私は顔を上げることができた。
その時、ふと母の姿が重なった。
母は毎日、お経を唱えるときに家族の幸せを祈り続けてくれていた。
私が今日まで、どんなに辛くても悪い方向へ引きずられずにいられたのは、あの絶え間ない祈りという光に守られていたからなのだ。
母が私にしてくれたように、今度は私がしよう。
大切な誰かのために、そして遠い空の下で編み物を続ける彼女のために。
祈りという見えない糸を編むように、私もまた、明日を信じて生きていこう。