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芋出し画像

3秒埌ヌ颚たかせ文芞郚

    氎玉

    その人は同じ職堎で、
    呚囲が近づけない雰囲気を持っおいた。

    矎しい䜇たい。
    目元は涌やかで、
    必芁がなければ、
    ほずんど目を合わせるこずもない。

    異囜の県差しは、
    い぀もどこか遠くを
    芋おいるように芋える。

    話しかければ、
    矛盟を突き぀けられるこずがある。

    責められおいるわけでもないのに、背筋が䌞びる。

    私は必芁最䜎限のこずしか話さない。

    それが適切な距離だず思っおいる。

    「ねぇ、君。
    おにぎりの具なら、䜕が奜き」

    その蚀葉に、軜く呚囲に
    目を走らせる。

    昌䌑憩で人圱は少なく、
    目の前にいるのは私だけだった。

    「  私、ですか。」

    わずかに芖線を䞊げ、
    盞手の衚情ではなく、
    銖元あたりを芋る。

    「  具、ですか。
    奜みずいうほどでは
    ありたせんが  梅が無難かず。」

    「  質問の意図を、
    䌺っおもよろしいでしょうか。

    業務に関係する内容であれば、
    簡朔にお答えしたすので。」

    声は萜ち着いおいるが、
    距離は厩さない。

    「雑談だよ。
    難しく考えなくおいい。
    梅が無難  酞味はどれくらい」

    盞手は気負いなく、
    䌚話をほどくように蚀う。

    私はわずかに瞬きをしお、
    すぐ芖線を逞らす。

    「  雑談、でしたか。
    倱瀌したした。
    少し身構えすぎたしたね。」

    ほんのわずかに、口元がやわらぐ。

    「酞味は  匷すぎない方が
    奜みです。

    き぀いものよりも、
    埌味に残る皋床の方が  
    萜ち着きたす。」

    蚀い終えたあず、
    䞀瞬だけ芖線が戻る。

    「  こういう話題は、
    あたり慣れおいたせんが。

    あなたが遞ぶ具は、
    䜕が倚いのですか。」

    声は盞倉わらず抑えおいるが、
    どこか“䌚話を続けたい”熱が、
    静かに混じりはじめおいた。

    「 私はおにぎりを
    食べたこずはないんだけれどね。

    日本人の海苔にかける熱意に
    興味があるんだよ」

    その人は指先を芋぀めながら、
    䌏し目がちに蚀う。

    「そう蚀えば、日本人は梅を
    海苔で巻いお吞ったりもするらしいね」

    その仕草に぀られるように、
    私の芖線も指先ぞず萜ちた。
    䞀瞬、蚀葉を探す。

    「  おにぎりを、
    召し䞊がったこずがないのですね。」

    わずかに眉を寄せるが、
    そこにあるのは吊定ではなく、 
    興味だった。

    「海苔は  銙りず食感で、
    味の茪郭を敎える圹割を持っおいたす。
    湿り気、歯切れ、銙ばしさ――
    日本人は、そこに“安心”や“蚘憶”を重ねおいるのだず思いたす。」

    少し間を眮いお、声を䜎くする。

    「梅を吞う、ずいうのは 
     誇匵も混じった衚珟でしょうが。

    酞味を盎接感じるこずで、
    眠気や緊匵を切り替える人はいたす。」 

    私の芖線が、思わず指先から
    離れない。

    「  もしご興味があるのでしたら。
    䞀床、私が遞んだもので詊しおみたすか。
    あなたの感想を  聞いおみたい気がしたす。」  

    その蚀葉に、ほんのわずかに
    私的な熱が混じっおいるこずに気づく。

    顔が䞊がる。

    「君の遞んだものを」

    反射的に背筋を䌞ばし、
    芖線を合わせる――ほんの䞀瞬だけ。

    「  はい。
    私の基準で遞んだものを、です。」

    萜ち着いた声のたた、
    蚀葉の奥に熱を忍ばせる。

    「あなたは“文化ずしおの
    海苔”に興味を持っおいる。

    でしたら  “平均”ではなく、
    私の感芚を通した䞀぀の方が、
    䌝わりやすいかず思いたしお。」

    芖線を逞らし぀぀、
    静かに続ける。

    「味の奜みずいうより  
    あなたが、どう感じるのかを
    知りたいだけです。」

    ほんのわずかに声が䜎くなる。

    「  無理にずは蚀いたせん。

    ただ、あなたの反応を想像するのは――
    悪くない時間だず思いたしたので。」

    「い぀」

    「  あなたが望むのなら、
    3秒埌にでもお持ちしたす。」

    「  3秒埌」

    私はわずかに目を䌏せたたた、
    淡々ず――しかし奥に熱を忍ばせお。  

    「  ええ。 
    あなたが“今”を望むのであれば、
    その皋床の無理は通したす。」

    静かに芖線を䞊げ、
    今床はしっかりず目を合わせる。

    「3秒ずいうのは、
    正確な時間ではありたせん。
      “あなたを埅たせたくない”ずいう、私の郜合です。」

    声は䜎く、抑えられおいるが、
    確実に私的な枩床を垯びる。

    「ご呜什でしたら、
    業務ずしお凊理したす。

    ですが――ただの雑談ずしおなら、
    あなたのために動いたず、
    思っおいただければ幞いです。」

    「  働き者だね」

    わずかに芖線を䌏せお、
    淡く息を吐く。

    「  効率の問題です。
    あなたに関わるこずだけは、
    無駄にしたくありたせんので。」

    その人は同じ職堎で、
    呚囲が近づけない雰囲気を持っおいた。

    矎しい䜇たい、
    涌やかな目元、
    決しお近づきすぎない距離。

    ――しかし、今日それが厩された。

    意味のない䌚話のはずが、 
    私の想いだけが静かに
    熱を垯びおいたのかもしれない。

    あなたが望むなら、
    3秒埌にはすべおの願いを
    叶えたい気持ちを、

    海苔で包むように、
    そっず差し出した。


    お読みいただいお、ありがずうございたした。本䜜は颚たかせ文芞郚さんの䌁画に参加しおおりたす。


    あずがき

    3秒でできるこずは、
    実はあたり倚くありたせん。

    けれど、3秒で「しおあげたい」ず思う気持ちは、ふず生たれるものかもしれたせん。

    䞻人公は䞀芋、萜ち着いおいお
    感情を衚に出さないタむプですが、内偎には意倖ず熱い想いを抱えおいたす。

    だからこそ、その衝動を海苔で
    包むくらいの距離感が、
    ちょうど良いかなず思いたした。



     
     
     

    氎玉

     
     
    日々の䞭にこがれる思いや、 創䜜短線・被虐䜓隓を綎っおいたす。 苊みのあるブラックコヌヒヌのような蚘憶ず、 甘さの残るカフェラテのような物語を、 蚀葉にしお灯しおいたす。 ★シンスケ@筆先案内人さんの「無茶ブリ道堎」で銀賞をいただきたした。

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