
本当は、まだ名前のない風景を編む。
風景は、そのままでは残らない。
“モチーフを編み目に翻訳する”
Samantha’s HandKnitのフィロソフィー。
気がつけば、400着を超えた
For Samantha のニット。
そのモチーフは、そこに見えたもの。
どこかで見た景色。
そこに名前がつく。
でも、それとは少し違う、なにか。
それを編み、
サマンサが纏った瞬間、放たれる、
本当は、まだ名前のないもの。
だから私は、それを編み目に翻訳する。
見えないものを、構造として残すために。
その風景を受け取る、
私のミューズ、サマンサの視線の先を借りて。
風景を編む #01
春の森の、なにかを編む。
— Spring Forest —

春。
新緑が出揃う森。
騒ぐような気配を頼りに、奥へ。
葉、幹に枝、土。
重なり合う色の中、
ひとつだけ、異質を放っている
樹液酵母。
幹から滴るその黄赤色は、
不協和のようでいて、
春の中に調和している。
空気は冷たいのに、その光だけがあたたかい。

春の森の、なにか。


風景を編む #02
ミモザの光の、なにかを編む。
— Mimosa —

ミモザ。
目を細めたくなるほどの、光。
その色、その香り。
風に揺れるたび、
花の間を透過する、光の規則的なリズム。
白く滲む景色。
すべてが、春色に溶け入る。
その光が、まぶたの裏まで染み込んでくる。

薄く閉じた視界の向こうに残る、
ミモザの光の、なにか。


風景を編む #03
遠い文化の、なにかを編む。
— Chinoiserie —

西洋が見た、東洋。
その解釈としてのシノワズリ。
モチーフ、色、意匠。
職人たちはそれを、
独自のデザインの内に注ぎ込んだ。
ここではない場所。
その違和感と憧れが混ざり合い、
どこか引き寄せられ、連れていかれる。
一種の中毒性を秘めた美のようでもある。
見ているだけで、どこかへ。

翻訳された文化の中にある、
遠い世界の、なにか。


名前のないものが、
まだ、ここにある。
私は、それを編み目に。
ミューズが、
昇華させる。
#創作大賞2026
#オールカテゴリ部門