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3つのお題に空想のひらめきを 〜花火のあとで〜

    キキーッ!
    母ちゃんの茜色の自転車のブレーキ音が鳴り響く。

    「ただいま!今日は佐藤商店のお惣菜にしようね。」
    幼い頃に父を亡くしてから、母ちゃんは繊維工場で働きながら僕を育ててくれた。

    「やったー唐揚げだー!」
    僕は勢いよく白米と一緒に口に押し込んだ。
    「太一はここの唐揚げ大好きだもんねぇ」
    母ちゃんが微笑む。
    食事が終わりかけたときに、僕は母ちゃんに話を切り出した。
    「母ちゃん、明日花火大会に出かけたいんだけど・・・」
    「花火大会かぁ。母ちゃんの仕事が終わってから一緒に行こうか。」
    「あ、違うんだ。母ちゃんとじゃなくて・・・その・・・・学校が終わってからそのまま行きたいっていうか・・・」

    僕は言葉を濁してしまった。
    最近下駄箱の手紙をやりとりしている彩ちゃんに、
    思い切ってデートのお誘いをしてみたら「いいよ」と嬉しい返事がきたのだ。

    「あぁ、そうよね。太一も中学生だし、お友達と行きたいよね。」
    そう言って母ちゃんは箪笥の引き出しから封筒を取り出し
    「これ少ないけど楽しんでおいで」
    とお小遣いをくれた。
    「ありがとう」
    僕は母ちゃんの顔をみれずに、でもはっきりと声にだして伝えた。

    次の日。
    僕は花火大会を前にうきうきしながら登校し、放課後になるのが待ち遠しかった。

    彩ちゃんとの待ち合わせの駅に向かう。

    だが、駅に着いた瞬間、僕の胸は凍りついた。
    駅の伝言板に「ごめんなさい。彩」
    と書かれていた。僕はすべてを悟った。

    そして「ごめんなさい」の文字を見ているのがつらくて、急いで消した。
    消えた伝言板を背にし、僕は家へと向かった。

    母ちゃんは僕の顔を見るなり何かを察したようだった。

    僕は泣きたい気持ちをおさえ、
    「なんかさ、明日も放課後課外授業あるみたいでさ、もうみんな疲れてるから帰ろうぜって話になってさ。あ、お小遣い返すよ。」

    「そっか。今年は残念だったけど、来年行けるといいね。」
    母ちゃんはそう言って笑った。
    その時、母ちゃんのエプロンのポケットから白い粉がぱらりと落ちた。
    「母ちゃん、それ……」
    「ん?」
    エプロンから落ちた白い粉を見て、僕は息をのんだ。
    どこかで見た白い粉だった。

    翌朝。
    駅の伝言板には大きな文字でこう書かれていた。

    『太一へ
    ごめんなさいなんて気にするな。
    唐揚げ買っといたよ。
    母ちゃん』

    僕は思わず笑った。
    消したはずの伝言が、また僕を元気にしてくれた。

    #3つのお題に空想のひらめきを


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