
【毎週ショートショートnote】お題【高校野球怪談】〜まだ終わっていない〜
「松浦のゲッツー、エグかったなぁ〜!」
巧くんは、大学生になっても高校野球の話ばかりしていた。
「米倉のヒット、あれヤバかったなぁ」
誰も野球の話などしていないのに、突然語り出す。
ファインプレーの話になると、決まってケタケタ笑った。
私は、巧くんは高校野球の霊に取り憑かれているのだと思っていた。
二十数年後。
同窓会で再会した巧くんは、白髪だらけになっていた。
「楓ちゃん、変わんないね」
昔と違い、野球の話は一切しない。
高校野球の霊も、ようやく成仏したのだろう。
帰宅してから、昔のアルバムを開いた。
高校三年の夏。
甲子園予選決勝の集合写真。
私は写真を眺めながら、ふと首を傾げた。
巧くんの隣に写っているはずの松浦くんが、どこにもいない。
そして写真の裏には、こう書かれていた。
「巧、早くこっちに来い」