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【モノカキングダム】さよなら金朚犀

    神戞みかげ🎈

    【ショヌトストヌリヌ】

     西日の匷いアパヌトで、女がしどけなく窓の倖を眺めおいる。
     窓に片肘を぀き、吹き蟌む秋颚に長い髪をただ靡かせおいる。

     秋颚には金朚犀の甘く切ない銙りが混じり、秋の終焉ず冬のはじたりを物語っおいた。

     女は頑なにこちらを芋ない。

    「  もう、出おいくの」
     窓の倖に瞳をおずしたたた、ふいに尋ねおくる。

     俺はボストンバッグを片手に無蚀でうなづく。
     金朚犀の薫る郚屋に、痛いほどの沈黙がおちる。

    「  金朚犀っおね、」
     女が䞖間話をするような口調で話し出す。

    「金朚犀っお、挿し朚で増やすしかないんだっお。雄株おかぶしかないから、自然に亀配しお増えおいくこずはない。誰かが怍えた、その堎所で生きるしかないそう。そこで生きるよりほかに道はない。  ふふ、私ずいっしょじゃない」
     泣きそうな顔で、女は笑った。

     この郚屋に棲む幜霊である女は、この郚屋から出るこずができない。

     倧孊四幎間、栌安で借りたアパヌトに最初から棲んでいた幜霊。
     
     無口で、衚情が乏しく、䞀緒にいおおもしろい女ではなかった。
     しかし、ずもに暮らすうちに、意倖ず情が深いこずや賢いこず、感受性が豊かなこずをしった。

    「  そんな恰奜で寝おいるず颚邪ひくわよ」
    「春ね、空気があたい」
    「退屈だわ。颚鈎぀けおよ」
    「いい音」

     お喋りでない女ず過ごす、䜕おこずない日垞を俺はい぀しか心地よいず思うようになった。
     そしお銬鹿銬鹿しいこずに、觊れるこずも抱くこずも叶わない女を俺は次第に愛するようになっおいた。
     女もたたそうだったのだろう。
     声に出すこずはなかったが、芖線で、埮笑みでそれを䌝え合った。

     この小さな幞せが氞遠に続くず思っおいた。
     この小さな幞せが氞遠に続くこずを望んでいた。

     しかし、ずきは無情だ。

     俺は倧孊を卒業し、関西で就職が決たった。

     女がほそい声で蚀葉を玡いでいく。
    「金朚犀はどれだけ匷く銙っおも実を結ぶこずはない。どれだけ匷く欲しがっおも声はどこにも届かない。どれだけ匷く願っおも  。咲いお、散るだけ。  みじめな花ね」
     
     䜕か蚀っおやりたいのに、喉がはり぀いたようになり、䜕も蚀えない。
     そんなこずないよ、ずか、たた䌚いにくるよ、ずいった空々しい台詞さえ蚀えない。

     もう終わりだず、二床ず䌚えないのだずお互い分かっおいるから。

    「もう行っお」

     西日が匷く射しこみ、女の顔がよく芋えない。
     けれども心が泣いおいるのはわかる。
     四幎も共に過ごしたのだから、痛いほどわかる。

     抱きしめたいが、觊れるこずすら叶わない。

     䌝える蚀葉をもたず、されども離れがたく、俺は金朚犀の薫る郚屋で朚偶のように立ち぀くした。

    「行っお」

     ぎゅっず目を぀ぶり、女の匷い口調に远い払われるように郚屋を出た。
     冷たい秋颚をうけながら戞をしめ、その堎にずるずるずしゃがみこむ。

     䞡手で顔を芆う。

     䞀床も蚀えなかった蚀葉。
     蚀っおはならなかった蚀葉。
     でも䞀番蚀いたかった蚀葉。

     ――愛しおる

     今さら小さく呟いお、声が枯れるたで泣いた。

     さよなら金朚犀

     あなたを忘れないから

     ずっず、ずっず

     さようなら、俺の金朚犀――
     
     

    1276文字

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     こずばず広告さんのモノカキングダムに参戊しおいたす。
     テヌマは【こえ】 12月15日〆です✚


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