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シングルタスクの人間は、どうやって複数をこなせるようになるのか

    会議の資料を作っていると、突然別の仕事のことで話しかけられる。

    考えながら答える。

    資料に書き込もうとしていた内容が、頭の中から消える。

    何を書こうとしていたんだっけ…。


    だから、複数の仕事を同時にこなせる人が不思議だった。

    話しかけられても手は止まらない。

    会話をしながら入力を続ける。

    別の仕事のことまで考えている。


    どうしてそんなことができるんだろう。

    ある日、思い切って聞いてみた。

    「どうしてそんなに複数のことを同時にできるんですか?」


    すると、その人は笑って言った。

    「そんなに集中が続かないんですよ。」

    「飽きちゃうというか。」

    「一つを最後までやるんじゃなくて、少しずつ変えているだけなんです。」


    私は思わず聞いた。

    「それって、三角食べみたいな感じですか?」

    「私は一品ずつ食べちゃうんですけど、ご飯、味噌汁、おかずを少しずつ食べる人っていますよね。」


    「そうですね。それと同じです。」

    その時は、

    「なるほど。」

    それくらいだった。


    しばらくして、こんな相談を受けた。

    「私、難しいことを二つも三つも同時にできないんです。」


    私は、前に聞いた話を思い出した。

    マルチタスクの人は、

    三角食べみたいなものだと言っていた。


    私はその人に言った。

    「難しいよね。」

    「でも、案外もうできていることもあるのかもしれない。」

    「例えば、スマホを見ながら水は飲めるよね。」


    スマホを見る。

    コップを持つ。

    水を注ぐ。

    飲む。


    「一つずつ並べてみると、実はもう複数のことを同時にしてる。」

    「違うのは、慣れているかどうかなんじゃないかな。」


    その人は少し考えて言った。

    「たしかに、普段は気にしてないけど、できてる!」


    私は笑って言った。

    「慣れると脳が自動化してくれるから、最初は慣れるまで大変だけど、慣れたら一生ものだね。」


    話しているうちに、

    自分もどこか腑に落ちた感じがした。

    苦手なことはあると思う。

    でも、「できない」と思っているだけで、

    案外もう、できていることもあるのかもしれない。


    私は長い間、

    マルチタスクは才能だと思っていた。


    でも今は少し違う。


    私もまだ、一つのことで頭がいっぱいになる。

    それでも、一つずつ慣れていけば、今は難しいことも、いつか当たり前になる日が来るのかもしれない。


    マルチタスクは、複数のことを同時にこなす能力ではない。

    シングルタスクを積み重ねた先にあるものなのかもしれない。


     
     
    記事を開いて頂きありがとうございます。 私は人に対してとても興味が強いです。 たくさんの人間関係やコミュニケーションで観察して気づいたことを私なりの視点で、角度で、発信しています。

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