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いじりといじめ

    土曜日こころさんに占いをしてもらったことを深くんにLIMEした。
    そのことについて詳しく話を聞きたいと言われ、日曜日深くんの家の方向にある緑がいっぱいで湖がある公園で話をすることになった。

    大通りに面した入り口で待ち合わせをしていて少し早めに到着。あたりを見回すとその通りの信号の向こうに立っている男の子が見えた。
    目が合うと軽く手を振っている。学生服でない深くんをみるのはこれが初めてだった。モノトーンで統一された服をきていて、大人っぽくみえてちょっとドキドキしてしまった。
    「おまたせ。」「ううん。私も今来たところだよ。」
    「じゃあ、湖のほうまですこし歩こうか。」
    10月になったもののまだまだ暑く日差しが強い。しかし公園内は木陰があってすこし暑さが和らいでほっとした。途中で飲み物を買い、ベンチに座る。
    そして、私は土曜日に聞いた話をした。
    「箱の中に魂・・。僕が見た入れ物の中に水が入っていくのも同じようなものなのかな。面白いよね。」
    深くんは話を聞きながらメモをとっていた。
    「少しずつイメージがわいてきた。絵にしていける気がする。」
    「それはうれしい。」と私は言った。彼の創作にアイデアとして採用されることがうれしかった。
    「でもさ、さっき話していたからっぽな人間。聞いているとひかりちゃんのお友達やお母さんにも当てはまるのかな。そういう見方をするとしたらひかりちゃんは学校に行くのは怖くない?」
    「そうだね・・。全く怖くないわけじゃないけどでもたくさんの色がある私とは真逆だからって思うと少し安心するかな」
    「なるほど。それならよかった。」そういって深くんは少しほほ笑んだ。

    しばらくして、深くんは昔描いた絵の話をしてくれた。
    前は黒のボールペンだけで描く抽象的な絵が多かったんだそうだ。
    曼荼羅のようにたくさんの模様がならんでいるようなもの、みたいでとても興味がわいた。
    「いつか見てみたいな。」私がそういうと「僕の家ここから5分くらいなんだけど見る?」と言ってくれた。
    深くんの家にお邪魔するのは申し訳ないので、近くまで一緒に行って取ってきてもらうことにした。
    公園を出て大通りから一本住宅街へ入る。一緒に歩いていると前からふくよかな女性と男の子が歩いてきた。
    それを確認したと同時に女性が突然こちらに急ぎ足で向かってくる。
    「女の子とおでかけだったの?うちに来るつもり?って、あら。ごめんなさい。はじめまして。深の母です。最初、深の初恋のゆきちゃんかと思っちゃってびっくりしたわ。じゃあ、私とコウタは出かけるから。おばあちゃんはいるからちゃんと挨拶はしてね。」
    ものすごい早口で話終わるとコウタくんと言われた男の子の手を引っ張って早歩きで去っていった。
    あっけにとられていると「ごめんね。」と困った顔で深くんが謝ってきた。
    「ううん。全然。」私と深くんは再び歩き始めた。

    深くんの家の前についた。「ちょっと待っててね。」そういうと家の中に入ろうとした。その直後家の庭からおばあさんが出てきた。
    「深、おかえり。」そして、私の方を見て「あなたは深のお友達?」と言った。私は近くに歩み寄って
    「はい、はじめまして。川田ひかりと言います。」とあいさつをした。
    すると「ちょっと荷物取りに来ただけだから」と深くんが言った。しかし
    「こんなところで待たせないであがってもらいなさい。」と少し強めの口調でおばあちゃんが言う。
    「さあどうぞ。」と私に笑顔を向けてきたので少しお邪魔することになった。

    「お邪魔します。」と入り靴を整える私を見るおばあちゃんの視線が痛い。
    怖ささえ感じた。
    深くんは「2階が僕の部屋だから」と言って階段を上ろうとすると
    「先におじいちゃんに挨拶をしていってちょうだい」と奥の和室に案内された。お仏壇に手を合わせさせてもらう。そして2階の深くんの部屋へ行くとすぐにおばあちゃんがお茶を出してくれた。
    「ごめんね。」とまた困った顔で深くんがいった。
    そして出してくれた絵を見た。何時間かけてかいたのだろう。いや、何日か何か月かかかったであろう絵を見ながら「すごいね」しか出ない語彙力に悲しささえ感じた。

    深くんの家から駅まで歩く。深くんは駅まで送ってくれた。
    なんとなく、深くんの家からは安心の感覚はしなかった。
    深くんの家族にもからっぽな人間がいて、それで少し息苦しさを感じているのではないか。帰りの電車でそんなことを考えた。

    次の日の月曜日、凜は休んでいた。美咲と晴香に凜の事で悩んでいることを打ち明けた。
    美咲からは「ひかりがいじられることに傷ついているのに気づけなくてごめん」と言った。しかし、美咲からは意外な言葉が出た。
    「私もひかりの事いじったりするじゃん。これは凜もなんだと思うんだけど、いじめたいとか嫌いでそうやってるわけじゃないんだよ。ひかりの事が私は好きだよ。」
    嫌いではないのにいじる・・私は理解できたようなできないような不思議な感覚だった。でも少なくとも美咲が私を好きなことがわかったこと。そしていじりで私が傷ついていたことに謝ってくれたことがうれしかった。
    「私もひかりが大好きだからね。」と晴香も言ってくれた。
    二人の箱や魂の色があたたかいパステルに見えた気がした。
    私は奈々さんに相談し、こころさんからの言葉を聞いてから、見ている世界が少し違ってきたように思った。




     
     
    はじめまして。創作の小説をぼちぼちと書いていこうと思います。よろしくお願いします。

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