
自分がしたうんこに泣いて怯えるのは人間だけなんじゃなかろうか。
1歳3ヶ月の娘といつも通りお風呂に入っていた。
鼻歌まじりに自分の身体を洗いながら、ふと娘の方に目を向けると、
「ぼとん、ぼとん、、、ぼとん」
まあまあ立派なうんこが娘のお尻から落ちてきた。
うんこが出ているというのに、お風呂にためたお湯をコップですくいあげている娘。なんだかとても楽しそうな表情をしている。
どうやら娘は自分がうんこをしていることに気づいていないみたいだ。
いまこの文章を書いている私はものすごく冷静だけど、お風呂でうんこが落ちていく光景を見ていた私は、
「ギィヤアアアアアア!!!」
と心の中で叫びながら脳内を高速回転させていた。
自分がうんこをしていることに気づいていない娘はお湯をすくい続けている。
いいぞ、そのまま動くな、一歩も動くなよ……。うんこ、なにで取る?素手?いや、外にオムツを入れた袋があるから、袋からオムツを出してそれでうんこを掴もう。いや、まて、その前に娘を移動させた方がよさそうだ。いや、まて、うんこはこれで最後か?まだ出るか?
まず何からすればいいんだ!私は!!!
そうやって、いくつもの選択肢をグルングルン頭の中に登場させていた。多分AIより速かった。
よし!とりあえず娘がうんこを踏みつけるという二次被害を防ぐために移動させよう!
両脇を抱えて持ち上げ、うんこから遠ざけた。
うんこが落ちてきて、娘を持ち上げるまで、約5秒。どうだ!AIよりも速いだろ!
鼻息粗めな母にいきなり移動させられた娘はびっくりしていた。
そして、さっきまで立っていた場所を見て、
「う、うわあああああああ!!!」
と怯えながらバタバタ後ずさりをし、泣き出し、私にしがみついてきた。
突如現れた茶色い塊がみっつ。
「それ、あなたがしたうんこやねん」
『うんこ』はじめて見たんかな、娘。
だとしたらびっくりするわな。真っ白な床に急に茶色い塊がみっつも現れたら、そらびっくりするわな。
でもな、大丈夫。それあなたがしたうんこなんよ。
いや、別に大丈夫ではないんだけど、お母さんも「ギィヤアアアアアア!!!」って声に出して叫びそうになったしな。でも大丈夫。一旦落ち着こう、それあなたがした『うんこ』だから。
自分のしたうんこを見てこんなに怯えるなんて、人間くらいじゃなかろうか。
犬なら匂いを嗅ぐし、猫なら砂をかける。
でも人間は違う。
ましてや生まれて1年3ヶ月の娘は、自分の『うんこ』と真正面から向き合ったことなどない。
オムツ替えの度に「これがあなたのうんこですよ〜」なんて丁寧に見せたりしないから、それが自分の身体から出たものだとまだ知らないのだ。
「なんだこれぇぇぇ!!!」
と泣きながら、母親の私に力強くしがみつくはじめて自分のうんこに出会った娘。
うんこと出会うまで1年と3ヶ月。長かったのか、短かったのか。
人間は自分のことを知るまでに、とても長い時間がかかる生き物なのかもしれない。
ちなみに私は毎回自分のうんこを確認してる。健康のバロメーターだからね。
みんなもちゃんと自分のうんこ見てね。大事だから。
追記
この日を境に床をめちゃくちゃ警戒するようになった娘。ちっちぇー埃も泣いて怯え、お風呂場に入る時も💩がいるんじゃないかって恐る恐る足を踏み入れてた。掃除頑張った。