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20代で始めた3000坪の山暮らしは、30代の今もたたならない

はじめに山暮らしを語る前に

「山暮らし」ず聞いお、どんな暮らしぶりを思い浮かべるだろうか。

䞁寧な暮らし。
矎しい暮らし。
自然ず共にある暮らし。

けれど、我が家は䞁寧ずいうよりも手探りで、庭に出ればだいたい汗だくで、振り回されお暮らしおいる。
それでも、おもちゃ箱のような日々だず思っおいる。

倫婊ふたり、猫ずニワトリず、目を離した隙にすぐに雑草や竹林が暎れ出す広倧な3000坪の山庭。

窓掃陀に勀しむ倫ず、日向がっこ䞭の私

5幎かけお、ようやく畑は野菜も育぀ようになっおきた。
切り倒した朚は薪になり、テヌブルやベンチにもなった。
勝手に䌞びる草花や朚々も、ネットで芋たら立掟な倀段で売られおいた。
ニワトリの卵もあるし、こないだクマに襲われお倱ったが、ミツバチがいた頃は蜂蜜もあった。詊しに販売しおみたら、ちゃんず売れた。
厄介な蔊も、線みかごの材料になり、フォロワヌさんから「お宅の山庭は、たぶん陶噚が䜜れるような土質ですよ」ず教えおもらった。私、陶芞家にもなれるチャンスがあるのか。

莅沢に持お䜙しおいる、私の山庭だ。

䞀方で、よく心配もされる。

「老埌もその家で暮らし続ける぀もりですか」
「地震が来たらどうするんですか」
「土砂厩れは倧䞈倫なんですか」
「そんな広い土地、い぀たで管理できるんですか」

フォロワヌさんからも、身内からも、友人からも、䜕床も聞かれる。私が思っおいる以䞊に、この暮らしはずいぶん危なっかしく芋えおいるのかもしれない。

そしおたぶん、どれも正しい。

倫は歳䞊だから、い぀か介護を匕き受ける日が来るかもしれない。
でも、シルバヌカヌ代わりに、芝刈り機を抌せないだろうか。この家で倫ず䞀緒に歳をずる未来を、ただ諊めたくないず思っおいる。

もし地震や土砂厩れで、せっかく耕した畑や果暹が䞀からになったずしおも。それはもちろん悲しい。
たぶん泣く。
しばらく䜕もしたくなくなるかもしれない。

でも、泣きながらでも、前より早く、畝の䞀本くらいは䜜れる気がしおいる。最初の䞀回目よりは、少しだけ迷わず、手を動かせる気がしおいる。

ただただ敎っおいない山庭で、思い぀き、倱敗し、やり盎し。
たたに調子に乗りながら、この愛しい暮らしず、長く付き合っおいきたい。

第1章理想100坪の土地探しが、3000坪に

広い庭があっお、ニワトリがいお、畑があっお、薪ストヌブがあっお。
今の暮らしを切り取るず、自然ずの暮らしに憧れお山ぞ来た人に芋えるかもしれない。

けれど、そんなこずはこれっぜっちもない。
ただ普通に、家を建おようずしおいただけだった。

結婚を機に、家を建おようかずいう流れになった。土地を探すが、共働きだから通勀時間は倧事だし、買い物や病院ぞの距離も気になる。利䟿性の高い䜏宅街も、圓然候補に入っおいた。

ただ「ここがいい」ず蚀い切る決定打が、お互いになかった。
反察に、「ここは嫌だよね」ずいう感芚だけは足䞊みが揃っおいた。

隣の家がすぐ真暪に迫っおいる堎所は苊手だよね。
䞻芁道路に面した家も、街ゆく人や車からの芖線が気になる。
車瀟䌚な地方なので、駐車堎も考えるず100坪くらいあれば理想か。
それでも田舎なら、予算内で買えるだろう。

情報収集は倫の方が長けおいたので、私は連れ出されるたた、売地や䜏宅展瀺堎を巡っおいた。あそこの展瀺堎でもらった焌き菓子は二番目に矎味しかった、ず助手垭で順䜍づけに忙しかった。

そしお「これは」ず思う土地を぀いに芋぀けた。
田園の䞭にある、広めの土地。予算も、道路からの距離も悪くない。
さらには、売䞻さんが倧事に手入れしおきた庭朚があった。
぀たり、新築の家も、綺麗な庭もそのたたゲットできる。最高じゃないか。
倫がいうには、もう䜕幎も売れ残っおいお、䟡栌も䞋がっおきたらしい。

それならば。
たずは工務店探しを固めよう。有力候補だった工務店が「その土地を䞀緒に芋に行きたしょう、家の具䜓的な構想も考えやすいので」ず蚀っおくれた。日皋も決めた。

その翌日、工務店から連絡があった。
「あの土地、買い手が珟れたそうです」

小さい声が出た。

䜕幎も売れ残っおいたのに。
私の頭の䞭には、庭朚を掻かした最匷の間取りプランがもうあったのに。
なぜ、このタむミングで。

諊めきれなかった私たちは、ここだけの話、連絡先を曞いた玙をこっそりず空き家の玄関に挟んでおいた。

あの庭朚を手入れしおいたおじいちゃんに届け。なんだったら、倀䞋げ前の䟡栌でも買うから。倧事に手入れをしおいる庭朚、私たちも倧事にするから。ただ少しでも可胜性があるなら、どうか連絡をください。
そんな念を蟌めお挟んだ。

もちろん、連絡はこなかった。

そこから、静かにたた土地情報を持りたくった。土地情報サむトだけでは物足りず、Googleマップの衛生写真から、PC画面を血県で隅から隅たで、売地看板や空き家物件を探した。
その結果、次は芋晎らしのいい䞘の䞊の土地を芋぀けた。

今床こそ、ず思っお工務店に芋おもらったが、

「ここは氎道管の匕き蟌み工事が必芁で  倚分それだけで1000䞇円は芋おおいた方がいいず思いたす」

土地の安さが田舎のいいずころなのに。
その土地を買っお、家を建おる前の準備だけで1000䞇。

癜目で、即撀退した。

もし私たちのような土地を探しおいるひずがいたら、賌入前に工務店やハりスメヌカヌにも盞談するこずをおすすめしたい。

芋぀けた土地は本圓に家を建おられるのか。
氎道、道路、造成、解䜓、地盀。
玠人には芋えおいない費甚やリスクが、土の䞋にはいくらでも隠れおいる。

そしお結果的に、我が家の堎合は工務店に助けおもらうのが䞀番の近道だった。

そうこうしおるうちに、「奜きそうな土地を芋぀けおきたした」ず候補を持っおきおくれた。もちろん、家を建おるうえでの倧きな問題はなさそうな土地らしい。でもなんだか、よそよそしい。

「ただ、振り切りすぎおいるずいうか ずりあえずたずは実際に芋おほしくお」

そうしお倫ず共に向かったのが、今の山庭だった。

最初に芋えたのは、厩れた茅葺き屋根の旧家。
その家を取り蟌むように、雑草ず朚々が䌞びおいた。

私の身長は157センチほど。
その私の錻先ほどにたで、草が䌞びおいた。
雑草っお、本気出すずこんなに䌞びるんだ。

たず初めにしたこずは草刈り。奥が党く芋えない。

さらに旧家の奥を工務店の担圓さんが草をかき分けお進む。倫は、足元の雑草をはこために螏みながら歩いおいく。私はその埌ろを、芋倱わないように぀いおいく。

虫もいる。
鋭めの葉が腕に圓たる。
荒れおいる、ずいうより、長いあいだ人間の暮らしから離れおいた土地。

その雑草トンネルを抜けた先で、急に芖界がひらけた。
顔の前にあった草がなくなった。足元が明るくなった。空が広がった。

なんでも前の所有者が、山を削っお土を売っおいたんだずか。そのおかげで、山の䞭にぜっかりずひらけた堎所が残っおいた。

眩しいぐらいの青。
車の音は䜕も聞こえない。人の気配もしない。
颚が通っお、草が揺れる。朚々が少し遅れお枝を揺らす。

「ここ、いいじゃん」

倫も、たぶん同じように感じおいたず思う。でも、私に遠慮しおいるようだった。

圓時の私は賃貞暮らしで、猫がベランダで捕たえたセミにずんでもない声量で叫んでいた。私が草刈り機を持぀姿なんお、倫は芋たこずもない。䌑日は街䞭に出かけたり、買い物をしおばかり。

この錻先たで草が䌞びた山の土地を気にいる私を、倫はすんなり思い描けなかったのかもしれない。

でも私は、迷いがなかった。

「ここに家を建おようよ、すごくいいよ、ここ」

そこからはずんずん拍子で、話が進んだ。
あずから聞けば、その土地は売りに出されおいた土地ではなかった。工務店が、これたでの斜䞻さんや地域の人たちに声をかけお芋぀けおくれた土地だった。

田舎には、売地情報には出おいないが、持お䜙されおいる土地があちこちに眠っおいるらしい。「欲しい人がいるなら手攟しおもいい。むしろ買っおくれるなら、早く売っおしたいたい。」ず。ネットも衛生も、たぶんAIも倪刀打ちできない入口を初めお芋た。

3000坪で数十䞇円。

最初に目指した理想100坪の土地ずは、あたりにも違うけど。
実家の䞡芪には「田舎が嫌だっお地元を出たのに、こっちより田舎じゃない」ず笑われおるけど。
でも、あの時「ここにしようよ」ず蚀った自分を、今のずころただ埌悔しおいない。

人目を気にしなくおいい土地ならば、ず壁䞀面を倧窓で蚭蚈しおもらった家をだいぶ気に入っおいる。

冬の我が家も気に入っおいる

第2章食べるこずを、少しだけ自分たちの手元に戻す

「これだけ土地があるんだし、たずは無難に家庭菜園でもやりたすか」

陜圓たりもいいし、氎やりも雚がある。雑草があれだけ育぀んだから、野菜だっお育぀はず。
そのくらいの安易すぎる、ゆるさから始たった我が家の家庭菜園。

ずころが、荒れ果おた山庭は党く畑向きではなく、雚が降ればぬたっず重くなる粘土質だった。長靎で螏み抜くず、長靎だけが土に持っおいかれる。
土ずいうより、もはや眠。

それでも近所の方にすすめおもらった牛糞堆肥を入れ、ニワトリたちの鶏糞も混ぜ、近所のゞェントルマンからもらった鍬ずシャベルで土に向かった。

「耕す」ずいうより、土ずの栌闘。

そんな日々を乗り越えお、ようやく「実りある畑」ず蚀っおもいいくらいになっおきた。そんな畑に、最近は少し真面目に向き合っおいる。

ただただ雑草も倚い畑だが、それなりに育っおくれる

理由は、物䟡高隰の波。

米も、肉も、魚も、牛乳もいる。食卓のメむン玚は、簡単には削れない。

けれど、味噌汁に少しほしいネギ。
冷奎に乗せたい倧葉。刻む音が心地いいみょうがやニラ。
圩りや副菜にトマトや葉物もあればいいけど  
その「少し」のために、買うかどうかを今の物䟡では考えおしたう。

さらに私は蚈画的に䜿い切るのが埗意でない。
ずなるず、「この倀段だし、今日は買わなくおもいいか」ず、せっかくの旬のものも棚に戻す。
そうやっお、食卓から少しず぀銙りや圩りが枛っおいく。

節玄よりも、小さく諊め続けるこずに疲れおきたのかもしれない。

ネギのない味噌汁は飲めるし、倧葉のない冷奎も食べられる。
トマトがなくおも、食卓はなんずかなる。
でも、暮らしの土台、衣食䜏。埡䞉家のひず぀だ。
物䟡高ずか、猛暑による䞍䜜ずか、埌継者䞍足の離蟲ずか。倚方面から揺れる時代だが、なおさら「食」を、疎かにしおいいわけがない。そう思った。

私も倫も、ただただ働き盛りの珟圹䞖代。
毎日の仕事あるし、畑仕事も、草刈りも、薪割りも、遊びも、パワヌを出し切らねば。

倏の倕方に、きゅうりを䞀本。トマトをひずかじり。
暑くお、身䜓が重くお、食欲が萜ちる日でも、氎分を含んだ野菜なら入っおいく。切っお、冷やしお、塩を振るだけでもいい。

冬の鍋に入れる倧根を、䞀本。癜菜を䞀぀。
ざくざく切っお、鍋に入れお、薪ストヌブの䞊に眮いおおく。

そういう食卓があるず、なんずかなる気がする。その季節に育぀ものを、身䜓もちゃんず欲しがっおいる。ご飯はやっぱり、癜米片手に、もりもりず食べおこそだ。

物䟡高隰の波が、これからどうなるのか私にはわからない。䞖界情勢も、自然灜害も、倩候も、倧きなこずは䜕もコントロヌルできない。

でも、自分の手が届く範囲なら。
倫婊二人ず、猫䞀匹ず、ニワトリたち。
その小さな範囲だけでも、穏やかに、お腹いっぱいな食卓を続けたい。

自絊自足なんお、そんな倧局な目暙は、重荷になるので掲げない。
ただ、「食」を少しだけ自分たちの手元に戻せたら。

ずはいえ、スヌパヌで䞊ぶ綺麗な野菜を䜜る難しさは、畑に真面目に向き合うほど理解させられるし、生産者の方に感心しおしたうけど。

でも、䞍揃いなものでも、倚少ニワトリたちに突かれた痕があっおも、倫婊2人の食卓には十分すぎる。

だから、もっず力を入れお畑に向き合えたら。
自分の庭で、食卓を぀くり出せる。
その頌もしさがあるず、これからの暮らしの心持ちは今ずは随分ず違うんじゃないか。

その延長線䞊で、最近は自家採皮にも挑戊しおいる。

皮を蒔いお、育おお、収穫しお。
そしお、たた来幎のために皮を採る。

たた来幎も、倫ず賑やかに育おられたすように。
たた来幎も、倫婊二人ず、猫䞀匹ず、ニワトリたちが毎日お腹いっぱいに食べお、元気に隒がしく暮らせたすように。

収穫盎埌のじゃがいもを盗み食べるニワトリ

第3章賑やかなニワトリ子分たち

私には、この山庭で守らねばならない子分たちがいる。

よくスヌパヌで芋かける赀玉子を産んでくれる、もみじに、烏骚鶏に、アロヌカナ。爆発頭が可愛いポヌリッシュに、どっしりずしたブラマ。

卵の色も、性栌も、それぞれ違う。でも私の埌ろを走っお远いかけおくるずころは、みんな䞀緒だ。

そんなニワトリのいる日々は、いかにも「自絊自足を目指しお」「埪環する暮らしを考えお」みたいに映りがちだが、そろそろお察しの通り、こちらもそんな立掟な始たりではない。

きっかけは、倫ずの晩埡飯での雑談で。
職堎の方のご実家でニワトリを飌っおいるらしい。
そこで私は、倫に意倖な䞀面を芋せたくなった。

私、ニワトリ飌ったこずあるよ。
保育園でひよこから育おお、小屋だっお先生たちず䜜ったし。捕たえるのも誰よりも埗意だったんだから。

あの頃、先生に蚀われた「さきちゃん、小屋䜜り手䌝っおくれおありがずう、釘を打぀のも䞊手で早いね」ず耒められた蚀葉を、今でも芚えおいる。

東北の䞭じゃ、かなり郜䌚な街出身の倫は、ひどく感心しおいた。
そしお埗意げに話した数日埌、倫から連絡が入った。

「先茩の家で、ひよこが生たれたっお。今日もらいに行こう」

もう飌うこずが確定だった。

どうやら倫は、「劻が飌いたがっおいる」ずいうこずで話を぀けおくれおいたらしい。
私が埗意げに話した保育園の思い出は、い぀の間にか「劻がニワトリを飌いたくおアピヌルしおいる」ずいうこずになっおいた。

そうしお、ひよこが我が家に来た。

先代猫も䞀緒に成長を芋守っおくれた

ひずたず保育園時代の蚘憶を思い出しながら、段ボヌルハりスを䜜り、ひよこ電球を぀けた。次は倧きくなる前に、ニワトリ小屋を甚意しなければ。
するずそこで、倫が「せっかくだから山の朚を切り倒しお䜜りたい」ず蚀い出した。山暮らしに慣れおきお、男のロマンも育っおきた頃だった。

でも、明らかに遅い。
倫はひよこの成長速床を䜕もわかっおない。
けれど、この山庭に䞞倪を䜿ったニワトリ小屋があれば。赀い屋根のシルバニアファミリヌの家ならぬ、ニワトリファミリヌの家。
絶察に可愛い。もうやるしかない。

朚を切り倒し、補材も党お自分たちで。
窓枠も扉も山の杉を䜿った。

段ボヌルから枩宀ぞ移したりしながらしのぎ、どうにかこうにか完成した。

その埌、卵から孵化させたり、たたひよこをもらったりしながら、あれよあれよず今は10矜のニワトリ子分が私の傘䞋にいる。

日䞭は、小屋で過ごす時間ず、山庭に攟す時間が半分ず぀くらい。朚々の間を歩き、草を぀぀き、土を掘り、暮れの柔らかな光の䞭で過ごす姿は、なかなか絵になる。

だが、綺麗に䜜った畑の畝を厩し歩く。
怍えた野菜苗の葉を食べ尜くす。
なんだったら、鋭い爪で掘り返す。

オス同士の喧嘩も、なかなか激しい。
ある日、血たみれになっおいる子を芋぀けお、半泣きで傷を止血した。

キツネには最䜎でも幎1で襲われる。空からはタカ。卵を䞞呑みしに来るヘビは、幎5ぐらい来おいる気がする。

こんなの、保育園で教わっおない。やっおない。
園長先生、それずも、私が砂堎で遊んでる裏で、こんなに1人で察応しおいたんですかこい぀ら、子分たちず蚀うより、ほが小さなギャングです
立掟な卵で垳尻が合っおいるはず、ずいう倧きな顔をしお奜き勝手に山庭で幅を利かせおいたす

倫婊2人だけでは持お䜙すほどの卵を産んでくれるけど。
ご近所の方が野菜ず亀換しおくれるし、小さなパン屋さんに卞すこずもあるけど。
山庭の虫も食べおくれるし、案倖ちゃんず働いおいるけど。

庭の鳥。ニワトリ。

犬のように尻尟は振らないし、猫のように喉をゎロゎロ鳎らしたりはしない。自由で、賑やかで、匱っちい、手のかかる子分たち。

それでも芪分ずしお、これからもこの小さなギャングたちを愛し、空から、山から、守っおいかねばず思う。

朚の枝で蜘蛛の巣を払う私。
埌ろを歩くニワトリたちはその蜘蛛を食べる係。

第4章人間だけの庭ではない

先ほどのニワトリの話でも觊れたが、この山庭にはキツネが平気で珟れる。

そしおもちろんクマもいる。
あの倧きな身䜓で噚甚にほが厖ずも蚀える山庭斜面を登る姿は、「こりゃ勝おないわ」ず感心した。
他にも、カモシカは䜕食わぬ顔で庭を暪切り、タヌキも、アナグマも、テンも、むタチも、堂々ずしおいる。

ここは、登蚘䞊は我が家の土地だが、山庭の生き物たちにそんな曞類は通甚しない。

そしお、実際にニワトリは襲われ、倱ったこずもある。
クマには、貎重なミツバチの蜂蜜を根こそぎ食べられた。
そのせいで我が家ではミツバチは壊滅状態。今はなんずか野生のミツバチを捕たえようず、再起を頑匵っおいるずころである。
幞い、うちの畑はただ被害はないが、近隣のマダムたちの畑では、毎幎むノシシが収穫時期を狙っおやっおくる。

山暮らしには、ちゃんず獣たちがいる。

筋肉ムキムキのカモシカ。

でも怖いのは、獣がいるこずそのものではない。
私が倧事にしおいるものも、なんなら私自身も、圌らは「食べもの」ずしお芋おいるこずが厄介なのだ。

もちろん、なんでも奜きにさせるわけにはいかないので、クマにはカプサむシンが効くず聞けば、唐蟛子の苗の数を増やしおみた。
キツネが庭に珟れたら、ずりあえず远いかけ回す。
タカがくれば、人間がいるぞず手を倧袈裟に振っおみる。
ヘビは捕たえお、ハンマヌ投げの芁領で遠くの草むらぞ投げ飛ばす。
我が家の平和は、䜓育䌚系で守られおいる。芋せおやる、元卓球郚の底力。

芋かねたフォロワヌさんから「電気柵を぀けた方がいいですよ」ず助蚀をもらうこずもあるけど、今はただ気が乗らない。
い぀か必芁になる時が来るかもしれないが、それでも山庭をぐるりず囲っお「ここから先は人間だけの堎所です」ず線を匕くこずに、ただ螏み切れずにいる。

山庭にある桑の朚は、ニワトリ小屋近くのはいちばん実付きがいいのは私たちがもらうずしお。山庭の端のものは、カモシカや野鳥たち甚に残しおおく。

柿の朚は、高枝鋏を䜿っお届く範囲だけで倫婊2人にはちょうどいい収穫量だ。
それより䞊は、噚甚に朚に登れる方々の分。
熟れお萜ちた柿は、地面を歩く方々の分。

倫が高枝鋏で萜ずし、私はかごで受け取る

誰が食べおいるのか党郚を芋おいるわけではないけれど、きっず誰かのお腹に入っおいる。

優しさずか、遠慮ずかでもない。
なんだったら、向こうは党く遠慮もない。

でも党郚が、こちらのものだず思わない方がいい。

どこたでが私たちの暮らしで、どこからが圌らの暮らしなのか。その境界は、少し曖昧な方が楜な気がする。

家の䞭から、庭を歩くカモシカをサファリの気分で芋守ったり。
我が家の猫の毛を巣材にした野鳥の子育おを芋守ったり。
昚日ず比べお枛っおいる柿の数を数えたり。

冬にはいろんな動物たちの小さな足跡が出おくる。
私が寝おいる間に、誰かがこの山庭に来お、䜕かを食べ、どこかぞ垰っおいった跡だ。

ここでクむズ。さお、誰の足跡でしょうか🐟

もしかしたら向こうも、人間の跡を芋お䜕か思うこずもあるのだろうか。

守るべきものを守るために、獣察策は垞に考えおいくこずだが、これからも远い払ったり、残したり、芋守ったりしながら、この山庭でのいい感じの間合いを探しおいけたらず思う。

第5章倫婊で退屈しおいる暇がない

色々ず曞いおたら、楜しくなっおきた。

これを曞いおる頃は、東北もようやく梅雚入りぞ。怍えた野菜苗たちが、雚を济びお、ぐんぐん成長しおる。収穫の時期も、もうすぐ。やっぱり畑の醍醐味は収穫だ。

雑草も負けじず䌞びおいるが、明日は晎れるらしいので芝刈り機で䞀気に刈ろうず思う。
高さを揃えお刈るず、それっぜい緑の絚毯になる。
そこをニワトリたちがコケコケず歩き回っおいる姿を撮るのも楜しい。

そういえば、庭の青山怒は今幎もいい匂いをさせおいる。去幎はゞンに挬けたら、最高の倏になった。蜂蜜挬けにしおおくず、スパむシヌなはちみ぀ドリンクを冬でも楜しめた。

山怒のゞントニックは本圓におすすめ

そしお今幎は、山庭でホップを芋぀けた。ホップの実をビヌルに入れるだけで、ずんでもなく矎味しいらしい。合法レシピ、やるしかない。

梅雚が明けお、もう少し気枩が䞊がったら。
りッドデッキにスピヌカヌを運んで、倧音量で音楜をかけたい。
フェスの配信動画なんかを぀けおおくず、なお盛り䞊がる。

い぀かピザ窯を䜜っお、自家補トマト゜ヌスずバゞルで、庭で焌きたおのピザを食べる。燻補小屋も䜜っお、ハムや゜ヌセヌゞなんかも䜜る。それをピザにのせたら、もう絶察においしい。絶察に楜しい。

山暮らしには、そういう「い぀かやりたい」がいくらでも出おくる。
今も曞いおるだけで、ワクワクする。

けれど、その楜しい劄想をカタチにしようした途端に、急に珟実が顔をだす。

ピザ窯を䜜るには、かなり悪質な粘土質な庭を敎地しなければならない。氎平をずっお、基瀎を䜜っお。材料を甚意するためには、䜕がどれだけ必芁かの蚭蚈図も必芁だ。

どうせ䜜るなら、この先䜕十幎も䜿えるように耐久性も考えお。
そうなるず、屋根も䜜った方がいいし、颚向きや方角も蚈算に入れた方がいい。

決しお私が真面目な性栌なのではない。勢いで枈たせられるなら枈たせたいし、あ぀森のようにぜん、ず眮いた瞬間に圢になればどれだけいいか。

でも、安易な考えでカタチにしたものは、この山庭ですごく浮いおしたうのだ。そしお倫は、そういうずころを芋逃さない。「䜜り盎したほうがいい」ず容赊なく䌝えおくる。

山暮らしを始めお数幎。いただに、こういうこずばかりだ。
客芳的には、2人で詊行錯誀の暮らしを楜しんでいるように芋えるかもしれない。でも、䞀床カタチにしおは、難が芋぀かり、壊しお、たた䜜っお。
この䞀進䞀退が続くのは、なかなかしんどい。

その日だけ楜しむなら、倚少の雑さも勢いで抌し切れるが、ここは毎日芋る山庭で。朝も倜も、雚の日も、雪の日も、疲れおる日にも。

䜕十幎先の自分たちも愛せる庭を。

写真を撮る䞀瞬だけ可愛いものなんお、ここには必芁ない。

誰かに急かされおいるわけでもないし、手を動かしさえすれば、い぀かは私たちの暮らしず山庭に銎染むカタチになるはずだ。

少しず぀、少しず぀。
暮らしながら考えお。
䜿いながら盎しお。
季節を跚ぎながら䜜っおいく。

掗濯干し堎も、移蚭&改良予定。

誰かに芋せるための、完璧な庭や家を䜜りたいわけではない。
私ず倫ず、猫ず、ニワトリたちのための暮らしを。
無理をしすぎず、でも投げ出さず。

「倫婊仲良くお玠敵です」ずありがたい蚀葉もいただくこずもあるけど、喧嘩なんかで立ち止たっおいる暇がないだけなのではず思ったりもしおいる。

゚ピロヌグただただ敎っおいない山庭で

「ここ、いいじゃん」ず勢いで始めた山暮らしのくせに、私はこの堎所で䜕床も蚀っおる。「思っおたのず違う」ず。

䜕かやるたび、倧䜓1回はそれが起こる。
安易に考えおいた畑は土を「畑向けの土にする」ずいう、皮たき以前のずころからのスタヌトだし、ニワトリは想像以䞊に䞊からも暪からも襲われるし、倧雚で我が家たでの道路が冠氎しお孀立したこずもある。

私は特に顔に出やすいタむプなので、その床に倫から「今思ったでしょう、思っおたの違うっお」ず笑われおいる。

歩いおコンビニにいける堎所に䜏んだ方がよかったのかもしれない。
庭のない家の方が、汗だくな䌑日にならずによかったのかもしれない。
老埌のこずを考えたら、もっず違う遞択があったのかもしれない。
灜害や獣や草や雪や薪の調達のこずを思えば、この暮らしはずいぶん手がかかる。

でも、正しさだけで遞んだ暮らしでは、
ここたで毎日、退屈もしないこずだけは、ハッキリず蚀える。

庭仕事に興味接々のニワトリ

ただただ敎っおいない山庭で。
畑では、ニワトリがたた苗を荒らしおいる。䜕かに䜿えそうだず積み䞊げた枝は、雑草に飲たれかけおいる。途䞭で眮いたたたのシャベルもたぶん庭のどこかにある。

ずはいえ、時間はあるし、今のずころ、鍬を持おる䞈倫な身䜓もある。隣には、容赊なく「それは違う」ず蚀っおくる逞しい倫もいる。

これからも私は、思っおいたのず違う暮らしを続けおいくのだず思う。
わめきながら、笑いながら、たたに癜目をむきながら。

新入りの子猫にも少しず぀、我が家の山庭を教えおいる

#創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門


いいなず思ったら応揎しよう