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Photo byshimapiiii

白髪を週1で染めている

    小4の頃から白髪が生えていた。

    ある日の休み時間。

    自分の席に座っていた俺。

    「こうちゃん白い髪の毛生はえてる〜」

    俺の後頭部を見た同じクラスの女子にそう言われたのを今でも覚えている。

    その時初めて、俺の頭には白髪が生えているという事を知った。若干9歳だった。

    9(ここのつ)という白髪界におけるなかなかのスタートダッシュを切った俺。

    これが俺の白髪と添い遂げる人生の幕開けだった。

    20歳を過ぎた辺りだったろうか、セルフで白髪を染め始めたように思う。

    俺は今43歳だ。

    23歳で吉本の養成所に入り、25歳から同期2人後輩1人と俺の計4人で大阪の西成でルームシェアを始めた。

    そのルームシェアをしていた部屋の風呂場での記憶。

    それまで俺は、白髪染めの「黒の威力」に手を焼いていた。

    「黒の威力」とは髪に塗った染料を洗い流すとき、風呂場のタイルなどに飛び散った水滴が乾いた時黒く残ることだ。

    染めるにおいて威力が強いに越したことは無いが、水滴黒残りは気分の良いものではない。ましてルームシェアなのでみんなにも迷惑をかけてしまう。

    そんな25歳のある日のセルフカラーで革命が起きた。

    試行錯誤の末、俺は遂に

    「ひたすら土下座」を編み出したんだ。

    髪に染料を塗ってある程度の時間を置いたら風呂場に入り、あとは真っ裸でタイルの上で正座して、ひたすら土下座の姿勢で限りなく頭にシャワーヘッドを近づけて真上から染料を洗い流す。

    そう俺は

    「ひたすら土下座」を編み出したんだ。

    この革命により格段に、見違えるように水滴黒残りは減少した。

    だからあの記念すべき日のセルフカラーは20年近く経った今でも記憶にしっかり残っている。

    20代の頃は2〜3ヶ月に一度、30代の頃は1〜2ヶ月に一度、

    そして現在、

    40代に入った俺は確実にひと月に一度髪全体を染めている。

    生え際の白髪に関してはすぐ目立つので、週1で染めている。

    美容室で染めてもらったことは一度もない。

    約20年間ずっとセルフだ。

    俺はまだ自分で白髪を染め続けるだろう。

    いつか、いつの日か、全体に綺麗な白が生えるようになるその日まで。

    もうええかと思えるその日まで。

    これからも俺は週1ペースで、裸でひたすら土下座する。

    誰に謝るでもなく。

    ーENDー

     
     
    吉本興業所属 超短編小説 ショートショート