自分語りをしたい!
人が自分語りをしたい気持ちが等しく100だとする。
誰かの自分語りの聞き役になっている間は、聞き手の自分語り消費率は0%だ。
聞き手にも語り手と同じだけの自分語りをしたい気持ちが存在する。
消費されなかった自分語り欲はどこへ行くのか。
ついに誰にも話されなかった自分語りはどこへ消えるのか。
あるときは蓄積された自分語り欲が爆発し自分語りの地獄と化す。
その地獄にも聞き手は存在し、聞き手の自分語り消費率は0%だ。
そしてまた一つ地獄が生まれる。
相手に地獄を味わせたくないとき、自分が地獄を飲み込むことでこの世から地獄が一つ消える。
この人の幸せのために、自分がまさに地獄になってやる。
そんなふうに思いやれたら。
はたまた、地獄の溜まり場で薄汚れながら語らう幸せもある。
溜めて溜めて溜め込んだ自分語り欲を、この人の前でなら吐き出せる。
そして、まともな相槌も打たぬうちに今度はそいつが自分語り欲を発散する。
これじゃあドッヂボールだよ。
そう思いながら、誰も困っていないことに気づく。
二人分の地獄が消化された。
この世は底なし地獄である。
生まれたときから死に始めている。
未来に成し得ることはすでに始まっていて、過去はいつまでも消えず今にこびりついている。
あなたの地獄を教えてくれ。
私の地獄を聞いてくれ。
美しい景色を見て何を思うのか、醜いものを見て何を思うのか、
語り合おうではないか。
そうやって理解し合えたならば、きっとこの地獄をどこまでも落ちていける。