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パピヨン(蛾)

    ともあれ かくもあれ 陳者の眼界 けしからず
    ちらばら 禿筆の宿痾を如何にせん と
    はるがすみ 眼花 古井に堕ちて 悄沈の水底に眠るごとく
    惚け惚けし夢は 珂珂 贋作の鴉のごとく 一玉をも掘れず 

    皺ぶれた心腸に豪懐ありきも
    うつせみの曠日 まいて眠るは 蹉跌の枕かな
    久方に過ぐ 青雲の鴻鵠 金門出は壮士勇勇たりとも
    蹉跎 蹉跎 別途淵瀬にいたりて 鹿毛は白髪なり

    傍輩の雲 別人の空を行く事 こゆるぎ
    うずらなく 故山の歴歴も老いぬ
    春秋に富みし 黒頭雀声 わが手水に響くこと 騒かしく
    翠雨に新たむる 転生変生が身上を浄玻璃にうつすや

    ゆふづつの 半宵 うつら とろめく 半夢
    明夕の千里馬は 霊木の声に半眠を得られず
    魑魅魍魎のざざんざ 優遊不断の番卒 半夜を脱し
    残喘の白息 貧寒の燈上に 蛾命のかぎるを看る


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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