イッティ(夏)
夏は 崖っぷちの水平線
新調したばかりの白い帆も くたる
潮風が 顔を差す
おはよう
あの顔は 黄色くなりたい とでも思っているのだろうか
それとも それは 太陽の顔か
シーツの浪が白金に輝く 夏のベッド
呪われたかのような声が 私の名をよぶ
鏡の向こうの その顔は 誰の作品だ?
マストの軫に 昨日から 不吉なカモメ
尾鰭は塩に灼け 古い斑の髪を赤く染める
夜行色だった肌はボロボロと鱗がはげ
黄色く泡立ち そして今や
悪臭をはなつ
自称ヒッポカンポス 今日が誕生日
すでに 23歳だと
七つの海を制覇した気でいる
想像の嶋の化け物とは 聴かされる耳のこと
アーロン海賊の同じ入墨 サーファー達が祝福する
ここじゃ誰も知らない歌を口ずさんでみようか
処女航海もすぎて はや 3000年
古い波が 私の事を初めて 「あんた」 と呼んだ
ああ ポセイドンめ
夏が うらめしい
カモメよ もう一度 私の船に戻ってきてくれ