フイィー(狂気)
東風駘蕩に背甲を向けて 斗米官遊の雲関を出づ
あづさゆみ 中分の春意は暮れかけ
あまとぶや 狭間の籠鳥は和鳴を止めて
あきはぎの 狂花はただ蟠踞に詫びるのみ
上つ枝の そのうえは 何晩にかを知れず 一夕暮れぬる
はなむけの 水盃にうつす胸愁 牽牛迢迢 星河は夢のごとく淡し
上つ枝の 真鹿児矢が標的は 妖雲のごとく幽けく
摩耶が水は 澹澹とし 雉兎の柏木は 森森と閑か
天骨が才子 百足の燼にありても なお 栴檀の迂拙を守る
涸井が蝌蚪 同類の火代を囲むも 無二の一疋 頑夫を譲らず
はら 一栗の寸心は 滄海の一盞に 空蝉の皺を伸ばし
鞘を抜いた内懐の剣気は名残りの霜のごとく 冷めやらぬ酔顔を照らす