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ウイェ(撫子)

    梅塚よ 撫子よ 
    苔に化けたる 美し ありし日の子よ

    造次顛沛 この弾指の間にも
    時鳥 哀しみの詩を吟じ 蟋蟀 愁露の嗚咽をこぼす
    たらちねの瞼舟 隅田川をつたうを聞き
    千住にあがって 古の月を仰ぐ

    わが当来の白山にふる 神気
    余す処に 鬼女紅葉の欲情も また 多し
    われ 美人の夫を あわれむ
    きみ 忘れしや かの 裸足に駆けた真砂路を

    さら われ 路傍の石となりき
    天泣に苔け 砕けて土となり
    名無し草が華の 蝶よ 身を喪って 幾夏の
    無我に 子らの世を 能僧の夢にて弔わん

    梅塚よ 撫子よ 
    苔に化けたる 美し ありし日の子よ


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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